HPのA3ノビ対応インクジェットプリンタ、その実力は?(2/3 ページ)

» 2005年06月03日 15時10分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

色調が整っていて安定した高画質

 画質評価に用いたインクカートリッジの組み合わせは、フォトブルー、フォト、フォトグレーの9色印刷だ。日本HPのA4機(複合機含む)は、コントラストとシャープネスが高めの硬質な画質と、自然な色合いながらも彩度の高い色をより鮮やかに表現する傾向がある。しかし、Ps8753はA4機より柔らかい雰囲気だ。若干のコントラスト強調はあるが、中間調が少し明るめになるようで、すっきりした印象を持った。

 以上は、sRGBの画像をドライバのデフォルトで出力した場合の印象だ。これとは別に、専用フォト用紙やインクカートリッジの組み合わせに応じたICCプロファイルも組み込まれ、アプリケーション管理のカラーマネジメントが行える。Photshop CSを使い、sRGB画像をICCプロファイル適用で出力すると、コントラストが元画像とほぼ同じになり、暖色系の色がより忠実になった。

 続いてAdobeRGB色空間の画像だが、ドライバのAdobeRGBモードで出力する方法と、ICCプロファイル適用(アプリケーション管理のカラーマネジメント)で出力する方法がある。前者は、コントラストと彩度が強調され、sRGB画像のドライバデフォルト出力と同じように中間調もやや明るい傾向だ。Photoshop CSでICCプロファイルを適用して出力すると、高彩度の部分で階調性がよくなり、元画像になかなか近い発色となる(ディスプレイをしっかり調整しておくことが大切)。

 全体的に見て、グレーインクによるグレーバランスが適切に機能しているようだ。多くのインクジェットプリンタは、色相や明度、彩度の特定領域で色がズレやすいのだが、今回試用した限り、目立つほどの色ズレは確認できなかった。ただし、「青」に関しては、少し派手になる傾向が見られる。新しく採用したフォトブルーインクと、ドライバのチューニング具合によるものではないだろうか。

 また、グレーインクによる高品質なモノクロ印刷も、Ps8753ならではの大きな利点だ。グレーインクを持たないプリンタだと、モノクロ印刷とはいいつつも、ほぼ確実にシアンやマゼンタに色かぶりする。Ps8753にはそれがなく、本当に正しい「グレースケール」で印刷できるのだ。モノクロ写真と印刷を楽しむ人にとっては、非常に大きなポイントだろう。

●sRGB画像「花とミニカー」

画像 ドライバデフォルト
画像 ICCプロファイル
ドライバデフォルト出力は、赤いミニカーと青いミニカーをはじめ、黄色、ピンク、オレンジの花びらで彩度が高い。緑の葉っぱの凹凸と、赤いミニカーのボンネットの光沢がくっきりしており、コントラストの強調が伺える。ICCプロファイル適用の出力は、コントラストと彩度、薔薇とミニカーの「赤」が元画像に近い

●sRGB画像「青空と花畑」

画像 ドライバデフォルト
画像 ICCプロファイル
ドライバデフォルト出力は少し青っぽい。コントラスト強調はそれほど目立たないが、手前に比べて奥の木々のシャープネスが高いため、遠近感を損ない気味だ。ICCプロファイル適用の出力は、空の青と木々の緑が自然な色合いになった。コントラストとシャープネスも落ち着き、柔らかめの画質だ。ただ、一見して好ましく感じるのは、ドライバデフォルト出力のほうかもしれない

●AdobeRGB画像「花とミニカー」

画像 ドライバAdobeRGBモード
画像 ICCプロファイル
ドライバのAdobeRGBモードは、黄色とオレンジの彩度が高く、コントラストも強めだ。上部の赤い葉っぱが色飽和し、薔薇の「赤」が朱色っぽくなってしまった。ICCプロファイル適用の出力は、元画像にかなり忠実。AdobeRGB画像を少し派手目に印刷したいときはドライバのAdobeRGBモード、自然な色合いや忠実性を望むときはICCプロファイル適用と、画像や出力目的に応じて使い分けるとよい

●AdobeRGB画像「青空と花畑」

画像 ドライバAdobeRGBモード
画像 ICCプロファイル
sRGB画像の出力をネガフィルムのプリントとすれば、AdobeRGB画像の出力はポジフィルムのような鮮やかさだ。しかし、ドライバのAdobeRGBモードは派手すぎる。コントラストと彩度が強烈で、違和感を覚える発色だ。一方でICCプロファイル適用の出力は、sRGB画像の出力と比べれば派手なものの、全体の発色は元画像にかなり近い。奥の木々でシャドウ寄りの諧調をうまく表現している

印刷は遅いが画質と使い勝手は優秀

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