冒頭でも触れたように、PC入力はアナログRGBとDVI-Dの2系統があり、切り替えて利用できる。PC向けディスプレイで長い実績のあるiiyamaブランドらしい部分といえるだろう。
アナログRGB、DVI-Dの両方でPCと接続してみたところ、1280×768ピクセルではアンダースキャンもオーバースキャンもない液晶パネルにフィットした表示が可能だった。アナログRGBでは接続直後に画面が少し右に寄っていたのだが、自動調整機能を利用するとピタリと収まった。パネル解像度は1366×768ピクセルなので、1280×768ピクセル表示では完全なドットツードット表示にはならないが、十分シャープな表示品質だ。またPCの起動画面やBIOSセットアップ画面なども問題なく表示され、PCディスプレイとして十分利用できる。
また、PC入力時でもアスペクト比を16:9と4:3を切替可能なので、1024×768ピクセルといった一般的な解像度も正しいアスペクト比で表示できる。1024×768ピクセルで4:3にすると画面中央に表示するようになり、かなり鮮明にみえる。
同機の左側面には、マイクロドライブにも対応するCFスロットと、SD/メモリースティック/スマートメディア兼用スロットがあり、テレビだけでメモリカード内の静止画や動画、音楽ファイルを再生できる。メモリカード内のすべてのフォルダを検索してくれるので、特定のフォルダにファイルを保存するといった必要もない。
最近はメモリカードスロットを持つ液晶テレビも少なくないが、動画再生機能に関しては携帯電話との連携を意識した製品が多く、MPEG1/2/4にくわえDivXまでサポートした製品は珍しい。サポートするメディアはMicroDriveとメモリカードのみのため、PCで録画したMPEG2ファイルを再生するのはあまり現実的ではないが、DivXなら映画などもメモリカードにコピーして再生できそうだ。もちろんギガバイトクラスのメモリカードが必要になるが……。
対応ファイルの情報があまり提供されていないため、いくつかの動画ファイルを再生してみたところ、640×480ピクセルのDivX(Divx 5.21でエンコードしたAVIファイル)、320×240ピクセルのSDビデオ(ISO-MPEG4+G.726、ASFファイル)のほか、3G携帯電話向けにエンコードした3GPP準拠の動画ファイルも、拡張子がASFかMP4であれば再生できた。早戻しや早送り再生も可能で、動きは結構スムーズだ。
ちょっと残念なのは、再生解像度がおそらく320×240ピクセル程度に制限されていることだ。液晶パネルいっぱいに再生されるのだが、明らかに解像度が低い。また常にフルスクリーン表示で、4:3の動画も横に拡大されてしまう。おそらく、ポータブルプレーヤー向けの再生回路をそのまま搭載しているのではないだろうか。もっとも、簡易再生機能としては悪くないので、PCに保存されている動画ファイルをちょっとテレビで見たいときには十分使えるだろう。
HelloTVの魅力は、なんといっても価格だが、すでに同じ価格帯のものや、より安価な競合製品がいくつも登場している。では魅力は何か? といえば、やはり素性の良い「SuperIPS」パネルと、PCとの親和性の高さだろう。若干、パネルを使いこなせていない気もするが、少なくともHD映像をD3/D4入力で視聴する限り破綻は感じないし、実用視野角の広さも魅力的だ。応答速度も良好で、RGB/DVI-D入力でも正確に表示できるため、“小型PCをビデオレコーダー代りに利用する”“大画面でPCゲームを楽しむ”といった使い方にもマッチしそうだ。
ハイビジョン放送を楽しむには別途デジタルチューナーが必要ではあるが、この冬はHDD+DVDレコーダーのデジタルチューナー内蔵モデルが一気に増加し、エントリーモデルなら7万円台でも入手できる状況になった。これからハイビジョンの視聴/録画環境を構築しようと考えている人なら、本製品のようなデジタルチューナーレス製品との組み合わせは無駄がなく、価格の魅力も大きい。とくにPCユーザーにとっては、候補に入れたい液晶テレビが1台増えたといえそうだ。
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