IPSパネルの低価格32V型液晶テレビ――イーヤマ「Hello TV」レビュー(2/3 ページ)

» 2005年12月09日 12時48分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 本製品は、低価格製品としては珍しく「Super IPS」パネルを採用している。IPS方式は、松下電器産業や日立製作所が採用している液晶パネルで、視野角が非常に広いのが特徴だ。視野角は上下左右ともに176度で、物理的にパネルが見える角度なら映像が視認できる。もちろん、176度の位置(ほぼ真横)からテレビを見ることなんて、ほとんどないだろうし、実用的にも意味はないのだが、左右60度くらいまでならコントラストや発色にあまり違いが出ないのは、IPS系のパネルならではのメリットだ。

 画質評価は、東芝「RD-XD91」のD端子から「PLC3200-S1」のD端子、またコンポーネント端子からビクター「LT26-LC60」のコンポーネント端子に接続して行った。端子は違っても同じコンポーネントなので、出力される映像信号も同等と思っていいはずだ。

 画質設定は、プリセットの「標準」。かなり輝度が高く、発色は鮮やかで白も濁りがない。基本的には鮮やかさを狙った画質といえる。人肌には若干ながら“赤み”がのるが、家電メーカー製品も含めて同様の傾向が見られる製品は多い。ちなみに、肌色の赤みは画質設定で色合いを2〜3マイナス方向に振るとだいぶ落ち着く。

photo プリセットモードは、「標準」「映画」「ゲーム」の3つとシンプル(左)。家電メーカーの製品では「映画」「ムービー」「シアター」といった設定では輝度を低めにするのが一般的だが、本製品の場合は発色の傾向が少し変わる程度だった。調整項目(右)は色温度を除くと5項目とシンプルだが、一般的にはこのくらいで十分だろう。色温度は3段階のほか、RGB各色の調整も行える

 液晶テレビで気になるのは残像だが、横に画面が流れる競馬中継などを視聴していてもほとんど気にならなかった。関連しそうな設定として「動き補正」が3段階で調整できるが、最も強くしても、映像が変化したという印象は受けない。基本的にパネルの応答速度が良好なのだろう。

 反面、高い輝度が災いしたか、あるいはIPSパネルの特性からきているのか、モノトーンの服装や壁面などで粒状感が目立ち、少々ノイズっぽく感じた。もちろん、2メートルも離れて視聴すると気にならないレベルなのだが、多少輝度を下げても傾向はあまり変わらないので、パネルの特性を完全に押さえ込めていない印象を受ける。

 また、D3/D4入力と比較すると、D1/D2入力時の画質が妙にシャープさに欠け、あまく感じる。斜め線のジャギーなどは、比較に用いた「LT26-LC60」より目立たないくらいなので、ちょっと補正がかかりすぎか、アップスケーラーが解像度志向ではないということだろう。再生デバイス側でアップスケールできる場合は、DVDビデオなどもD3/D4出力した方が良さそうだ。

 内蔵チューナーはアナログ地上波のみだが、過大な期待は禁物。発色は悪くないのだが、チューナー出力される解像度が低いのか、小さめのテロップなどが潰れてしまう。同じアナログ地上波放送でも、RD-XD91からD4入力(アップコンバート)した方が明らかに解像度が高く、綺麗だ。画面サイズが大きいだけに、ちょっと気になる。

 画質からはちょっと離れてしまうが、2画面同時表示機能も備えている。親画面内に子画面を表示するP in P(Picture in Picture)では、子画面のサイズを3段階で切替可能。子画面の位置も任意に変更できる。また、画面全体を横に均等2分割してのPBP(Picture by Picture)表示や、親画面を4:3表示にして画面上の空き部分に子画面を表示するPOP(Picture Out Picture)表示も可能だ。D端子入力とPC入力といった組み合わせでは2画面表示はできないが、親画面としてPC画面を表示しつつ、子画面で内蔵チューナーのテレビ番組をみるといった使い方ができる。

photo 2画面表示時のリモコンの「サイズ」ボタン以外にメニュー操作からも変更可能(左)。PIPでは子画面の位置を任意に移動させることもできる
photo 左上からPIPの子画面サイズ小/中/大、下の2つがPBPとPOP。POPは親画面にPCで1024×768ピクセル表示やゲーム機の画面を、子画面でテレビを、といった使い方に便利そう

きわめて実用度の高いPC入力機能

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