i-RAMで「HDDレス」の「HDDレコーダ」なのだ(前編)(1/3 ページ)

» 2005年10月21日 15時01分 公開
[河野寿,ITmedia]

i-RAMで何か楽しいことを考えなさい

 のほほーん、とした秋の昼下がりに私が与えられたお題は「i-RAM」。古くからのPCユーザーに「RAMDISK」という忘れかけていた言葉を記憶の底から呼び起こして恍惚とさせてくれた、あのHDD代替可能なシリコンディスク用の拡張カードだ。ということで、まずはi-RAMのスペックを簡単におさらいしておこう。ギガバイトが開発して販売するこの製品、一見したところではRAIDカードや一昔前にあったディスクキャッシュ機能付きのHDDインタフェースカードにも見える。

i-RAMはPCI「形状」のカードにメモリスロット4本とバックアップ用のバッテリーが搭載されている

 基板には184ピンのDDR DIMMスロットが4本あり、それぞれに最大1Gバイトのモジュールを差して最大4Gバイトまでの「HDD」にして認識できる。カードはPCIスロットに差すが、インタフェースはSerial ATAで、i-RAMに搭載したメモリはBIOSからSerial ATAのHDDとして見える。HDDであるからもちろん起動も可能である。

i-RAMにメモリを搭載してPCIスロットに差してからBIOSをチェックするとこのようにSerial ATAのHDDとして認識される

 バッテリーによるバックアップ時間はi-RAMに搭載しているメモリモジュールの数や容量などにもよるが、おおむね4〜16時間。充電はPCIスロットから行われるので、とくに電源ケーブルの配線などは必要ない。その代わりになんといってもPCIスロットに空きが必要。また、見ても分かるようにこのカードはLowProfileサイズではないので、省スペースPCに組み込んでみようと思っているユーザーは要注意である。

 インタフェースがSerial ATAなので、マザーボードもSerial ATAに対応していなければならないのは当然として、i-RAMが対応するチップセット(サウスブリッジ)もマニュアルに記載されている「ICH6」「ICH7」「VIA8237」「SiS964」「ULi M1689」に限られているようである。もっとも、後述するように「絶対にこのチップセットでなければ動かない」というものでもないようだ。

Linuxを入れてi-RAMだけでも実用マシンに

 さて、このお題をくれたITmedia担当者によると、「今後、PCのメインメモリはDDR2に移行するので、そのときにざっくざっくと余ったDDR DIMMをi-RAMに転用すれば、リサイクルできて高速HDDも手に入ってウッハッハ」という趣旨の製品らしい(本当か)。将来的にはそうなるのかもしれないが、そんな彼がi-RAMと一緒に貸してくれたのは512Mバイトのメモリ2枚。なんか話が違う。

 気を取り直して1Gバイトで何ができるのだろうかと考えてみた。いまどきのWindows XPが最低どれだけのHDD容量を必要とするのかを不勉強にして知らないが、普通にWindows XP Professionalをインストールしてみたところ約2.5Gバイトの空き容量が必要だった。ここからいろいろ削って1Gバイト以下で動作させたとしても、アプリケーションやデータに必要な領域のことを考えると、汎用Windows XPマシンとして使うのはとうてい無理だろう。

 ならば、1つか2つのアプリケーションだけを使う専用機的な使い方ならばどうか?これはけっこういけそうな気がする。ただ、これとて、「i-RAMを使う」となれば誰でも考えそうなネタでもある。軽いOSといえばMS-DOSも考えられるが、さすがにこれは一般的とはいえない。

 おおっと、Linuxはどうだ。そうだそうだLinuxだ。こいつなら容量も小さいから、セットトップボックスみたいに使ったら面白いかもしれない。それならMythTVも入れてみよう……と思って調べてみたら、昨今のLinuxは結構重いOSになっていて、「Fedora Core」などを普通にインストールすると、それだけで平気で2Gバイトをオーバーするという状況のようである。

 とはいえ、Linuxだけでもいろんなディストリビューションがあるし、中にはCD-ROM1枚で起動するものもある。うまくすれば、1GバイトでMythTVを入れてHDDレスレコーダ(どこに保存するのかはさておき)も可能ではないか?! と、野望を胸に各ディストリビューションの調査に乗り出した。条件としては以下のようなものを目標とした。

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