大型液晶一体型PCは、新しいユーザーを創出できるか──NEC「VALUESTAR W VW900/CD」(2/2 ページ)

» 2005年04月13日 18時04分 公開
[八木慎伍,ITmedia]
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PC機能も必要十分ではあるのだが

 テレビ機能の話が先になってしまったが、PCとして見てみると、テレビ機能を優先しているがゆえの制約がいろいろと見えてくるのは否めない。まず、PCとしての操作性だが、光学ドライブやメモリーカードスロット、USB端子などは本体下部の前面からアクセスが可能で、使い勝手は悪くない。

 しかし、そのほかの端子は、本体側面に配置されている。「側面ならまだいいではないか」と言われそうだが、大きな液晶ディスプレイが災いして筐体側面に手を出すのがえらく大変なのである。せめてPCカードスロットとIEEE 1394は、本体前部に欲しいところなのだが。

光学ドライブとメディアスロット、USBが配置された正面

本体に設けられたコネクタ類はカバーで隠されている。右側面にはUSB、IEEE 1394、PCカードスロット、光音声出力が設置されている

左側面にはキャプチャーカードやネットワークなど、常時接続している端子がある。ケーブルを接続した状態でもカバーでコネクタ部分を隠すことができる

側面に設けられたインタフェースだが、背面からの姿でもわかるように、正面からは大きな液晶ディスプレイの脇から手を伸ばすようになる

 また自慢の大画面の液晶ディスプレイも、PCの表示デバイスとして評価すると、26インチという大きさながら解像度は1360×768ドットであるのが引っかかってしまうのだ。たしかにテレビとしては充分な解像度と言えるのだが、PCとしては荒い。デスクトップアイコンは13ミリ角とかなり大きめに表示される。

 また、500カンデラの高輝度を目の前にするとかなり眩しい。最高輝度にしてメモ帳を開くと、筆者は目が痛くなってしまった。なるほど、VALUESTAR Wの標準壁紙が黒を基調としている理由が理解できる。この壁紙なら最高輝度でテレビ画面と切り替えても違和感がないのだ。

 しかし、Webブラウザを開いたりメールソフトを起動したとたんに、眩しさを感じる。これまでもノートPCで500カンデラクラスの製品を評価したことがあったが、眩しさは本機が一番。やはり画面の面積が効いてるのだろう。

 もちろん、本体下に輝度調整ボタンがついているのだが、これも操作しやすい場所とは言い難い。キーボード側に輝度調整ボタン、もしくは一発押しただけで輝度を落とせるボタンがないのが悔やまれるところだ。

 しかし、このような注文は、従来のデスクトップPCのようにディスプレイの前に座ったときのこと。やはりこの筐体サイズからすると、机の上ではなく、リビングルームに置き、ゆったりソファにでも座って操作すべきなのかもしれない。本体付属のワイヤレスキーボードとマウスは2.4GHz帯の新RF方式を採用し、3メートルの有効範囲を誇ることからも、開発した側もそういった使い方を想定しているのだろう。

3メートル先から使える無線方式のワイヤレスキーボード。VALUESTAR Wはソファーにゆったりと座って操作する使い方が前提なのだろう

 ならば、PC3Dゲームを迫力の大画面で……、とも思うのだが、グラフィクス機能はIntel 915GV内蔵のGMA 900。VALUESTAR Wでグラフックスカードは増設できないのはこれまでの一体型PCと同様で、PCとしての拡張性は乏しい。

結局、お買い得なのか?

 これまで一体型PCは、PCとしての機能に加えてAV機能も楽しめる「パーソナルな」マシンとして、スペースが限られた室内で使うためのオールインワン性が重宝されてきた。本機の下位機種である、VW700/CDは、20インチワイド液晶を搭載しているが、こちらはまだ従来のマーケット向けと言えるだろう。

 しかし、VALUESTAR Wはこういったユーザー層とは異なるマーケットに適しているのは明白。このサイズと重さは、ほぼ32インチワイド液晶テレビと同じ、どこに置くべきかも明白。あくまでも「リビングルームPC」の新しい姿を提案しているのだろう。

 さらにいうと価格も近い。VALUESTAR Wの実売予想価格は約32万円だが、ほぼ同じ値段でデジタルチューナー付きの32インチ液晶テレビを購入できる。同じ画面の大きさの26インチワイドデジタルテレビならば、HDD&DVDレコーダをセットにできる。もっと言ってしまうと、アナログonlyで良ければ、液晶テレビとHDD&DVDレコーダのセットに格安PCの組み合わせも購入範囲に入ってしまうのだ。さて、読者の皆さんならどれを選ぶだろうか?。

そしてリビングルームPCに未来はあるのか?

 どれを選ぶかは、それぞれのライフスタイルや、既に持っているPC/AV商品の絡みもあるので、一概に言えないのだが、正直「これが一番のお勧め」と言えないのも事実。

 「合体商品は、本来成熟したカテゴリー同士がくっつくことで成立する商品」と筆者は考えるのだが、テレビデオしかり、これまでの一体型PCも成熟したアナログテレビとの組み合わせだったからこそ、優位性があったのだと思う。

 しかし、今はテレビもデジタル放送の流れが見えてくるなどまさに大きな変化の最中。この中で、あえてアナログのみのテレビ機能で勝負をかけられるとも思えない。「テレビは10年越しで使うもの」と思っているユーザーは多いのではないだろうか。

 そういった人が、VALUESTAR Wをテレビとして購入するのは難しいだろう。もちろんPCではコピーワンスや、著作権保護機能など、デジタル放送はなにかとやりにくく、優位性が出しにくいことも理解できる。たが、ユーザーの立場からすると、あえて高価なリビングルームPCを選ぶ理由が希薄と言わざる得ない。

 ここは、メーカー側も再考して欲しいところ。単にAVを追いかけるだけなら、AV専用機に勝る魅力がないと難しいし、複雑で使いづらい製品になってしまう。逆にPCの魅力をアピールするなら、高画質な動画コンテンツが手軽に楽しめるネットワークサービスなど、キラーアプリが必要だろう。

 ネットワーク接続機能を持ち、多様ななコンテンツを扱う能力を持つPCの潜在能力を、リビングで開花させるには、単なる機能の積み重ねだけでは到達するのが難しいのではないだろうか。

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