索敵の処理もCarriers at WarとCARRIER STRIKEのコンセプトの違いをよく示してくれる。 CARRIER STRIKEでは「索敵任務」に振り向ける機数と「索敵中心の方位」で決まる「扇形」の向き(索敵機1機あたり10度。18機割り当てれば180度の半円状のエリアが索敵できる。CARRIER STRIKEはマップに“ヘクス”を使っていたが、航空機の針路は「方位」で指定できた)をゲーマーが指定するが、Carriers at Warでは「索敵する方向」(8方位単位)を指定するだけ。あとは、PCが担当する司令部幕僚が索敵機を割り当てて発進してくれる。
航空機の作戦指揮でできることを比較すると、細かいところまで介入できたCARRIER STRIKEと異なり、Carriers at Warは「艦隊司令官」のそれに近い。空母部隊の指揮官(とその司令部幕僚)にとって重要なのは、敵が潜在すると思われる海域(すなわち索敵するエリア)の判断と、攻撃隊目標と出撃時期の決断に集約される。それが決まれば、あとは腹を括って部下にすべてを任せる。それが実際の指揮官であり、そしてCarriers at Warはそういった運用を取り入れた操作体系になっている。
「プレイヤーの立場は艦隊の指揮官」であるCarriers at Warでは水上戦闘の指揮も限定的ながらできる。ここも航空作戦を重視したCARRIER STRIKEの水上戦闘が完全に自動で処理されるのと異なるところだ。
ただし、Carriers at Warの水上戦闘は、艦隊の主隊、前衛、後衛(場合によって空母や輸送船団などの非水上戦闘に適さない集団)ごとに「突撃か退避か」「砲撃か雷撃か」「主隊を狙うか護衛を駆逐するか」といった大まかな指揮しか行えない。
「Great Naval Battles」「TASKFORCE 1942」などの戦術級のような臨場感あふれる精密な水上戦闘を期待すると「こ、こんな大雑把でいいのですか」と思われそうだが、艦長でもなく砲術長でもない、中将少将といった提督が水上戦闘でできることはそう多くはない。「ゲームデザインにおける詳細と省略のバランス」という観点でいえば、海軍作戦全般を扱うCarriers at Warの水上戦闘ルールは優れている。
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