「パソコンの自作、ここが知りたい」ゾーンでは、製品の展示だけでなくパーツベンダーによる「セミナー」も行われている。今や恒例行事なった「週末のプライベートイベント」でもおなじみとなった「開発スタッフが自ら語る」セミナーであるが、WPC EXPO 2005ではパーツベンダーによる「テーマ別自作マシン組み立てライブ」のほかに、クーラーユニットベンダーによる興味深い「冷却関連」セミナーが行われている。ここでは山洋電気による「強制空冷におけるFANの選定と冷却技術」を紹介しよう。
山洋電気といえば、CPUクーラー組み込みのファンやケースファンで知らぬユーザーはいない、というほどのメジャーベンダー。セミナーでは同社が蓄積してきた豊富なデータを公開しながら、「ファンの基礎知識」や「筐体内部における効率のいいファンの配置」などについて説明した。
まずは「偏平ファン」「小型横流ファン」「小型多翼ファン」といったPCでよく使われる3種類のファンそれぞれのメリットデメリットを整理。低騒音化しやすい偏平ファン、送風幅が広いが構造が複雑な小型横流ファン、静圧が高く、通風抵抗が大きい省スペースケースで有効な小型多翼ファン、という使い分けになるそうだ
セミナーでは具体的な数式を使って、ファンの性能に影響する要因を説明。換気風量算定式では、発熱量と筐体内部の温度上昇、換気される風量の関係を紹介。図の下にある関係式を使えば、チップから発生する熱量と筐体内部の上昇温度限度を当てはめて、ケースファンに求められる風量性能を求めることができる(もっとも、ファン以外にも内部の上昇温度に影響する要因はあるが)
こちらは「風量と静圧」「風量と圧力損失」「風量と騒音」の関係。「効率のよいファン」とは「静圧特性」「圧力損失特性」におけるトレードオフのバランスがとれた状態(図でいう最適点)をいう。そのファンにおける「効率よく、かつ、静かな状態」とは、先のトレードオフの取れたポイントで、騒音と風量の関係が最小値になるポイントを取ればいい
ちなみに、最近見かける「多連装ファン」おける特性にもセミナーで言及している
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