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» 2004年06月03日 21時59分 公開

ATI Technologiesが発動する「PCI Express完全対応製品全方位展開作戦」今週はCOMPUTEX TAIPEI 2004で右往左往した

今年の春までは「PCI ExpressはハイエンドPC向けのプラットフォーム」というイメージだったが、COMPUTEX TAIPEI 2004の展示を見ていると、PCI Expressが一気に普及しそうな勢い。それを象徴しているのが、ハイエンドからバリュークラスまで一気にそろったグラフィックスカードラインアップだ。

[長浜和也,ITmedia]

 ATI Technologiesは、先日リリースしたPCI Express対応グラフィックス関連製品のローンチイベントをCOMPUTEX TAIPEI 2004会場に隣接したホールで6月3日に行った。

 イベントではデスクトップPC向けのラインアップ以外にも、ノートPCやワークステーション対応の製品が紹介された。また、NVIDIAがすでに発表しているノートPC向けPCI Express対応モジュール規格「MXM」に対応する新しいモジュールの実物も公開した。

 イベントの冒頭で、今年の主力GPU「RADEON X」シリーズのイメージキャラクター「RUBY」に導かれて同社CEOのデーブ・オートン氏が登場。「今年のCOMPUTEX TAIPEI 2004はじつに最高のタイミングで開催された。この時期に合わせて、ATIはデスクトップ、ノート、ワークステーションといったすべての市場にたいしPCI Expressに対応したグラフィックスカードを投入できた」と、アジア最大のITイベントに製品発表が間に合った喜び(安堵?)を述べた。

RADEON Xシリーズのキャラクター「RUBY」に囲まれてご満悦なATI Technology CEOのデーブ・オートン氏

 オートン氏は「これから、第4世代のコンピューティングがはじまる。ホームユースPCは“ビジュアルデバイス”として使われるようになる」と、「Visual age」と名付けたPCの新しい時代では、よりグラフィックス機能が重要になってくると主張。「Visual ageのPCを実現するのはPCI Expressがもたらすパフォーマンスである」とPCI Express対応グラフィックスカードの必要性を訴えた。

 説明会には先日GIGA-BYTEと合同で行ったマザーボードテクニカルセミナーで、Intel 925X/915ファミリーの概要を説明したインテルのロジャー・ピーン氏(デスクトッププラットフォームグループチップセットプロダクトマーケティングマネージャー)がゲストとして出席。

 「インテルとATIは強い協力関係のもとPCI Expressの開発を進めてきた。ATIが開発した製品の最終工程ではインテルが検証作業を行っている」と述べ、「PCI Expressを利用することで、パフォーマンスは向上し、消費電力は削減できる」と、グラフィックスカードがPCI Expressを利用するメリットをアピールした。

インテルのピーン氏は「2004年中に1億個のPCI Express関連パーツが出荷されるだろう」とPCI Expressの急速な普及を予言した

 デスクトップ向けラインアップは、すでに報道されているように「RADEON X800」「RADEON X600」「RADEON X300」といったハイエンド、ミドルレンジ、バリュークラスの3種類で構成され、それぞれのレンジで上位モデルと下位モデルが用意されている。すべての製品がPCI Express 16Xにネイティブで対応しており、アップストリームとダウンストリームがそれぞれ独立して高速のデータ転送を行うことができる。

 RADEON X800はすでに発表されているPCI対応RADEON X800と同じアーキテクチャを採用。ただしPCI対応RADEON X800シリーズと異なり、上位モデル「RADEON X800 XT Platinum Edition」も下位モデル「RADEON X800 XT」もパイプラインを16本実装している(PCI対応RADEON X800下位モデル「RADEON X800 Pro」は使えるパイプラインが12本に“設定”されている)。

RADEON X800の上位モデル(白金版!)と下位モデルのスペック。上位モデルのストリートプライスは499ドルで出荷開始が7月末、下位モデルは449ドルで出荷開始6月末の予定。ただし、PCI対応のRADEON X800 Proの実売価格やRADEON X800 PlatinumEditionの実売予想価格を考えると、499ドルというのはちょっと低く見積もっているように思える

 RADEON X600とRADEON X300は、それぞれ昨年登場している「RADEON 9600」「RADEON 9200」シリーズのアーキテクチャを継承したもの。RADEON X600の動作クロックは、コアクロックでRADEON 9600 XTと同じ500MHzだが、メモリクロックは上位モデルの「RADEON X600 XT」でRADEON 9600 XTの600MHzから740MHzと高速化されている(下位モデル「RADEON X600 Pro」はコアクロック400MHzにメモリクロック600MHz)。

RADEON X600は上位モデルと下位モデルで動作クロックが異なるだけで、ほかの仕様はほぼ同じ。4本のPixel pipeと2本のVertex pipeを実装する

 RADEON X300はバリュークラスながら、グラフィックスカードとしては初めて0.11マイクロプロセスルールを採用した。TSMC製のこのプロセスルールを採用することで、ダイ面積を0.13マイクロプロセスルールダイと比較して20%も削減、バリュークラスで重要になる低価格を実現した。また、四つのPixel pipelineを実装することで、これまでのバリュークラスGPU「RADEON 9200」と比べて2倍のパフォーマンスを発揮し、最新の3Dゲームも十分に動作できるとATIは説明している。

RADEON X300では0.11マイクロプロセスルールを採用。その理由はダイ面積を削減することで低価格を実現すること。RADEON 9200ではちょっと足りなかったパフォーマンスもRADEON X300では改善されている

 なお、上位モデル「RADEON X300」と下位モデル「RADEON X300 SE」は動作クロックが同じ(コアクロック325MHz、メモリクロック400MHz)だが、メモリインタフェースのバス幅が上位モデルで128ビット、下位モデルで64ビットと異なっている。ATIもRADEON X300 SEに適している用途として、ゲームなどのホームユースよりも、エンタープライズ市場を想定している。

 ノートPC向けのPCI Express対応GPU「MOBILITY RADEON X600」は従来のMOBILITY RADEON 9600 XTと同じく層間絶縁膜に低誘電体(Low-K)を採用したのに加え、新たに液晶ディスプレイの画質を改善するために「LCD-EE」(LCD Enhancement Engine)を取り入れている。LCD-EEは、解像度のスケーリング処理における画質改善を行う「RMX」やLCDの反応速度を向上させる「LRTC」といった技術を導入することで、高解像度のワイド液晶への対応や表示画質の向上を実現した。

LCD-EEに導入された技術「LRTC」の効果を比較する。液晶の反応速度を向上させることで、表示される画質をくっきりさせ、液晶ディプレイにありがちな「ぼけた画像」をなくすようにした

 また、GPUの負荷や温度を検知して動的なパワーマネジメントを行うPOWERPLAYも「POWERPLAY 5.0」にバージョンアップ。PCI Expressで導入されるパワーマネジメント機能をMOBILITY RADEON X600でも利用できるようになった。

 発表会ではATIがノートPC向けPCI Expressモジュールの規格として発表した「AXIOM」(Advanced eXpress I/O Module)の実物を披露。将来のノートPCにおけるGPUの実装形態として、Thin&Lightマシンにはいままでどおりオンボードにチップを実装し、PerformanceマシンではAXIOM対応カードで搭載すると説明した。

先日リリースされたPCI Express対応モジュール「AXIOM」の実物。持っている手の大きさからも分かるように基板の面積はかなり広い。NVIDIAのMXMと比べても大きいのだが、ATIは本体サイズの制約が少ないPerformanceノートで採用する予定なので、基板面積はそれほど重要ではないのかもしれない
ワークステーション向けPCI Express対応グラフィックスカードは「FireGL V7100」「FireGL V5100」「FireGL V3200」「FireGL V3100」の4種類。レンダリングスピードが従来の10倍になるなど、大量のテクスチャデータをリアルタイムで転送しなければならないFireGLシリーズこそ、PCI Expressネイティブの恩恵を受ける製品といえるだろう

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