さて、今度は最も重要なCPU回りの設置だ。
取り付けは少々面倒……か。まずはマザーボードの裏側に専用プレートを固定する必要があるため、マザーボードをケースから外すほか、リテンションキットも取り除く必要がある。当然ながら、最大の注意点はパイプの取り付け。ジョイントを堅く閉めても、パイプを無理な角度で固定すると水漏れの原因になるため、ケース内での取り回しに細心の気配りを施したい。
続いて、ファンの回転数を制御するために、PCIカード経由で本体とマザーボードとを接続する。ちなみにPCIカードは、内側と外側に本体と接続するコネクタが搭載される。
PCIカードからCPUまでの配線は、本体の設置場所を変えても変更しなくていい。初回の取り付けさえ済ませれば、以降は気軽に模様替えできるのだ。なおブラケットには、外付けで利用するパイプの通し穴も開いている。
セッティングの最後はパイプと本体の接続だ。冷却用の専用液を充填し、電源を入れるとパイプに冷却液が流れていく。一度電源を切り、再び充填……を何度か繰り返す。冷却液に空気が混入されたままになっているとパフォーマンス低下につながるので、5分程度放置して内部の空気をポンプに集めておくといい。
車を持たない人には想像しにくいかもしれないが、冷却水を充填して循環させて……を何度か繰り返し気泡を抜く、ラジエター冷却水交換時のような感じだ。
設置が完了したあとは、ファンの回転数やCPUの温度設定をLCD下のボタンで調整する。OSを介さずボタン操作により操作可能だ。
ファンは最低レベルの2000rpm時ではほぼ無音、耳をすますとモーター音の方がかすか聞こえる程度で、ほとんどといっていいほど気にならない。
では冷却効果を実際に測定してみよう。最低回転数時でもリテールCPUファンと同等のパフォーマンスが得られることが分かった。最大の4600回転時ではさすがにほぼ無音とはいい難いが、ファンの回転数を最大にする場合は、動画エンコードなど、ここぞという作業を行う時だけスイッチで切り替えればよいのではないだろうか。
DVDビデオ形式に変換中のCPU温度
モード | 温度 |
リテールCPUファン | 42.0度 |
AQUAGATE 2000回転 | 42.2度 |
AQUAGATE 3100回転 | 37.4度 |
AQUAGATE 4600回転 | 34.5度 |
※テスト環境 CPU:Pentium 4/2.4B GHz マザーボード:AOpen MX4GER(J) Intel 845GE メモリ:PC2100 DDR SDRAM 512Mバイト(ノーブランド) HDD:Seagate Barracuda 7200.7 80Gバイト(ST380011A)1台 MPEG2ファイルをDVDビデオフォーマットに変換中のCPU温度を測定。値は作業開始から10分後の温度 |
また、装着後の付け替えを容易に行えるのも特記しておきたい。パイプの本体側ジョイント部は、冷却液を満たしたまま取り外しても液漏れしないように工夫されている。CPU側のジョイント部のみ、取り付け時に無理がかからないような設置をしておけば、水漏れの心配はまず起こらないだろう。
またジョイント脇の突起部を押すだけで着脱できるのも便利で、内蔵パーツを増設するときに手軽に外せるのはうれしい。
パフォーマンスの高さもさることながら、メンテナンスしやすい構造には脱帽だ。「自作ビギナーにもおすすめ」とアキバの各ショップで評価されているのもうなずける。冷却グッズとしては高級な製品になるが、メインで使うハイスペックマシンの静音化を実現したいなら、理想のアイテムといえるのではないだろうか。
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