PC-TX100Kは、「リビングで家族みんなが使う」PCというコンセプトを重視しているだけあって、リモコンによる操作環境はよく考えられている。リモコンでテレビとPCのどちらもコントロールできるのはもちろん、先述の「Web情報」「テロップ表示」を一発で呼び出すボタンや、ジョイスティックと左右クリックボタンによるポインティングデバイスの機能も組み込まれている。
このような多機能なリモコンが用意されているため、ほとんどの操作はリモコンでできてしまう。ただ、上下左右に動くジョイスティックの回りに、十字方向のカーソルキー(メニューを指定するボタン)があるため、たとえば「上下」という動きをしたい場合、どちらを動かすか、慣れないと迷ってしまうこともあった。
また、呼び出すアプリケーションによって操作体系が統一されていない部分も見られる。簡単な例でいうと、リモコンでDVDを再生させようとすると、PC-TX100KではWinDVDが起動するが、全画面モードにする操作や、アプリケーション終了方法がほかのAVアプリ(StationTV)と違うのだ。また、インターネットボタンで呼び出されるメニューの上下選択といった、単純で直感的な操作が、リモコン真ん中の十字キーではなく、選局ボタンの上下キーで行うことに、マニュアルを読むまで気がつかなかった。
短い評価期間ではあるが、リモコン操作に慣れるまで時間がかかったというのが正直なところだ。また、キーボードに用意されたトラックボールも左側のマウスボタンのクリック操作を考えると、両手でキーボードを持たないと操作できない。そのため、リンクをどんどんクリックしていくWebサーフィンは正直操作が大変である。もし、筆者がこのPCを購入したら、真っ先にワイヤレスマウスを購入するだろう。
確かにリビングルームにマウスは見た目的に似つかわしくないかもしれない。しかし、やはりPCとして使うことを考えると、マウスは必須なのではないだろうか。コンセプトに縛られて、あまりマウスを否定して欲しくない、というのが「1人のユーザー」としての意見である。
AVレコーダーと単純に比較すると、PC-TX100Kはデジタル放送をムーブできないなど、その機能に不足を感じる部分もある。しかし、PCとテレビを融合させるいろいろな機能や、最近盛り上がってきた動画配信サイトを大画面で楽しめる点など、リビングで楽しむAV機器としての可能性は大いに感じることができた。
たとえば、GYAOのコンテンツ1つとっても、デスクトップPCでは、まずニュースが見たくなるのだが、32インチの大画面だと、アニメやアイドルの映像を楽しむ気分になったのが自分でも不思議ぐらいだ。画質は「放送」と比べるべくもないが、コンテンツが楽しければそれも気にならない。
もちろん、ほかにPCがあれば、そちらで録画した番組をネットワーク経由で大画面で再生されることもできる。活用方法の広がりはPCならでは。まだまだ改善点は多いが、今後の可能性が十分にあるPCと言えるだろう。
最後に、液晶ディスプレイのPC-32MD3は、実売価格22万円ほどで単体購入できる。PC入力を持つ32インチ液晶テレビで、この値段は決して高くはない。PCユーザーで大型テレビを購入予定ならば、実に有力な購入候補となるだろう。
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