コンパクトデジカメも600万画素時代へ――オリンパス CAMEDIA X-3(2/3 ページ)

» 2004年05月10日 09時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

機能は豊富だがユーザーインタフェースには疑問も

 撮影機能は、コンパクト機にしてはしっかりしている。奇をてらった凝った機能やお遊び系の機能はないが、カメラらしくマニュアル系の機能が充実しているのだ。

 背面には十字キーや各種ボタンがある。最近のコンパクト機には十字キーにマクロや発光モードなどを割り当てているものが多いが、X-3では十字キーの左/右はダイレクトな露出補正で、上/下には機能割り当てはない。その代わり、発光モードとマクロ/スポット測光ボタンは独立して用意されている。

背面はシンプルで、中央にOK/メニューボタンがある円形十字キーと再生ボタン、液晶モニタの上に発光モード切替ボタンとマクロ/スポット測光ボタンがあるだけだ。親指が当たるところがやや出っ張っていてグリップしやすい。液晶モニタは晴天下での視認性が高い1.8インチのサンシャイン液晶だ

 上面には、モードダイヤル、シャッター、ズームレバーがある。X-1/2ではモードダイヤルも背面に用意されていたが、上面に移動した。これはちょっと残念。上面と背面に分かれていると両方を見なければならないが、背面に集中していれば、背面を見るだけで全部の設定が可能になるからだ。

上面にはモードダイヤル、シャッター、ズームレバーが並ぶ。モードダイヤルにあるのは撮影モードのみで、再生は別ボタンになっている

 ズームレバーも、X-1/2では他のCAMEDIAシリーズと同様にシャッターボタンの回りに付いていたが、X-3では独立したレバーとなった。

 だが、これが少々厄介だ。レバーが小さくて先がやや尖っており、操作すると指に食い込んで痛いのである。食い込むほど力を入れなくても、軽く押せばちゃんとズーミングするので慣れれば問題ないのだが、ズーミングがちょっと遅めのため、ついつい力が入ってしまいがちなのだ。疑問が残るユーザーインタフェースである。

シャッターは押しやすく、クリック感もあってよい。一方その横にあるズームレバーは、写真でも分かるように非常に小さく、先がやや尖っていて指先に優しくない。これはどうかと思う

 撮影モードは、フルオート、P(プログラムオート)/A(絞り優先オート)/S(シャッター優先オート)/M(マニュアル露出)の各種マニュアル系、自分だけのセッティングを記録しておけるマイモード、動画モード、風景モード/記念写真モード/セルフポートレートモード/スポーツモードの4種類のシーンプログラムが入ったシーンモード、さらにシーンプログラムの夜景モードとポートレートモードが独立したポジションとして用意されている。

 細かい機能は液晶モニタに表示される画面メニューで設定するが、円形に並んだ十字キーとその中央にあるOK/メニューボタンだけですべてが完結する、オリンパスならではのシンプルな方式である。

 OK/メニューボタンを押すと、まず最初に十字キーのそれぞれに割り当てられたショートカットが表示される。右キーはフル機能を操作できるモードメニュー、下キーは液晶モニタのオン/オフに固定されている(独立したディスプレイボタンは用意されていない)が、残る2個は自由に割り当て可能だ。

OK/メニューボタンを押すと、まず最初にショートカットメニューが表示される。上キーと左キーには自由に機能を割り当て可能だ

 メニューを駆使すれば、ISO感度の固定(64/100/200/400)、フルタイムAF、スーパーマクロ(このモードがメニュー内にあるのは疑問だが)、リアルタイムヒストグラム表示、ホワイトバランスなどを調整・設定できる。ちなみにホワイトバランスは、晴天/曇天/電球/蛍光灯だけで、カスタム設定機能はない。これは少々残念だ。

モードメニューを選ぶとすべての機能を操作できる。撮影/画質/カード/設定の4枚のタブがあり、その中に細かい機能があるというオリンパス式の解像構造となっていて、十字キー+OK/メニューボタンのみで操作できる

 ハイエンド機らしいのは、シャープネスやコントラストがコントロール可能なこと。±2段階で調整できる。上位モデルの「CAMEDIA C-5060 Wide Zoom」などに比べると調整の幅は狭いが、ある程度好みの絵作りができるのはうれしい。

 画像の再生は背面の再生ボタンで行う。電源オン時は再生ボタンを押すと再生モードに入り、電源オフ時(レンズカバーが閉まっている時)でも再生ボタンを押せば再生モードで起動し、もう一度押せば電源が切れる。これはシンプルでなかなかよいアイデアだ。

 液晶モニタは1.8インチのサンシャイン液晶。光が強い場所ではマジックミラー効果を応用して外光を逆利用することで、晴天下での視認性を高めている。これはなかなかよい。

 記録メディアはxDピクチャーカード。バッテリーは、コンパクト機としては大容量の1230mAhのリチウムイオン充電池を採用する。バッテリーは付属の充電器で充電する。

底面のカバーを開けるとリチウムイオン充電池とxDピクチャーカード用のスロットが現れる

高画質、高機能なのだが、使い勝手はいま一歩

 X-3は、高級コンパクトタイプではスーパーCCDハニカム搭載機についで600万画素化を果たした高画素モデルだ。ただ、同じようにマニュアル機能を重視した高級コンパクト機である富士写真フイルムの「FinePix F710」(関連記事参照)やキヤノンの「PowerShot S50」などと比べると、レンズにしろ、機能にしろ、サイズにしろ、X-3ならではの個性に欠ける面がある。

 さらに、これまでに述べてきたように、大容量の記録メディアを使うと起動時間が長くなる(ちなみに「CAMEDIA μ30 DIGITAL」でも同様の傾向が見られた)、ズームレバーが指に痛いなど、撮影時の快適さを損なう面も持っている。コンパクト機である限り、機動力や撮影の快適さは重要だ。

 画質は悪くないし、機能的にもいい感じで揃っている分、ちょっとした欠点が気になるのである。

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