800万画素ハイエンドデジカメのトップランナー――ニコン COOLPIX 8700(3/4 ページ)

» 2004年03月09日 22時35分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 たいていの機能はボタンまたはボタン+コマンドダイヤルでセットできるが、それ以外のものは液晶モニタに表示されるメニュー画面で設定する。

 このメニューが改良された。「MENU」ボタンを押すと、よく使う5種類の機能に「セットアップ」と「全メニュー表示」を加えた「マイメニュー」という第1階層が現れる。5種類の機能は、デフォルトでは「撮影モード」や「連写」、「測光方式」、「ホワイトバランス」などになっているが、好みに合わせて他の機能に変更できる。ここにない機能は、「全メニュー表示」を選択すれば3ページに渡るメニューが表示される。

メニュー画面の第1階層には、5種類の機能と「セットアップ」、「全メニュー表示」が「マイメニュー」として並ぶ

 マイメニューに関して言えば、「カスタム1」と「カスタム2」で別々に作れないのは残念だ。撮影対象やシチュエーションによって必要な機能は違ってくるため、それぞれに合ったマイメニューにできればもっと使い勝手が上がるからである。

 動画は独立した撮影モードになっておらず、連写モードの中に組み込まれている。連写モードの設定は2ページに渡っており、2ページ目にやっと「動画」が現れるのだ。これも、動画はあまり使わないようなハイエンド層をターゲットにしているからだろう。

 連写モードはCOOLPIX 5700よりも充実しており、秒1コマながら、シャッターを押している間は撮影を続け、指を離す直前の5コマだけを記録する「サーキュラー連写」や、設定した一定の間隔で自動的に撮影する「インターバル撮影」が追加された。また、連写機能も、バッファの強化によって秒2.5コマで5枚まで撮影できるようになった(COOLPIX 5700は秒3コマで3枚まで)。

連写モードはこのように多彩。次のページに「動画」モードがある。カスタマイズの幅が広く、いろんなセッティングができるのが特徴だ

 気になるのは操作時のレスポンスだ。COOLPIX 5700は、個々のレスポンスは悪くないものの、内部で何らかの処理をしている時は急に反応が鈍くなり、特にデータを書き込んでいる最中はズーミングやメニュー操作もまったくできず、イライラさせられることがあった。待たされる時間は長くはないのだが、撮影のリズムが狂ってしまうのだ。

 COOLPIX 8700でそのクセは直っているかと期待したのだが、相変わらずであった。起動やオートフォーカスを含め、全体の処理速度が高速化されているのでCOOLPIX 5700ほどではないが、やはりコンパクトフラッシュカードへの書き込み中は他の作業ができなくなる。ハイエンド機だからこそ、もっとビビッドな反応を求めたいところだ。

右側面にコンパクトフラッシュカードスロットがある。Type II対応で、マイクロドライブも利用可能だ
底面にリチウムイオン充電池がセットできる。このバッテリーは、COOLPIX 4500やCOOLPIX 5000の時代(2002年頃)から変わってない

ハイエンド機にふさわしい画質と撮影機能

 全体の機能や性能をCOOLPIX 5700と比較しながら見てきたが、COOLPIX 8700はさすがに10万円オーバーのハイエンド機だけあって、画質のみならず撮影機能も非常に充実している。

 絵作りでは、ホワイトバランスの微調整や、輪郭強調、階調、彩度をカスタマイズできる点が非常に便利だし、ブラケット系の機能もユニークで、AEブラケットやAWBブラケットの他に、連写した10枚の中から最もブレが少ないカットを選ぶ「BSS」や、あらかじめ設定しておいた「白トビ最小」「黒ツブレ最小」または「ヒストグラム最良」に合致する1枚をブラケット撮影した5枚の中から選ぶ「AE-BSS」など、COOLPIXシリーズならではの機能を備えている。

 ポップアップ式のストロボも、自動ポップアップかマニュアルポップアップかを選べるなど、細かいところまでカスタマイズできる。この辺はハイエンド機ならではのおもしろさだ。

 システムアップも得意で、ワイコン、テレコンの他に、魚眼レンズまでラインナップされている。また、上部のアクセサリーシューにはニコンの豊富なスピードライトを装着できるため、凝ったライティングの撮影もできる。ちなみに魚眼レンズを使える民生用デジカメは、COOLPIXシリーズだけだ。

 そういう意味では、腰を据えてきちんと使えばその性能を発揮してくれるなかなか優れたカメラだ。このクラスではトップレベルのコンパクト・軽量さでありながら、ホールド性もよく、フリーアングルの液晶モニタを装備したのも素晴らしい。

 ただ、フィールドへ持って行って自由に使うには、もう少しキビキビしたレスポンスがほしい。また、デジタル一眼レフと価格的に競合しかねないことや、他社が新デザインのハイエンド機を用意してきたことを考えると、1年半ぶりのモデルチェンジにしては地味だ。個人的には、COOLPIX 5700の弱点があまり改善されていなかったところに不満を感じる。製品としてはよくまとまっていて、望遠系の800万画素機としては悪くないが、もっと進化した姿を見せてほしかった。

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