こんな「静かな」BTXマシンは初めてだ! ─ Gateway「GT4012j」(1/2 ページ)

» 2006年02月03日 17時39分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

 2004年末に日本へ再上陸したゲートウェイだが、その当初から積極的にBTXフォームファクタを取り入れ、先進性をアピールしていた。その後もデュアルコアCPUをいち早く搭載し、2005年春モデルにいたっては、同社のデスクトップPCすべてがBTX仕様のデュアルコアCPUで統一された。

 今回取り上げるGT4012jは、従来からのBTX仕様を引き継ぎつつ、AMDのデュアルコアCPUであるAthlon 64 X2 3800+(2GHz)を採用しているのが最大の見どころだ。これまで、BTXフォームファクタはPentium Dを中心としたインテルプラットフォームが大半を占めていただけに、AMDファンには待望のモデルといえるだろう。なお、上位のラインアップにはPentium D 920(2.80GHz)を搭載したGT5030jとGT5026jが用意されている。

ゲートウェイでは初採用となるAthlon 64 X2搭載のGT4012j

BTX仕様のPCではダントツの静かさ

 そもそもBTX(Balanced Technology Extendedの略、開発コード名はBig Water)とは、ATXの後継規格として2003年にインテルから発表されたものだ。静音性、冷却性能、コストのバランスを図ったもので、ATXよりも冷却ファンの数を減らしながら、ケース内のエアフローを改善することで冷却性能の向上を実現。また、マザーボードにスケーラビリティを持たせることで、容積の小さいPCから大型のPCまで容易に設計できるのも特徴だ。

 そのため、BTXではPC内のレイアウトが大幅に変更されている。BTX仕様のマザーボードは、CPUソケットをケース前面部分に配置し、ノースブリッジとサウスブリッジ、CPU用の電圧調整ユニットなどがほぼ一直線上に並んでいる。加えて、CPUの冷却には従来のヒートシンク+ファンによる単独のユニットではなく、冷却ファンとヒートシンク、そしてダクトを一体にした「サーマルモジュール」と呼ばれるユニットが採用される。このファンから外部の空気を取り込み、上述の「一直線に並んだ」チップを冷やしながらケースの背面に排気される仕組みをとる。これにより、ファンの数を抑えることで静音性の向上とコスト削減が狙えるわけだ。

BTXフォームファクターでは、ケース前面に吸気ファンを備え、取り込んだ外気でCPUやチップセット、グラフィックスカードなどを冷やし、背面に排気する。そのため、拡張カードなどのレイアウトはATXと逆向きになる

 一般的にBTXフォームファクターは静音性に優れるといわれているが、筆者が知る限り、実際は耳障りなノイズが気になる場合が多い。アイドル時は問題ないのだが、システムに負荷をかけたとたんにファンの回転数が上昇してファンの風切り音が耳につくか、比較的静かなものの、ケース内部の温度がかなり高くなるといったケースが大半だった。そもそも、騒音源となる冷却ファンが、耳に近いケース前面にあるのが問題といえるだろう。

 その点、本機はTDPが89ワットのAthlon 64 X2 3800+のCPUを搭載しながら、システムに高い負荷をかけても非常に静かなのは特筆に値する。ファンの回転数が最大になる起動時こそ若干気になるが、アイドル時はもちろんのこと、複数のベンチマークプログラムを同時に走らせても耳障りなノイズが発生しない。筆者にとっては「うれしい誤算」といえるほどだ。

 性能の高いグラフィックスカードを実装しておらず、前述のPentium Dを搭載した上位モデルのようにケースの前後にファンを持たず、前面にある12センチの大型ファンを低速で回しているのが奏功しているのだろう。

前面に設置された12センチ角の吸気ファンはワンタッチで取り外せる。冷却ユニットがいわゆるサーマルモジュールではないため、厳密な意味ではBTX準拠とはいえない気がしないでもない。なお、冷却ファンの回転数はアイドル時で900rpm前後で、騒音は控えめだ
前面中央部に設けられた吸気口。デザイン的にうまく処理しているため、違和感はほとんどない

チップセットはローエンドのGeForce 6100+nForce 410

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