「普通の人が使ったら我々はしんどいね」──ヒットメーカー監督も瞠目するVAIO type R

» 2005年09月28日 22時18分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 VAIO type Rの新製品発表を記念してソニーとインテルが合同で開いたトークイベント。そこに登場したのは「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ」などの監督で知られる本広克行氏とその編集スタッフとして日本アカデミー優秀編集賞を受賞した田口拓也氏。両氏はPCで可能になる「映画」の世界について実践的なテクニックを織り交ぜたトークを展開した。

 本広氏と田口氏が初めてユニットを組んだ映画は1996年上映の「友子の場合」。しかし、それ以前にもテレビなどの仕事でそれぞれが「AD」「編集助手」であったときからの付き合い。

 本広氏が最初に購入したのはMacintosh。そして田口氏も「こんなイベントで言うのもなんなんですが」とやはりMacintoshが最初に使ったパソコン。「当時、映像編集の主流はMacだったので必然的に使うのもMacになる」と語っていた両氏も今ではWindowsが導入されたPCを仕事でも使っている。その理由は「今は映像素材をネットワーク上のHDDで共有して作業を行う。そうなるとMacではなかなかしんどい。OSはWindowsを導入するようになってくる」(田口氏)

 今では二人ともVAIO type Rを使っているそうだが、ある意味、このイベントの主役でもあるVAIO type Rについて田口氏は「HDの画質が家庭のPCでサクサク動いてしまうのは、我々にとってしんどい。普通の人が演出を覚えて発表する場が出来るようになったら、我々も安心してはいられなくなるのではないか」と、プロだけでなくホビーユーザーにも高品質の映像作品が製作できるようになる「VAIO type Rの可能性」を示してくれた。

 トークイベントでは、本広氏の最新監督作品で田口氏も製作に関わった「サマータイムマシン・ブルース」で実際に使われている編集技法について、撮影された映像素材をその場で田口氏がVAIO type RとAdobe Premiere PROを使って編集作業を行いながら解説を行ってくれた。

トークイベントに登場した映画監督本広克行氏(左)と編集職人の田口拓也氏(右)。田口氏がVAIOを使うようになったきっかけは「本広さんが小さなVAIO C1を海外に持っていくのを見て“カッコイイ〜”と思ったから」

その場で作業を行いながら「ジャンプ編集」「スロー編集」「合成編集」における実際の作業過程を見せてくれた。「こんな、大勢に見られながら編集作業をするなんて初めてだ」(田口氏)

 「サマータイムマシンブルース」の撮影は本広氏の地元香川県で挙行された。で、田口氏は東京で編集作業。そこで、この図のように撮影素材をインターネットで東京に送信し(40分程度の素材を送るのに2時間程度かかったそうだ)、田口氏が東京で編集。編集した結果をWebサーバにアップし、香川の撮影現場ではWindowsMediaPlayerを使って確認していたという。

 従来の方法では香川から東京に引き上げてきて、1週間程度の編集作業を必要としていたが、このおかげで撮影した翌日には編集結果が確認できるようになった。このスピードアップによって、編集していて絵が足りなければ、その場で追加撮影をしてもらうことも可能になった。

撮影現場の香川から東京の編集スタジオに設けたFTPサーバに撮影した映像を送信。編集した結果はやはりスタジオにあるWebサーバにアップ。これで撮影翌日には編集された画像を確認できる

 二人が出会った当時はまだ導入されていなかったHDDノンリニア編集によって、映画作りはどう変わったか。本広氏は「手作業で1週間かかっていた編集作業が1日でできるようになり、ノンリニア編集によって次々に編集が出来るようになったおかげで作品の妥協点があがった」と語る。また、10分ごとにフィルム交換が必要になる従来の撮影と比べて、いったん回し始めたら1時間は撮り続けられるHDDの導入によって撮影も変わったという。「回しっぱなしにできるHDDはドキュメンタリーの撮影にはとても有利だろう」(本広氏)

 「スピルバーグやたけしはこのような新しい方法は導入していない。次のカットのアイデアを考えているために編集にある程度の時間が必要らしい。でも、私は新しいものをどんどん取り込んでいきたい」と語る本広氏。次回作品は監督10周年を記念して長年温めてきた企画「UDON」(やっぱ香川県人なんですね)を予定しているそうだが、それにも新しいPC技術をどんどん導入していくのだろう。「編集の現場としてはノウハウのない新しい技術を使うのは怖いんですけどね」(田口氏)

会場にはVAIO type Rが展示され、来場者が実際に映像編集などを体験できるようになっていた

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