内容は比較的シンプルで、画質関連の調整項目にもの足りなさを感じる。特にデジタル接続では、調整できるのはブライトネスとコントラスト、色補正のみだ。アナログ接続では白色点(色温度)とRGBバランスも調整できるが、白色点の選択肢は3種類しかない。また、色温度はやはりK(ケルビン)で表記されていた方が分かりやすいだろう。
色補正は、RGBのガンマカーブを調整してグレーバランスを最適化するというものだ。色相環の中央に配置された四角形のグレーパッチを、青みや赤みのない無彩色のグレーとなる位置にドラッグする。次に、右側のスライダーを上下させて、グレーパッチと背景が同じ明るさになるように調整する。これを6回繰り返して終了だ。
6回の調整の内訳は、ガンマカーブ上のハイライト領域が3カ所、中間調領域が2カ所、シャドウ領域が1カ所である。色補正を行うと、色の再現性と階調表現がかなりよくなるので、必ず実行しておきたい。
「MagicBright」は、ブライトネス/コントラストのデフォルトプリセットだ。「テキスト」、「インターネット」、「エンターテイメント」の3種類が用意されており、この順序でブライトネスとコントラストが高くなっていく。
調整した設定はユーザープリセットとして登録できる。複数のユーザープリセットを保存でき、デスクトップの右クリックメニュー(コンテクストメニュー)で任意に切り替えられるのは便利だ。
使い勝手の面で少々気になったのは、ブライトネスやコントラストといった設定の値をデジタル/アナログの入力系統ごとに個別に記憶できない点だ。具体的に言うと、例えば、アナログのブライトネスは「50」、デジタルは「25」が自分の標準だとする。だが、設定値は個別に記憶されないため、アナログからデジタルに切り替えてもブライトネスは「50」のまま、デジタルからアナログに切り替えても「25」のままになってしまうのだ。
もちろん、デスクトップの右クリックメニューで登録済みのユーザープリセット値をロードできるので、声高に突っ込むような欠点ではない。だが、入力系統ごとの設定値管理機能はあった方が絶対に便利なので、液晶ディスプレイのチェックポイントとして覚えておくとよいだろう。
表示品質はなかなかハイレベル。若干の黒つぶれと白とび、色飽和は見られるものの、液晶ディスプレイとしての品質は高い。アナログ接続だと中間調の発色は少し浅くなるが、デジタル接続では中間調も深みのある発色が得られる。
また、動きの激しい3Dゲームや動画でも、残像は特に気にならない。厳しく評価すれば、173Pの応答速度は25ms、193Pは20msと、現在の最速クラス(16ms)よりは劣るため、動きのシャープ感は16ms製品の方が上だ。神経質になるほどの差ではないが、目のいい人なら感じ取れると思う。もちろん、両者を並べて比較すれば、の話ではあるが。
本体からボタン類を排除したことで、173P/193Pはデザイン性が増した。意外と必要な奥行きやアナログ/デジタルの切り替えなどに多少の不満は残るが、画質面の潜在能力は高く、MagicTuneによる設定/調整は一般的なOSDよりも使いやすい。ある程度画質を重視し、定期的に調整を行うようなユーザーに向いている。
なお、173P/193Pは直販サイトでの販売がメインだ。193Pは量販店での販売も予定されているが、173Pは直販のみとなる。
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