携帯電話で「ENC」「港湾案内」が使えちゃう勝手に連載!「IT at SEA」(海で使うIT)

» 2005年02月10日 21時49分 公開
[長浜和也ITmedia]

 国土交通省では、市販の汎用機器をプレジャーボートで海に関連する情報を利用するためのプロジェクト「プレジャーボート安全利用情報システム」(海なび)を現在推進中。本日から始まった「第44回東京国際ボートショー」でもブースを設けてデモンストレーションを大々的に披露している。

 このプロジェクトは、海図情報や気象情報、周辺の港、施設、店舗情報といった海に関係する情報を集約した「海なび」メニューにアクセスすることで、ノートPCやカーナビ、携帯電話をプレジャーボートの航海機器にしてしまおう、というもの。

 すでに別記事で、PCやカーナビを使ったサービスのデモを紹介したが、ここでは、とくに記者が注目した「携帯電話を利用した海なび」を詳しく紹介したい。

 このシステムは昨年のボートショーの記事でも紹介した「海ざんまい」を開発、運営しているワムネットサービスが、携帯電話バージョン「海なび」の開発にも協力している。

 デモでとくに驚かされたのが、ENCデータや小型船舶向け港湾案内のPDFデータを呼び出して表示する機能。ENCのデータを利用することで、改補データを反映した最新の状態をつねに参照できたり、灯質など周辺目標の情報を呼び出したり(即座に観測できる、「色」「閃光回数」「周期」を入力すると適合する灯台名が検索できる機能などが考えられる)、GPS機能と連動して自船位置のプロットできる、などなど、多様な機能が実現する可能性がある。

携帯電話で利用する「海なび」に用意されているメニューには、海ざんまいでも使えた「自己位置検索」「相手検索」に加えて、「海図閲覧」「気象・海象」「緊急情報」と海に関連した情報が追加されている

緊急情報では記憶に新しい津波情報など、自船位置の周辺で突発した事象をメール機能を使って警告してもらえる

携帯電話版海なびの「注目機能その1」がこの海図閲覧。表示させたいエリアを選択すると……

驚くなかれ「ENC」をベースにした海図が表示されるのだ。デモでは海図の表示と左右のスクロールしか出来ないが、将来にむけて実装する付加機能を現在構想中だ

気象情報として表示されるのは、主要灯台で観測された風速などの気象観測データ。すでにMICSで携帯電話向けに提供されている情報だが、記者も出港前から航海中や帰港するまで定期的にチェックする実に有用なコンテンツだ

海なびで用意されているメニュー「海の情報」には、航路情報や避難港情報、停泊地情報など、クルージング派の船乗りに有効な項目が用意されている。そのなかにある「推奨ルート紹介」を開くと、とくに利用の多い、または入港が難しい航行ルートが用意されている

その中のひとつ「横浜ベイサイドマリーナ」入港ルートを表示。入港に使えるルートと進入禁止のルートが図で示される。ここで使われているのは、なんと日本水路協会が発行している「プレジャーボート・小型船用港湾案内」のPDFデータが利用されている

 今回のデモでは、ENCや港湾案内のサーバに保存されているデータにアクセスする方式をとっているが、このシステムが実現するかどうかは、管轄である海上保安庁との調整しだい、ということ。

 今回の展示におけるユーザーの反応も海上保安庁の協力を得るための重要な要素になるということなので、興味あるユーザーは、ぜひボートショーのブースに足を運んで、担当者に意見を述べていただきたい。

 組織的な仕切りがあるとは思うが、ENCのデータが携帯電話で使えるようになるということは、使いやすい、かつ、誰もが持っているデバイス、安全を確保できることにもつながるはず。海上保安庁にとってもプラスになるアイデアであるのだから、「海の安全」を向上させるためにも、ぜひ、関係機関が協力して「携帯電話でENC!」を実現していただきたい。

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