徹底したアナログ志向のデジタル――EPSON「R-D1」(2/5 ページ)

» 2004年07月26日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

1枚撮ったら巻き上げレバーを忘れずに

 ピントを合わせたら次は露出。R-D1は基本的にはマニュアル露出で、レンズについている絞りリングとボディの上面にあるシャッタースピードダイヤルの組み合わせで露出を決める。

 一応カメラ内に露出計があって、絞り値を決めるとファインダー内に適正シャッタースピードが表示されるので、それに合わせてもよいし、構図を見ながら自分で多少ずらして撮ってもよい。

上面から見ると右端に巻き上げレバーと電源スイッチ。その横にシャッタースピードダイヤルとシャッター。そして針式のインジケータがある。大きな針が残り撮影枚数を差し、あとの3つはホワイトバランス、画質、バッテリーとなっている。このデザインは秀逸

 もっともマニュアル系操作が基本中の基本のカメラだが、絞り優先AE機能だけは持っている(シャッタースピードをAEに合わせる)ので、それを使ってもよい。

 そうしたらシャッターを押すのだ。

 一眼レフの場合はシャッターを切るとミラーがアップして光を受光部(フィルムとかCCDとか)に回すため、一瞬画像がとぎれるし、ミラーが動くときのショックで手ぶれしやすかったりするが、レンジファインダーは構造がシンプルなのでそんなことはない。カシャッと軽い音がしてサクッとシャッターが切れる。もちろんファインダーはちゃんと見えたままだ。この辺がレンジファインダーと一眼レフの感覚の違いだ。

 1枚撮ったら忘れずに巻き上げレバーを引く。

 このレバーがデザインやギミックではなく、ちゃんと動作しているというのが面白い。フィルムはないので「巻き上げ」はしないが、シャッターをチャージするために使っている。シャッターが完全にメカニカルで、レバーでシャッターがチャージされ(平たくいうと、シャッターはバネ仕掛けみたいなものでカシャッと走るため、1枚とるごとに元に戻してやらねばならないのだ)、次の撮影が可能になるのである。

 もちろんわざわざ手動にする必然性はないのだが、あえて手動巻き上げレバーを残したのだ。なぜかというと、おそらくは単なるこだわりだ。1枚撮っては手で巻き上げる、という撮影のリズムを再現したかったのであろう。

 実際、リングを回してピントや露出を合わせ、シャッターを切って巻き上げる、という動作には、機器のデジタル化で失われた「自分でメカを操作する実感」があってなかなか楽しい。液晶モニタを見ながら十字キーで操作というのは非常に抽象的で、こちらの意図が伝わるのにワンクッションもツークッションも間にはさまっている感があるが、R-D1のようにメカですべて動くと操作にダイレクト感が出てくるのだ。その辺は機械式時計が流行っているのと似ているかもしれない。

徹底したアナログ志向のデジタルとは

 ではもうちょっと細かく見ていこう。

 CCDはAPS-Cサイズで600万画素。普及型デジタル一眼レフ用CCDとして一般的なものだ。

 レンズはライカのMマウントに対応したレンズがそのまま使える。スクリュー型のLマウントレンズもアダプターを介せば利用可能だ。ただフィルムからCCDになった関係上、装着できるレンズの奥行きに制限がある。あまりレンズが奥に出っ張っているとシャッター幕に当たってしまうらしい。そのくらいだ。

 撮影画像はCCD RAWかJPEGが2パターンの3種類。CCD RAWで撮ってもらってパソコン上で現像するというマニアックな使い方が前提のようだ。

 ユーザーインタフェースはアナログそのものなクラシックさ。

 ピント合わせと絞りはレンズについているリングをそのまま使う。

フォクトレンダーの35mmレンズを装着したところ。この写真でわかるように、レンズにピントリングと絞りリングがついていてこの2つで調整する

 シャッタースピードはシャッターボタンを囲むシャッタースピードダイヤルで。このダイヤルをAEにすると絞り優先AEになるし、+-2段の露出補正もできる。

 シャッタースピードダイヤルの環を持ち上げて回すとISO感度変更ができる。この辺もあまりに昔気質なインタフェースで面白い。ただISO感度は200から1600までで1段刻み。デジタル一眼レフでは一般的な感度だが、ここまで凝ったのならISO100やISO50のモードも欲しかったと思う。

 圧巻はその横にある円形の針式ディスプレイ。これはすごいアイデアだ。

 デジタルカメラの場合、銀塩カメラに比べてユーザーに提示しなければならない情報は多い。ホワイトバランスであり画質や画像サイズであり残り撮影枚数であり、バッテリの残り容量などが該当する。デジタル一眼レフの場合、こういう情報はモノクロの液晶パネルを用意して表示するのが普通だ。R-D1はそれをアナログな針にしちゃったのである。

 円形のディスプレイには針が4つ用意されており、ひとつは残り撮影枚数(それも残り枚数が多いときはアバウトに、少なくなると細かく表示するという方式で非常にわかりやすい)、ひとつは画質、ひとつはホワイトバランス、残りはバッテリだ。これで表示部もすべてアナログにしちゃったのである。

 しかもこの針の動きがまた絶妙で、非常に気持ちよい。何しろ針のムーブメントにはセイコーのクォーツと同じものが使われているのだ(さすが「セイコー」エプソン)。

 面白いのはホワイトバランスで、屋外のホワイトバランスは天気図の記号を、室内のホワイトバランス(白熱灯と蛍光灯)は建築用の記号を使って、すべてをアイコン化した。なお、ハイエンド機につきもののカスタムホワイトバランス機能はない。

巻き上げレバーの下にWB、Qと書いてあるレバーがある。これをWBにしてボディ左上にあるノブを回すとホワイトバランスの値を、Qにしてノブを回すと画質を設定できる。背面はLCDをひっくり返して隠しているところ。焦点距離の換算表が張り付いている

 これらの変更は背面のスイッチ+左上にあるダイヤルで行う。これはなかなか面白い。

 ユーザーに提示される情報はこれだけ。何しろストロボは内蔵されていないので発光モードは不要だし、測光パターンも中央重点のみなのでいらないし、絞りやシャッタースピードはダイヤルでダイレクトにセットするので別途表示する必要がないなど、表示しなければならない項目自体が少ないのだ。

 でも液晶モニタは持っている。これは各種初期設定とプレビューのため。撮影時は不要なので、180度ひっくり返して普段は畳んでおくこともできる。

背面には回転式の液晶パネルがあるが、回転といってもひっくり返して隠せるようにするのが主眼
液晶パネルの右にあるボタンを使って操作する。Mボタンを押すとこのようにメニューが現れるので、それをノブを回して項目を選択する。ボタンがアイコンで表示されているのでわかりづらいが、基本的に単純なのですぐ慣れるだろう

 ただし、レンジファインダーカメラという性格上、パララックスがあるため撮ってみないと細かい構図の確認ができない、マニュアル露出で撮ったときは撮影後に露出が適正かどうか確認したいということもあって、液晶モニタのプレビューをチェックしたいことも多いだろう。そういう意味ではフィルムと違って撮影枚数が多く撮り直しも自由なデジタルのよさも持っているのだ。

メディアはSDメモリーカード。右側面にスロットがある。

レンジファインダーの交換レンズ

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