「B」のほうが、少なくともカモははっきり見えるようになっただろう。しかも、圧縮しにくい水の部分がカットされているため、同じ設定であるのに、「B」のほうが数Kバイト、容量が小さくなっているのだ(「A」は65.8Kバイト、「B」は61.9Kバイト)。
たとえDVDからリッピングしたきれいなDivXムービーであっても、ケータイ向けにする時、この程度工夫するということは無駄ではないのだ(もちろん、それ以前に著作権には十分に気をつけて……)。
このトリミングをどうやってやるか? ビデオ編集ソフトを使えばいちばん簡単なのだろうが、私の場合はProバージョンのQuickTime Playerで行った。参考までにやり方を示すと、
1.グラフィックソフトで、マスク用の画像を用意する。2色で、切り抜く部分を4:3の割合にしておくことが重要(画面1)。
2.QuickTime Playerの「ムービー」メニューから「ムービーのプロパティを表示」を選択する。
3.左のプルダウンで「ビデオトラック」を選択し、右のプルダウンで「マスク」を選ぶ。
4.「設定」で先ほどのマスク画像を選択する(画面2)。
5.逆になっていたら「反転」をクリックする(画面3)。
6.あとは「ファイル」メニューの「書き出し」を選択し、表示されたダイアログで「ムービーから3G」を選択する。
7.「オプション」をクリックして3GP、3G2など、それぞれの設定を行う(画面4)。
とまあ、こんな感じである。それが面倒であれば、ビデオ編集ソフトなり、Cleanerのようなソフトを使えばよろしい。
……というのが、パソコン動画をケータイ動画に変換する方法だ。しかしながら、多くの人は、それよりも「ビデオカメラとしてケータイを使った場合、その動画をどうやって利用するか?」といったことを考えているだろう。考えてみれば、これほど機動力のあるビデオカメラは他にない。街で事故現場を録画することもあるだろうし、突然会った芸能人を録画しちゃうこともあるだろう(注:私はそんなことは推奨しません。きちんと断ってから撮影しましょう)。
その映像をケータイで送る……というのが理想なのだろうが、ご存知のとおり、動画のファイル容量はデカい。パケット代もバカにならない。そもそも、同じキャリアでないとフォーマットが違ったりもする。海外の恋人に近況を知らせたい場合にも(そんな奴いる?)、機械オンチの恋人に動画でアリバイを作りたい場合にも(これはいるだろう)、やはりケータイなんか使えない……。
こういった場合に最大公約数に近いのは、やっぱり「DVDに焼いて送る」ということではないだろうか。もちろん、176×144ピクセルとかのビデオを4倍に引き延ばしてキタナくするのはバカげている。だが、「見られる」ということが重要な局面もあるハズだ。
その場合は「QuickTimeの機能を使ってデコードできるDVDオーサリングソフト」を使えばよい……が、なかなかWindowsではそういうソフトはない。この場合には、
1.ケータイムービー(.3gpもしくは.3g2)をQuickTime Player(Proバージョン)で開く
2.書き出しで「ムービーからAVI」などにして他のフォーマットに書き出す。
3.その書き出したファイルを「HOLON Hyper DVD Author」や「DaViDeo Hyper Video」などでCDやDVDに書き出す。
という方法をとるしかあるまい。いちどAVIにする時点で画質が落ちてしまうが、それには目をつぶっていただく。とにかく、DVDプレーヤーでもパソコンでも見えるということが重要なのだ。
も、そこまでやるのであれば、やはりケータイではなく、せめてサンヨーのXacti(DMX-C1)くらいのカメラは欲しいところである。何度も言っているように、圧縮によって元ムービーよりきれいになるということはないのだ。
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