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» 2006年03月28日 09時00分 公開

ダイレクトPC最前線: 10万円以下で手に入る!? デル印のモバイルPC――「Inspiron 710m」

デルの個人向けノートPCブランド「Inspiron」シリーズで、唯一2キロを切る小型・軽量PCがInspiron 710mだ。構成次第では10万円以下で購入できる低価格も魅力だが、その実力のほどはどうなのだろうか。

[三宅忍&ダイレクトPC取材班,ITmedia]
12.1インチワイド液晶を備えたInspiron 710m

 Inspiron 710mは、デルが展開する個人ユーザー向けノートPCの中で最も優れた携帯性を備える製品だ。B5ファイルサイズのボディに12.1インチのワイド液晶を搭載した2スピンドルPCで、光学ドライブと4セルバッテリー内蔵時で約1.9キロと2キロを下回る。光学ドライブは必要に応じて着脱が可能で、トラベルモジュールと呼ばれるウェイトセーバーに換装すれば、約1.7キロにまで軽くできる。常にカバンに入れておく1キロ前後のピュアモバイルPCと比べれば重量は少々かさむが、必要に応じて外出先に連れ出すノートPCとしては十分な機動性を備えた1台と言えるだろう。

1280×800ドットのワイド光沢液晶を採用

 本機を構成する要素の中で目に付くのが、1280×800ドット表示に対応した12.1インチのワイド液晶ディスプレイだ。一般的な1024×768ドット表示の液晶ディスプレイに比べて横方向に広いことから、複数のウィンドウを並列表示できる。これは資料を参照しながらビジネス文書を作るときに威力を発揮してくれる。なお、BTOメニューでは液晶のサイズや画面解像度、非光沢タイプを変更できず、必ず光沢処理が施されたパネルになる。DVD-Videoなどの映像コンテンツを鑑賞する場合には、非常につややかな表示が得られるというメリットがある一方で、蛍光灯などの強い光源の下では画面への映り込みが発生する点は覚えておきたい。

TrueLifeと呼ばれる光沢液晶で、輝度は約185カンデラ/平方メートルあるが、左右の視野角は130度とそれほど広くはない(左)。ボディは銀と黒のツートーンで、液晶を閉じた状態でも動作状態を表すインジケータが確認できる(右)。ACアダプタはサイズが27.5(幅)×138(奥行き)×57.5(高さ)ミリ、重量も約350グラムと大柄で携帯性はいまひとつだ

ボディはやや大きめだが使い勝手は良好

 ボディがコンパクトなモバイルPCにとって、キーボードの完成度は一般的なA4ノートPC以上に操作性を左右する要素だ。本機の場合、主要キーに17.5ミリの均等ピッチを確保するほか、Enterキーにも十分な大きさが与えられており、使い勝手は満足できるレベルにある。ただし、Enterキー付近のキーに縮小ピッチが散見され、カーソルキーが一段下ではなく、周辺のキーと密着しているのは気になるところだ。また、筆者は英単語の入力時に右Shiftキーを多用するため、右Shiftキーが小さい点にも不満を覚えた。

 とはいえ、BTOメニューでは英語配列のキーボードを差額なしで選択できるので、より快適な入力環境を求めるならこちらを選ぶのも手だ。なお、キーボードユニットはしっかりとした剛性があり、文章入力中にもキーボードのたわみが見られず、快適にタイピングが行えた。

 タッチパッドはシンプルな2ボタンタイプだが、エッジ操作による上下/左右のスクロール機能を備えるなど、機能面に不備はない。ただ、タッチパッドの位置がホームポジションの中央(具体的にはBキーの下)ではなく、キーボードユニットの中央部分にあるため、ホームポジションに手を置くと慣れるまでは違和感を覚えた。

 モバイル向けのPCながら拡張端子の構成は豊富で満足できる内容だ。ケーブルやメディアの着脱頻度が高いPCカードスロットやSDメモリカードスロット、2基のUSB端子を全て左側面にまとめており、右側面には有線LANやDC入力、S-Video出力端子が並ぶ。USBマウスの接続を考えて、USB 2.0のポートが右側面に1基はあってほしかった。前面にはヘッドフォンやマイクに加え、4ピンのIEEE1394端子が搭載されている。

 動作中の騒音や発熱といった、使用中の快適さにまつわる部分もチェックしよう。騒音面ではシステムに負荷のかかる処理を行なった場合でも、冷却ファンの風切り音が過度に増大することはなく、通常のオフィス環境では周囲の雑音にまぎれる程度に収まっていた。また、発熱面では長時間使用すると本体左側を中心に若干の発熱が見られたが、手のひらや指先が長時間触れても不快感はそれほど覚えなかった。

 悩みどころはバッテリーで、標準の4セルでは駆動時間が約2.75時間と短い。8セルの大容量バッテリーは約5.5時間動作するが、重量が200グラムほど増え、底面にバッテリーが出っ張ってしまうのが痛し痒しだ。

背面はバッテリーが占め、コネクタは前後と左右にある。欲を言えば右側面にもUSBポートを用意してほしかった(左)。メモリやHDDベイ、Mini PCIスロットには底面から簡単にアクセスできる。光学ドライブもワンタッチで着脱が可能だ(右)

実用的なモバイルPCを手ごろな価格で手に入れたい

 BTOに用意されているメニューはなかなか強力で、CPUはPentium M 765(2.10GHz)/755(2GHz)/735(1.70GHz)/Celeron M 370(1.50GHz)、HDDは120/100/80/60Gバイト、メモリも最大2Gバイト(PC3200)、光学ドライブはDVD+R DL対応のDVD±RW/コンボドライブから選べる。それでいて最小構成時で12万円台のリーズナブルな価格を実現しているのは、チップセットに旧世代のIntel 855GMEを採用しているからだ。最新のデュアルコアCPUや高性能なグラフィックスチップを搭載することはできず、FSBも400MHzに限られるが、モバイル用途では不満のないパフォーマンスを発揮してくれる。さらにBTOメニューには光学ドライブベイに取り付けるピクセラ製のTVチューナーユニット(プラス1万9950円)や、AIR-EDGE/ボーダーフォンコネクトカードといった端末を追加できるのがユニークだ。

 同社のWebサイトから購入する場合は、オンライン専用の特別ディスカウントを利用して、より安価に購入できるほか、タイミングによってはさらに価格を引き下げられるクーポン券も併用可能だ。これにより、前述の最小構成時ならば9万円台で本機を手にすることも夢ではない。これらを上手に活用して、実用的な性能を備えたモバイルPCを手ごろな価格で入手してほしい。


安価でパワフルなモバイルPCを手に入れよう

 最新のアーキテクチャとは無縁だが、そのぶん手ごろな価格で入手できる本機のアドバンテージを生かすべく、モバイルシーンで快適に使うためのモデルを提案したい。CPUにはPentium M 735(1.70GHz)を選択したが、これは基本性能を強化するだけでなく、拡張版SpeedStepテクノロジによるバッテリーライフの延長を重視した結果だ。また、メモリはIntel 855GMEチップセット内蔵のグラフィックス機能がメインメモリから最大64Mバイトを流用することを踏まえて1Gバイトに強化している。HDDは価格対性能比で80Gバイトを選んだ。屋外に持ち出すモバイルPCは、落下や衝撃による破損の不安が付きまとう。そこで、これらのトラブルや盗難時にも対応してくれるコンプリート・ケア(1年間)を追加した。構成例にはオンライン特別ディスカウントクーポン券を適用していないので20万円を超えているが、実際に購入するときはこれらの割引サービスを最大限利用することで、10万円台半ばで手に入れられるだろう。

BTO内容 項目
CPU Pentium M 735(1.70GHz)
メモリ 1GB(512MB×2/PC3200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 855GME)
HDD 80GB(2.5インチ/5400rpm)
光学ドライブ DVD±RW(DVD+R DL対応)
無線LAN Intel Pro/Wireless 2915ABG(IEEE802.11a/g/b)
キーボード 日本語配列
バッテリー 4セル
そのほか コンプリート・ケア(1年間)
OS Windows XP Home Edition(SP2)
価格 20万3250円(クーポン非適用)
価格は2006年3月28日現在



手軽にTV番組も楽しめる「イマドキ」のモバイルPCを手に入れる――ダイレクトPC取材班のオススメBTO

 オンライン特別ディスカウントクーポン券を使えばかなり安く手に入れられるInspiron 710mだが、今回はTV番組も楽しめるモバイルPCに仕立ててみた。肝心のTVチューナーユニットはドライブベイに内蔵するタイプで、MPEG-2ハードウェアエンコーダに富士通のMB86393を内蔵する。3次元Y/C分離回路やゴースト軽減機能を備えるほか、TV録画/視聴ソフトのピクセラ製PixeStationTVはiEPGによる予約録画にも対応するなど、一通りの機能を持つ。もちろん、据え置きタイプのアンテナに接続しないと視聴が厳しいため、TVは自宅用と割り切ってでの購入だが、光沢液晶ゆえに動画の見栄えがよく、録画した番組を手軽に持ち運べるのは大きなアドバンテージだ。英語配列のキーボードを選んだ以外はPCのスペックで特筆すべき点はないが、性能面で大きな不満はない。電源のとれない場所で使う機会が多いので大容量の8セルバッテリーを選んだが、ボディ底面にバッテリーが出っ張ってカバンに収まりにくくなるのが残念なところだ。

BTO内容 項目
CPU Celeron M 370(1.50GHz)
メモリ 512MB(512MB×1/PC3200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 855GME)
HDD 80GB(2.5インチ/5400rpm)
光学ドライブ DVD±RW(DVD+R DL対応)
無線LAN Intel Pro/Wireless 2915ABG(IEEE802.11a/g/b)
キーボード 英語配列
バッテリー 8セル
そのほか ピクセラ製TVチューナーユニット
OS Windows XP Home Edition(SP2)
価格 18万675円(クーポン非適用)
価格は2006年3月28日現在


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