GeForce 6800シリーズに秘められたNVIDIA の戦略とは?(後編)(2/2 ページ)

» 2004年06月18日 15時53分 公開
[トライゼット西川善司,ITmedia]
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どうする、どうなる、高次曲面

 次世代3Dグラフィックスの話題には必ずといっていいほど出てくる高次曲面系の話題。「高次曲面」とは、Bスプラインのような高次関数を用い、数値パラメータによって、なだらかな曲面を生成しようとするものだ。

 実際には、生成された高次曲面をポリゴンに分割して取り扱う必要があるので、GPU側にはサブディビジョン(テッセレーション)の仕組みの実装が必要だとされる。

 こうした曲面生成のテーマに対して熱心なのは、NVIDIAよりもATIであったりする。ATIはRADEON 8500シリーズで各頂点の法線ベクトルを補間する形で生成する「TRUFORM機能」を実装し、RADEON 9700以降はこれを「TRUFORM2.0」へと進化させた。

 試みとしては斬新だったが、積極的に活用されたアプリケーションがほとんどなかったために、最近では盲腸的な機能として扱われている。事実、RADEON 9800シリーズ以降、最新世代のRADEON X800シリーズにもRADEON 9700相当のTRUFORM機能が備わっているものの、最近では、そのアピールをATI自身が行っていない。

 余談ではあるが、ソニーのポータブルゲーム機「PSP」のグラフィックスチップがNURBS(Non-Uniform Rational B-Splines)系の高次曲面機能を実装したことで話題を呼んだ。

──今回のGeForce 6800シリーズにも高次曲面関連の機能は実装されませんでしたね。

タマシ氏 そのとおりです。GeForce 6800シリーズには高次曲面関連の機能は実装されていません。ずっと実装を見送っているのにはいくつかの理由があります。一つは開発者の欲している高次曲面の公式がとても複雑であるということです。二つには、その実装すべき高次曲面の公式について、どれが最適かというものが絞り切れていないということです。

 そして、実装するからには固定機能では困ります。プログラマビリティが提供できなければ意味がありません。現段階ではこうした問題について最適な方針が見出せていないのです。3Dゲームなどのリアルタイム・インタラクティヴ3Dグラフィックスにパラメトリックな高次曲面を活用しようといると問題になってくるのが、当たり判定の問題です。パラメトリックに生成した曲面に対して、的確な当たり判定を行うのはかなり困難です。

──ATIはTRUFORMにおいてポリゴン自動生成の方針で曲面生成のアプローチを行っていますね。

タマシ氏 たしかに、そうしたテーマはGPUの機能設計の視点から見れば興味深いテーマです。それ自体は否定しませんが、ほとんどの3Dゲームや3Dゲームエンジンに活用されていないところを見れば、やはり「扱いにくい」ということではないでしょうか。でも、パラメトリックな曲面生成より、そうしたポリゴン自動生成系の曲面表現がリアルタイム3Dグラフィックスにとっては現実的だと言われているようです。

GeForce FX用デモ「Ogre」より。視点の距離に応じて動的にポリゴンを増減する適応型テッセレーションの仕組みをCPUで実現している

年内にGeForce 6800アーキテクチャの廉価版が登場し、シェーダ3.0仕様はみんなのものになる

 インタビューの最後では、今後のNVIDIAのGPU戦略やGeForce 6800シリーズの展望などについて伺った。

──NVIDIAとATI、双方の最新GPUがで揃ったことで、ますます激化しそうなGPU戦争ですが、結局のところどっちが勝つでしょうね(笑)。

タマシ氏 GeForce 6800 Ultra(コアクロック400MHz)とRADEON X800 XT(同500MHz)では、後者のクロックスピードが25%も高いというのは、既知の事実だと思います。ところが、両者のパフォーマンスは拮抗している。逆に言えば、これは同クロックで比較した場合、我々のアーキテクチャのパフォーマンスは高いということですよね。

 非常に近い将来、GeForce 6800シリーズのメインストリーム版、バリュー版、そしてモバイル版が出てきたときには、コストパフォーマンスに優れ(これは、同じクロックであればより高性能である“クロックパフォーマンス”的発想でもある)や省電力性能に優れる(モバイルで重視される低いクロックで高性能を実現できる)ことになるでしょう。

──GeForce 6800系アーキテクチャベースのメインストリーム版、バリュー版、モバイル版は年内に出てくるということですか。

タマシ氏 出てきますよ(笑)。GeForce FXシリーズのときには、ハイエンドのGeForce FX 5800 Ultraを登場させた6カ月後までにバリュー、メインストリーム、ハイエンドと、すべての市場にGeForce FXシリーズを展開させました。

──今世代でも同じようにをラインアップを展開するということですね。

タマシ氏 そうなりますね。GeForce 6800系も非常にスケーラブルなアーキテクチャなので、バリューからハイエンドまで基本機能が同じでも、パフォーマンスの違ったバージョンの実現が容易です。そう、バリューからハイエンドまでのすべてのGeForce 6ファミリーでシェーダ3.0仕様を満足することになるのです。

──つまり、シェーダ3.0仕様は年内にすべてのユーザーのものになるわけですか。

タマシ氏 その通り。期待していて下さい。

 NVIDIAは、GeForce 6800 GTをラインアップに加えたことによって、GeForce 6800シリーズは「Ultra」「GT」「スタンダード」といった3本柱のラインナップ構成となった。これを受けたATIは、先頃、RADEON X800シリーズの最上位クラスにRADEON X800XT Premium Edition(以下XTPE)というのを設定し、「XTPE」「XT」「PRO」と似たようなラインナップ構成を発表している(ただし、XTはPCI EXPRESS版のみ)。両社の動きは目まぐるしく、そして迅速だ。

 ハイエンドのGeForce 6800シリーズとRADEON X800シリーズは、戦いの火ぶたが切って落とされたばかりだが、すでに戦線は「メインストリーム」や「バリュー」へ拡大し始めているのだ。

今年夏発売予定とされている「Doom3」(上)と「Half Life2」(下)。Doom3がNVIDIA系、HalfLife2がATI系とされるFPS代理戦争の行方も、GeForceとRADEONの争いに少なからず影響することだろう
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