キーボードから本体の電源を入れると、まず気になるのが本体から発生する騒音だ。2台のHDDに加え、発熱量の多いPentium Dと、搭載するパーツの構成からするとやはり冷却がきついのだろうか。
この手のPCではユーザーが本体から離れて使うことを割り引いても、エアコンを強風で動かしている程度の音が聞こえてしまう。Webやメールなど、普通のPCとして使うにも耳障りだ。
しかし、VALUESTAR Wをリモコンから起動してTVとして使うと評価は一変する。起動ボタンを押した瞬間にTVが映るのだ。これがVALUESTAR Wの目玉「ぱっと観テレビ」機能である。
カタログに「約2秒」とあるのは伊達でない。本当にすぐTVを見ることができる。もちろん、起動の速さはアナログ/デジタル放送を問わず、素早いチャンネル切り替えも可能だ。これだけ早いと本体の騒音が気になる前にTVの音が出てしまう。このレスポンスなら“普段使いのTVとして使える”と、家族を説得できるはずだ。
「ぱっと観テレビ」機能の裏では、なんと必ずWindowsも起動している。この点は、ほかのAV重視タイプのPCであるような、組み込み用のWindowsやLinuxが立ち上がっている、いわゆるインスタント機能とも違う。
電源投入から約1分20秒後、Windowsに加え、MediaGarageも起動すると自動的にそちらの操作系に移行する。この時点から録画ボタンや、(デジタル放送を視聴している場合)リモコンの「d」ボタンによるデータ放送視聴も有効になる。
従来のVALUESTAR Wは、TV機能(アナログのみ)とPC機能を完全に独立させていた。リモコンでテレビ機能をオンにすると、TVとしてすぐに番組を視聴できたが、録画操作はPC側の電源も別途操作する必要があった。
自動的に録画まで可能になる「ぱっと観テレビ」は操作性の面でも優れているのだが、消費電力という意味では、Tだけを見ているのにPCの電源も入ってしまうため、かなり不利になる。カタログ値で約255ワットとあるが、32インチクラスの液晶テレビと比べると100ワット程度消費電力が高い点は知っておくべきだろう。できればWindowsを起動させないオプションもあると電気代にうるさい「家族」(いや、誰とはいいませんが)を説得しやすいと思うのだが。
VALUESTAR Wは、現在手に入るAV重視タイプのPCとしてはトップクラスの機能を持つ。その使い勝手には荒削りな面もあるが、ソフトウェアの改善次第でさらなる進化を遂げるだろう。
今回紹介した「実売価格40万円前後」のVW970/EGを購入できる人は限られるだろうが、その機能を見ると決して高い買い物ではない。リビングにおくTVではなく、個人の部屋やワンルーム住居なら、20インチディスプレイのVW770/EGがいいだろう。こちらも実売価格が30万円前後と安くはないが、TV関連の機能はVW970/EGと同じなので、パーソナルTVとしての満足感は高いだろう。
どちらのモデルでも、購入を検討するならメモリの増設をお勧めしたい。標準で搭載されいてるメモリは512Mバイトで、数多くのAVアプリを操る本機としては不足している。評価作業においてもスワップアウトによって動作が急に遅くなるケースが多かった。また、VW970/EGは本体が約40キロと、同じサイズの液晶テレビの倍近くある重量にも要注意だ。大人1人では気軽に動かせない。設置は必ず2人で行おう。
VALUSTAR VW970/EG | ||
CPU | Pentium D 820 (2.80GHz/FCLGA4) | |
マザーボード | NECオリジナル | |
BIOS | AMI | |
チップセット | Intel 945G(QG82945G/NH82801GH) | |
2次キャッシュ | 2048KB(CPU内蔵) | |
メインメモリ | 標準/最大 | 512MB/2048MB |
規格 | DDR2 SDRAM(PC2-4200) | |
メモリスロット(空き) | 240ピンDIMM×2(1) | |
拡張スロット(空き) | PCI×3(0) | |
ハードディスク | 容量 | シリアルATA 300GB×2 |
回転数 | 7200rpm | |
パーティション | C:529GB、D:6.5GB(すべてNTFS) | |
RAID | RAID 0 | |
型番 | Maxtor 7L300S0 | |
DVDスーパーマルチドライブ | スピード | DVD-RAM5倍速/DVD+R DL4倍速/DVD-R DL4倍速/DVD±R16倍速/DVD+RW8倍速/DVD-RW6倍速/CD-R40倍速/CD-RW10倍速/DVD-ROM16倍速/CD-ROM40倍速 |
型番 | Hitachi-LG Data Starage GSA-4165B | |
フロッピードライブ | −(オプション/外付けUSB接続) | |
ディスプレイ | サイズ | 32インチワイド |
解像度 | 1360×768ドット | |
グラフィックスチップ | チップセット内蔵(Intel QG82945G) | |
グラフィックスメモリ | メインメモリと共有(最大128MB) | |
サウンドチップ | チップセット内蔵(HDオーディオ) | |
内蔵スピーカ | 7.5W×2、サブウーファー15W | |
光デジタル音声出力 | 角形×1 | |
TV機能 | 地上アナログ×1、地上/BS/110度CSデジタル×1 | |
ハードウェアエンコーダ(NEC μPD61153F1) | ||
PCカードスロット | TypeII×2(TypeIII×1) CardBus対応 | |
Expressカードスロット | − | |
メモリカードスロット | SDメモリカード/メモリースティック(メモリースティック PRO)/xDピクチャーカード兼用×1 | |
USB | USB 2.0×4(前面×1、左側面×1、右側面×2) | |
IEEE1394 | S400/4ピン×2(左側面×1、右側面×1) | |
ビデオ入力 | D4×1、Sビデオ×2、コンポジット×2 | |
ビデオ出力 | − | |
イーサネット | 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(Intel) | |
FAXモデム | 56kbps(V.92)/14.4kbps | |
セキュリティ | − | |
ドライブベイ(空き) | 5インチ×1(0)、3.5インチ×2(0) | |
電源ユニット | 350W(TIGER POWER) | |
外形寸法 | W960×D360×H604mm(突起部除く) | |
重量 | 約40kg | |
搭載OS | Windows XP Media Center Edition 2005 | |
システムのリカバリ方法 | HDDリカバリ(書き出し可) | |
評価機の価格 | 実売40万円前後 | |
●主な付属品:ワンタッチボタン付き日本語109キーボード(無線)、ホイール機能付き光学式マウス(無線)、B-CASカード、ガジェットスペース用スタンド、電源ケーブル、モジュラケーブル、リモコン、乾電池(単三アルカリ:4本、単四アルカリ:2本)、マニュアル | ||
●主な付属ソフト:Microsoft Office Personal Edition 2003(SP2)、マカフィー・ウイルススキャン(90日間限定版)、マカフィー・パーソナルファイアウォールプラス(90日間限定版)、V3 ウイルスブロック インターネットセキュリティ 2006(30日間限定版)、Norton Internet Security 2006(90日間限定版)、Shuriken Pro4 体験版、MediaGarage、Corel Paint Shop Pro 9、Adobe Photoshop Album 2.0 Mini(機能限定版)、蔵衛門2006 for NEC、InterVideo WinDVD 5 for NEC(Dolby Headphone、Dolby Virtual Speaker機能搭載、DTSオーディオの再生対応)、Ulead VideoStudio 8 体験版、XVD encoder plus 体験版、Ulead DVD MovieWriter for NEC Ver.4、BeatJam for NEC、BeatJam Music Serverなど |
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