i-RAMで「HDDレス」の「HDDレコーダ」なのだ(前編)(3/3 ページ)

» 2005年10月21日 15時01分 公開
[河野寿,ITmedia]
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2Gバイトで許してください

 おそらく読者諸氏は、筆者が一生懸命がんばってついに1Gバイト以下に収めることに成功して、プロジェクト「んっくす」の最終回はかくのごときか、と思わせるような感動的な結末を期待しているだろう。しかし現実ってのはそんなじゃない。

 筆者は、たまたま買ってきたばかりの1Gバイトメモリが手元にあったので、これをi-RAMに追加して解決してしまったのである(いよっ、お大尽! by 編集部)。「そんなあ」という声が聞こえてきそうだが、なにしろ締め切りが迫っている。悠長なことは言っていられないのである(1週間インストールと削除を延々繰り返して、もう飽きた、ということでは断じてない)。

 幸いなことにi-RAMは容量の異なるモジュールの混在にも寛容で、3枚めとして差すだけで簡単に「2GバイトのHDD」となってくれた。ちなみに最初に差してあった2枚のDIMMはCenturyのPC3200(DDR400)で、あとから差した1枚のDIMMはSamsungのPC3200(DDR400)だ。

1Gバイトをこっそり足して2Gバイトにしてしまいました

 が、しかし。

 2Gバイトとなったので、コトは簡単に運ぶと思いきや、そうは問屋が卸さなかった。Fedora Core4でいろいろ試行錯誤した末、MythTV込みで2Gバイト以下に抑えられたのは確かだが、導入途中の段階では2.5Gバイトほどのディスク容量が必要となったからだ。HDDでテストしたときには総容量8Gバイトだったので途中で2Gバイトを越えても問題はなかったが、最初から2Gバイトしかないi-RAMでは途中で容量が足りなくなってしまう、というわけだ。

救世主Vineの登場

 あれを消しては○○Mバイト減ったと喜び、それを消してはハングアップしてガックリ再インストール……という「賽の河原」的作業を繰り返してばかりでFedora Coreの肥大ぶりにもちょっと嫌気がさしてきたので、ここはFedora Coreをあきらめ、もう少しライトなディストリビューションであるVineを試してみることにした。

 「数枚組がざら」というインフレ甚だしい昨今のディストリビューション界において、Vineは最新の3.2でもバイナリがCD-ROM1枚に収まるというすがすがしくも、今となっては貴重な存在だ。HDDにインストールしてもカスタムでパッケージを選べば1Gバイト程度に収まる。おまけに玄人志向やアイ・オー・データ機器の一部ハードウェアエンコードカード用のドライバ(いわゆる“ぱ研さん”のドライバと呼ばれるもの)があらかじめ含まれている。「それならなんで最初からVineを使って原稿をとっとと仕上げないのだ」とITmedia“ケチケチ”魔王に言われそうだが、VineにはあのMythTV用の偉大なパッケージ「mythtv-suite」が用意されていないので、自分でこれらをインストールしなければならないのがなんとも面倒だったのだ。

 ところが、最近「釣ったよ! 釣りとコンピュータ」というWebページを主宰されているsgさんが、Vine用のMythTVスイートを配布しているを発見した。いつのまにやらapt-getで簡単にMythTVスイートをインストールできるようになっていたのだ。あまりに素晴らしいのでさっそく利用させていただくことにした。

 ここで、インストールする環境と条件を整理しておこう。

  • i-RAMは2Gバイトとする
  • OSはVine 3.2をカスタムインストール
  • キャプチャカードはアイ・オー・データ機器のハードウェアエンコード対応「GV-MVP/RX」を使用(ほかにも玄人志向「CX23416GYC-STVLP」やバッファロー「PC-MV51XR/PCI」などが使える)
  • ドライバには「ぱ研さんのドライバ」を使用(標準ドライバでも使える)
  • mythtv-suiteはsgさんのサイトから

 ちなみに、作業で使用したマザーボードはMSI「MSI865PE Neo2-PFS」。このサウスブリッジにはICH5が使われている。i-RAMのマニュアルにはICH5に対応していると書かれていないが、今回試してみた限りでは問題なくi-RAMを利用できた。CPUはCeleron/2.4GHz、メモリは512Mバイト、ビデオカードはGeForce 2 MX、CD-ROMドライブはインストール時に使用するだけなのでそこら辺に転がっていたミツミのFX4820Tを使用した。「まっとうな」HDDはもちろん「ない」。

OSだけだと1Gバイト少々に収まる

 方針が決まったところで、Vine3.2をインストールする。言語には日本語を選択し、インストールオプションを「カスタム」にして導入するパッケージグループを選ぶようにする。パーティションの設定は手動で行い、スワップ領域は割り当てないようにした。次に進むときに「スワップを作らないのか」と怒られるが、メインメモリが512Mバイトもあったらスワップも512Mバイト必要になるので、たかが2GBのHDDにそれだけの領域をとる余裕はない。ここは「スワップはいらん!」とはっきり断ろう。

 カスタムで選択したのは以下のとおり。これだけで1124Mバイト必要だった(依存関係を調整して最終的には1135Mバイト)。

X Windowシステム

日本語入力システム

GNOMEデスクトップ環境

インターネットクライアント

基本開発ソフトウェア

サウンドツール

 無事にインストールが終了したところで空き容量を見ると、使用量は1.1Gバイトで空き容量は806Mバイトとなった。インストールされたパッケージには開発環境も含まれているので、これならMythTVのスイートを入れても空きは十分にありそうだ。

(後編ではGV-MVP/RX用のドライバとmythtv-suiteをインストールして「HDDレスのHDDレコーダ」を完成させる)

インストール直後にdf -hでi-RAMで構築した「2GバイトHDD」の空き容量をチェックする
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