軽量で耐150キロのボディで7時間バッテリー駆動──「NEC VersaPro UltraLite」(2/3 ページ)

» 2005年12月05日 15時29分 公開
[長浜和也,ITmedia]

「軽量で長時間駆動」が実現したバランスの取れたトレードオフ

 4セルのバッテリー、というとThinkPad X40シリーズの軽量パックも4セルである。しかし、X40のバッテリー駆動時間は筆者の経験から言っても2時間持てばまずまず、という状態。4セルバッテリーのノートPCは軽量化をもたらす代わりにバッテリー駆動時間が短くなる「トレードオフ」が成り立ってしまう。ところが、VersaPro UltraLiteは4セルにも関わらず、JEITA 1.0の測定値で約7.0時間という長時間駆動を実現している。

 実際に屋外に持ち出して使う場合、パワーマネジメントの条件やネットワーク利用の頻度、そして、なにより液晶ディスプレイの輝度によって、JEITAの測定値よりも短めになってしまうことは、経験的にも多くのユーザーが感じるところであろう。VersaPro UltraLiteのパワーマネジメント設定は、Windows XPに用意されている「電源オプション」を利用するもので、事前に「プレゼンテーション」「VersaPro」などと名づけられたプリセットを選択できるようになっている。

 OSの「電源オプション」の機能に依存しているだけなので、コントロールできるのは液晶ディスプレイやHDDの停止までの時間、スタンバイや休止状態への移行までの時間を設定するだけ(もちろん、CPUとして搭載するPentium Mの省電力機能は有効であるが)。ほかの携帯重視タイプノートPCで採用されている、「ファンの回転数」や接続デバイスへの電源供給をコントロールする機能は用意されていない。

 ただ、省電力で一番影響がある液晶ディスプレイの輝度が、ほかのノートPCでは実用的になるのが中レベルの輝度設定からであるのに対し、評価した機材では最低レベルでもそれほど暗くなく、下から2番めのレベルで十分実用的な明るさを提供してくれる。

 いつものように、実際に屋外に持ち出して、原稿の入力や画像の編集といったワーク作業から、音楽や録画した動画の再生といった「メディアプレーヤー」的な使い方をしてみたが、ほかの機種では中レベルの輝度でないと、30分もしないうちに「目がしんどい」状況に陥るのに、この機材では2時間程度の連続作業(文字の入力や動画の視聴)でも、さほど苦になかった。

 もし、量産機でこの液晶輝度が実現されているならば、VersaPro UltraLiteの優位点として高く評価したい(高く評価したい、という意味では、バッテリー駆動時間を優先して、チップセットにIntel 855GMEを採用した英断にも拍手を送りたい。NECによると、Intel 855GMEは数を十分確保しているので、VersaPro UltraLiteの供給に問題はない、と説明している)。

マンマシンインタフェースとという意味で、液晶ディスプレイとともに好印象だったのがキーボードの感触。このクラスのノートPCでは「やわらかい」打鍵感のあるキーボードが多いなか、評価機は力強くたたいても、それを跳ね返してくれる硬さがあり、長時間の打鍵でも疲れることがない。パームレスト右端に見えるのはBTOで選択できる指紋センサー

 ちなみに、バッテリー駆動時間の正確は客観データではないが、「なんとなくそれっぽい値になる」OSの電源メーターの値は、先ほどの「液晶ディスプレイの輝度が下から2レベルめ」プラス、用意されているプリセットの電源設定から「バッテリ優先」(モニタオフまで1分、HDDオフまで3分)を選択した条件で調べた。

 文字入力という軽作業時で「5時間強」、音楽データ再生時で「4時間20分前後」、動画再生時でも「4時間20分前後」、USBでバスパワーを供給するデバイスを接続して、そこに保存されているデータにアクセスしている状態で「2時間30分前後」という値を示している。

 今回の評価作業では、音楽を聞きながら文字の入力と画像の編集(サイズの変換、レベル補正などの加工作業)を2日ほど行ってみた。満充電状態から開始して断続的に4時間程度の作業を行った後にバッテリーの残量を表示させると、2日ともまだ10%弱残っていた。

 なお、いつもなら、バッテリー駆動時間に大きく影響する「無線LANへのアクセス」も一緒に行うのだが、評価機材には無線LANモジュールが搭載されていなかったため、無線LANにアクセスした状態で電源メーターがどの程度の時間を示すかは確かめることができなかった。

VersaProのラインアップは出張利用を想定して、ACアダプタに直付けできるコンセントプラグを用意し、ACアダプタの携帯利用の利便性も向上させている。こういった工夫も、机上のアイデアでは出てこない、ビジネス現場を知ってこそ実現できるのだろう

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