デジタル放送とブロードバンド放送に対応するリビングPC──「シャープ Mebius TX PC-TX100K/PC-32MD3」(2/3 ページ)

» 2005年12月13日 18時50分 公開
[八木慎伍,ITmedia]

「AVセンターPC」初のデジタル放送対応

 注目のデジタル放送受信機能は、富士通やソニーで採用実績のある、ピクセラ製のデジタル放送受信ボードを採用している。詳細は公表されていないが、富士通のセキュアLSIを利用してコンテンツの権利を保護することで、PC上でHigh Definition再生を実現した。

 加えて、PCからディスプレイへの出力も暗号化するために、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection System)に対応したDVI端子を装備。PC-TX100Kとセットになるディスプレイ「PC-32MD3」もHDCPに対応したDVI端子を装備することで、これまで一体型のみで可能だったデジタル放送のHD再生を、外部ディスプレイでも実現している点が新しいAVセンターPCの大きな特徴といえる。

 PC-TX100KとセットになるPCディスプレイ「PC-32MD3」は、このHDCP対応DVI端子だけでなく、アナログRGB端子も組み込んでおり、最大解像度1360×768ドットのPC用ディスプレイとして使えるのはもちろん、さらにデジタルチューナー(BS/110度CS/地上)とアナログチューナーも内蔵している。これでAQUOSブランドでないのが不思議なほどの「ハイビジョンテレビ」としてのスペックを持っているのだ。

 液晶パネルの輝度は450カンデラ/平方センチ、コントラスト比1200対1。これはAQUOSの800対1よりもハイコントラストだ。大型32インチ液晶ディスプレイでも、AQUOSの上位機種向けの4波長バックライトを用意できるところは「液晶のシャープ」の強みを感じる。

 ディスプレイ内蔵のインタフェースとして、ビデオ入力が3系統(2系統はD4端子装備)とPC入力端子(アナログRGB+HDCP対応DVI、PCオーディオ用入力)が用意されている。今後Blu-rayやHD DVDで採用が予定されているHDMI端子がないのは残念だが、PCユーザーにとっては現状十分満足できる入力系を持っているといえる。

背面には常時接続しているインタフェースを配置。デジタル放送のアンテナ端子やHDCP対応のDVI端子など、PC-TX100Kの存在意義といえるインタフェースが並ぶ

左上のAQUOSマークがない以外は、シャープ製液晶テレビと言われても誰も疑わない32インチ液晶ディスプレイのPC-32MD3。AQUOSにはない、左右に15度づつチルトするスタンドが「これはPCディスプレイです」と主張しているようで面白い

テレビとインターネットの融合で新しいテレビを提案

 それぞれ単体で見ても、充実した機能を持つPC-TX100KとPC-32MD3だが、この組合せだけで実現できる、ユニークな機能をシャープはユーザーに提供している。

 その1つが、ディスプレイ側のチューナーでテレビを視聴中にPCを活用するもの。これは視聴しているテレビのWeb情報をリモコンで呼び出す「Web情報」機能だ。リモコンのボタン1つ押すだけで、PCの画面とテレビの画面が「ピクチャーインピクチャー」(PinP)状態になり、PC側はON TV JAPANが提供する「現在視聴中の番組情報」を表示する。ON TV JAPANのサイトから番組の公式ぺージに移ることで、テレビとWebを同時に、かつ手軽に楽しむことができる。

 第2の機能が、テレビ視聴中にインターネットのニュースサイトからテロップを表示させる「テロップ表示」機能。これはPC画面の真ん中にテレビ画面を大きめの子画面として配置し、背景のPC画面からテロップを表示することで、テレビ+ニューステロップ表示を実現している。標準では、毎日新聞のRSSヘッダが表示されるが、ユーザーが自分でRSSサイトを登録できるので、自分の関心のあるジャンルをテロップ表示することが可能だ。

 そのほかにも、登録したWebサイトをディスプレイ側のUIでメニューに表示し、リモコンで「テレビのチャネルを選択するように」Webサイトを切り替えることができる「チャンネルメニュー」や、テレビ視聴中にIP電話のメッセージを通知する機能(NTTコミュニケーションズのドットフォンパーソナルV利用時)などが用意されている。

 技術やPCの仕組みに明るいなら、これらの機能は、「PC側のテレビチューナーでPC側にUIを表示させればいい」とか、「デジタルテレビ放送のデータ放送で充分では」と思うかもしれない。たしかに必ず欲しい機能ではないかもしれないが、情報の入手経路としてテレビ放送とネット通信の長所をうまく取り入れようとしている視点は評価できる。

 とくにテロップ機能は(現在は単にテロップを表示するだけだが)気になったテロップを選択すると、そのサイトのニュースに飛ぶ機能などが用意されれば、さらに便利になるだろう。今後に期待をしたい機能である。

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