400枚撮り+便利なビジネスショットが付いた軽薄短小デジカメ――EXILIM EX-Z55(3/4 ページ)

» 2004年09月06日 11時55分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

ビジネスショット機能はとても便利

 実のところ、Z55は日常的な利用は「静止画モード」(プログラムAEモードと考えていいだろう)だけで事足りるが、それではフォローできないこともある。例えば静止画モードではスローシンクロ撮影はできないし、シャッタースピードも下限が1/8秒止まり。

 そういうときはベストショットモードを使う。

 カシオオリジナルのベストショットモードは全部で23種類のシーンモード。一般的なシーンモードに含まれる風景や人物、夜景といったポピュラーなものもあれば、緑を鮮やかに、夕焼けを強調といったデジタル的に絵作りをしちゃうもの、花を撮る、ペットを撮る、料理を撮るといった目的別など多彩だ。

 その中ではプログラムAEやホワイトバランス、ISO感度の調整のほか、彩度・コントラスト・シャープネスといった絵作りなど広い範囲で調整されているが、夕焼けを撮るなら赤フィルタがかけられる、コレクションを撮るならグリッド線表示など独特の機能も付加されるのでけっこう使える。

(オリジナル画像はこちら
最初の1枚は「静止画」モードで撮った夕刻の空。2枚目はベストショットモードの「夕日を撮る」で撮った同じ空。赤フィルタがかかっててすごくウソくさい夕焼けになった。でもこれで青空部分が写ってなければ、派手な夕焼けだったね、でOKなところ。こういう写真を撮れるのもベストショットモードの面白さだ(オリジナル画像はこちら

 ベストショットのいいところは、目的とその解説が画面でわかりやすく表示される点と、ベストショットモードでもメニューから細かいセッティングができること。

 スローシャッターやスローシンクロ撮影が欲しいときは夜景モードにするが、夜景モードだとホワイトバランスが太陽光に、フォーカスは無限遠に固定される。それでは思ったように撮れないときは、夜景モードのまま、ホワイトバランスやフォーカスモードを変えられるのだ。上手に使いこなせばけっこう多彩な撮影が可能なのである。

 そしてベストショットに新しい、ユニークな機能が追加された。ビジネスショットと呼ばれる「名刺や書類を写します」と「ホワイトボードなどを写します」の2つだ。

 これは面白い。机の上などに置いた名刺を撮りやすい角度で適当に撮ると、そこから名刺と思われる矩形部分を検出し、歪みや傾きを補正して長方形の画像を作り出すのだ。

 ではパスネットのカードを使って、実際に作成の手順を見せよう。このようにけっこうな精度で撮れるし、斜めから撮ってもOkなのでデジカメを画像メモとして使いたい人に便利だろう。

ベストショットモードでシーンを選ぶ
構図を決めて撮影
プレビュー時にオレンジ色の枠が表示される。それでOkなら補正開始
補正された結果がこれ
実際に撮影された画像。斜めから近距離で撮ったので全体がシャープというわけにはいかないが、実用性は十二分(オリジナル画像はこちら

 これはパスネットのカードをビジネスショット機能で切り出した例。解像度は1600×1200になるが(トリミングして中央部を切り出すのでこのくらいでちょうどいい)、非常に便利だ。

 検出が難しいケース(被写体の模様や背景とのコントラスト差など)では、複数の切り出し候補が表示されるので、そこで左右のキーで正しいものを選ぶといい。たいていのケースでうまくいくし、ダメなときはキャンセルすれば元画像が保存される。

 カードや書類、ホワイトボード以外でも、観光地の解説や名所旧跡の由来を書いてある板、時刻表など四角くて切り取って正面から見たいものがあればけっこう役立つ。デジカメならではの便利で面白い機能である。

相変わらず電池の持ちは抜群によい

 EXILIM Z55の基本的な機能は以上の通りだが、他にも面白い機能はいろいろと搭載されている。

 セルフタイマー時に3枚連写する機能は集合写真向けで、1枚だと誰かが目をつぶったりへんな表情をしていることもあるが、自動的に3枚撮っておけばどれか1枚はちゃんと撮れているだろうというちょっとしたアイデアが秀逸。

 再生は非常にコマ送りが高速で快適だが、カレンダーモードにすると画面にカレンダーが表示されて、写真を撮った日だけカレンダーにサムネイルが表示される。大容量のメディアを入れて撮り溜めする人には過去の写真をさっとさかのぼれていい。

 記録メディアはSDカードだが内蔵メモリも9.3Mバイトあるのでいざというときに少しだけ助かる。

 もちろん従来のEXILIM同様、クレードルが付属し、クレードルを使って充電や画像転送のほか、フォトスタンドとして使うこともできる。

 圧巻はなんといってもバッテリー。コンパクト機としては大きなバッテリーを搭載。一般的な薄型機が700-800mAhクラスなのに対し、1230mAhと大容量であり、省電力機構とあいまって、CIPA規格のテストでは約400枚の撮影が可能だ。多くの薄型コンパクト機と比べて倍以上の枚数であり、充電し忘れるほど気持ちよく使える。

 撮影枚数だけを見れば400枚もいらなさそうだが、実際には撮影だけでなくプレビューを見たり、再生して他人に見せたりといろんな使い方をするわけで、電池の持ちがいいに越したことはないのだ。

SDカードと大きめのバッテリーは底面にある。バッテリーの大きさに注目
クレードルには液晶パネルを手前にしてセット。クレードルの「PHOTO」ボタンを押すとこのようにスライドショーが開始され、「USB」ボタンを押すとパソコンへの画像転送が可能になる。これは使いやすい

 大きさや画質の安定度という面ではEXILIM Z55はトップというわけではないが、カメラとしてのバランスもいいし、画面がでかくてバッテリーの持ちが抜群にいい。何よりひと手間かけられる人には細かい機能やベストショットモードが非常に便利だ。初代EXILIM ZOOMから非常に着実でいい進化をしており、「カメラ」の概念にとらわれない新機能もけっこうイケてる。

 個人的には機能が増えすぎて煩雑になったメニューの整理やオートホワイトバランスの精度、スローシンクロモードの追加など細かいな要望はあるが、普通に使っても凝った使い方をしても楽しめる定番デジカメとしてよい製品に仕上がってると思う。おすすめ度はけっこう高い。

EX-Z55、作例

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