日立製作所は8月31日、コンシューマ向けPC 2005年秋冬モデルとして「Prius」Nシリーズ9モデルを発表、9月10日より順次発売する。
ラインアップは、デュアルコアPentium D/HDMI端子を搭載し、静音薄型筐体を採用するホームサーバPC「Prius Deck」シリーズ2モデル、地上波デジタルチューナー搭載/ハイビジョン映像用の独自高画質化LSIを搭載するモデルを揃えた「Prius Air」シリーズ3モデル、液晶一体型デスクトップ「Prius Air One」シリーズ、15インチラスタビュー液晶搭載のノートモデル「Prius Note」シリーズ3モデルの計4シリーズ9モデル。
・「Prius Air」「Prius Air One」シリーズ詳細
今回のモデルのテーマは「ハイビジョン全面展開」。同社リビングルーム設置向け大画面TVやデジタルレコーダーシリーズとなる「Wooo」、そしてパーソナル向け家電融合化PCを「Prius」と互いを“ワールド”というくくりで位置付け、家庭内利用において高度に融合させるデジタルホーム的な使い方を提案している。
従来の3種の神器といわれる「薄型TV/DVDレコーダー/デジカメ」から進化する形として、同社では「ハイビジョン薄型TV/ハイビジョンHDD・DVDアプライアンス/ハイビジョンブロードバンドPC」を次世代3種の神器として設定した。それら3種はデジタルハイビジョン放送/IPネットワーク/高速無線ネットワークといったインフラないしHDMIなどのデジタル端子にて接続されることにより、家庭内におけるハイビジョンデジタルホーム製品を構成し、それら製品群となる「次世代3種の神器」事業に経営資産を集中させていく方針。
現在、電話・インターネット・映像配信を、具体的には映像や音声、データを一括して配信する“トリプルプレイ”サービスの主導権争いが激化している。高速データ通信の定額化・1セグ放送、無線LANスポットのエリア拡大・FTTHエリア拡大、地デジ放送エリア拡大・地デジ専用チューナーといったインフラ面の普及過渡期にあるためだ。
ただしこのことは、それらを構築するインフラ・事業者視点となっており、「それとは別にユーザー視点で考えて何が提供できるかということが重要」と同社コンシューマ事業統括本部CMO兼開発本部長 大石志郎氏は語る。
同社が考える、ユーザー視点でトリプルプレイ活用スタイルは以下の通りとなっている。
携帯情報機器(電話) | 0フィートアプリ(身にまとって視聴) | 音楽プレーヤー・携帯電話 |
PC(インターネット) | 2フィートアプリ(向かい合って見て視聴) | ハイビジョンPrius(地デジチューナー/HDDレコーダー/PC機能) |
TV(映像) | 10フィートアプリ(ゆったり、はなれて視聴) | ハイビジョンディスプレイ(Priusの映像アプリケーションを表示) |
これらトリプルプレイを構成する中心となるのが、ブロードバンドPCと位置付けられた「Prius(Deck/Air)」シリーズとなる。「いいとこ観」機能などが備わるメディアセンター的ソフトウェア、HDMI端子(Prius Deckシリーズ)、地デジチューナー・D端子(Prius Air)の搭載を特徴としている。なおPrius Deckでは20インチワイドと向かい合って使用するときに程度なサイズのPC専用ディスプレイを付属させるといった、今回新シリーズの仕様や構成もその想定構想から来ているという(従来は、23インチWoooを付属するモデルも存在した)。
やみくもにPCをAV家電化させる(=リビング用途の大型ディスプレイを付属する)のではなく、家電のWoooとPCのPriusを家庭内で融合させる、つまりPCはPCとして、大画面で視聴する場合は別途好みで、そのためのHDMI/D端子を標準で搭載という考え方となっている。
PCを完全にリビングルーム設置型とし、大型TV兼用とするディスプレイが付属するシャープ「Mebius PC-TX32J」や、そもそもを一体型とする富士通「FMV-DESKPOWER TX」、日本電気「VALUESTAR W」などの他社大画面テレパソを軸にする考え方とは、似ているようで若干異なるところにが興味深い。同社はこのPrius Nシリーズ全体で計10万台の出荷を目標としている。
ハイビジョン・デジタル放送/トリプルプレイサービスの本格化により、ユーザーニーズがどのように遷移するかも想定した“新たなテレパソ”の提供が今後の軸になっていくといえそうだ。
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