「レノボのThinkPad」はどこが変わった?──レノボ「ThinkPad Z60t」(1/5 ページ)

» 2005年10月18日 10時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

見て驚く「ThinkPad大変身」

 先日発表されたThinkPad Z60tは、IBMからレノボへと変わって始めて登場した新しいThinkPadラインアップとなる。これまでも、レノボからThinkPadの新製品がリリースされているが、これらはすべて従来から存在していたラインアップの派生モデルであって(レノボジャパンの開発者は、ThinkPad X41 Tabletをレノボ初のThinkPadと紹介するが、しかし、これも「ThinkPad XシリーズにTablet PCの付加価値を取り入れたもの」である)、まったく新しいコンセプトをもった新シリーズは、今回発表されたモデルが初めてとなる。

 日本発表に先行して米国レノボのWebサイトでこの新製品が紹介されてから、「チタンカラー」や「ワイドサイズの液晶ディスイプレイ」に多くのユーザーが注目した。私も、その姿に「レノボの影響を相当に受けたのではないか」とつい思ってしまったのだが、歴代ThinkPadを生み出してきた拠点「大和研究所」のスタッフは「すべて我々が考えて生み出したノートPCである」と口をそろえる。

 すでに報道でも 紹介されているように、ThinkPad Zには「Z60m」と「Z60t」の2ラインアップが用意されており、「マルチユースの“m”」「どこでも使える“t”」という棲み分けなっている。今回は、持ち歩いて使う「ThinkPad Z60t」を取り上げて、新しいThinkPadラインアップで「ThinkPadらしさ」がどのように変わったか(もしくは、変わっていないか)を探ってみたい。

ThinkPad Z60t。今回評価したのはCPUにPentium M 760、メモリを512Mバイト搭載したパフォーマンス重視タイプ構成のチタンパネル採用モデルだ

 ThinkPadで大事なのは外見以上に中身である、とは歴々のThinkPadパワーユーザーからよく聞かされる意見だ。とはいえ、ThinkPad Z60シリーズで採用された「チタンパネル」と「ワイドサイズ液晶ディスプレイ」はThinkPadが大変身してしまったような印象をユーザーに叩き込んでくれる。製品発表会における発言を信じるならば、「黒以外のThinkPad」については長い時間をかけて検討を重ねてきたことになる。その結果たどり着いた「チタン」をThinkPad Z60シリーズの最上位モデルで採用した。

 レノボは「モース硬度で9。これより強いのはダイヤモンドだけ」とチタンの稀なる強さをアピールしているが、モース硬度の指標である鉱石だけでなく合金などを含めても、チタンパネルに傷をつけられるのはアルミナや、アルミニウムボーライドなど一般的でないごく一部に限られる。レノボが製品発表会で見せた「10円玉で傷つかない」だけでなく、生活ダストによく含まれていて細かい傷の原因になりやすい「石英」などはまったく問題にならない。

 レノボの示した資料によると、チタン層の上に「耐指紋コーティング」を施して触っても指紋が付着しにくくしてある、というが、評価機を触ってみると(私が少々脂性であるせいかもしれないが)、赤みを帯びた銀色のチタン色に、少し赤みが取れたような感じで指の跡が残ってしまった。以前ThinkPad S30であった“ピアノフィニッシュ”パネルのように「くっきりはっきり」分かるわけではないが、しばしば布で拭うなどのメンテナンスをしないと「なんとなく、まだらトーン」という雰囲気になるだろう。

 最上位モデル以外のThinkPad Z60のラインアップは従来どおりの黒色。筐体パネルにはカーボンファイバーシートを線維方向が直交するように積層した「マルチレイヤ−カーボンファイバー」を採用して軽さと強度を両立させている。その筐体の質感と色だけならば、従来のThinkPadを彷彿させるのだが、ワイドサイズの液晶パネルを搭載(それと、平行四辺形側面のデザインの採用)したおかげで、ブラックモデルであっても、これまでのThinkPadとは大分雰囲気が変わった外見になっている。

ちょっと見た目には「銀色」と表現されるチタンであるが、マグネシウムとアルミの合金で構成されるLets note T4と比べると黒く、やや赤みを帯びた色調になる
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