「もうみんなMacを買えばいいと思う」の記事で取り上げたように、Apple Computerが突如投下したキラーアプリ「Boot Camp」によって、Intel CPU搭載Macintoshの魅力はさらに高まった。前回はその導入から簡単なベンチマークテスト、気になる点をいくつか紹介したが、今回はさらにいくつか実験をしてみる。なんと言っても「Windows XP vs Mac OS X」の夢の対決がついに現実のものとなるのだ。
まずは前回のベンチマークテストの続きだ。今回はPCMark05、3DMark05、3DMark06で測定した。
PCMark05 | |
PCMark | 3565 |
CPU | 4253 |
Memory | 2901 |
Graphics | 1692 |
HDD | 3980 |
3DMark06 | |
3DMark(1280×768) | 1148 |
SM2.0 Score | 328 |
HDR/SM3.0 Score | 489 |
CPU Score | 1548 |
3DMark05 | |
3DMark Score(1024×768) | 2779 |
CPU Score | 4903 |
CPU性能に比べてGraphicsの数値が低い。3DMark06の途中のFPS表示では「0」なんてのを見てしまった。iMac内蔵のMobility Radeon X1600ではこのくらいなのだろうかと思ったが、原因はどうもそれだけではないようだ。
ここにエプソンダイレクト「Endeavor NT9500 Pro」で同じベンチマークを取った記事がある。NT9500 ProはIntel Core Duo T2500(2GHz)とMobility Radeon X1600を搭載したノートPCで、このiMacと構成がよく似ているのだ。結果を比較すると、CPUの値はクロックの差がそのまま出ているようだが、グラフィックスの値が違いすぎる。PCMark05のGraphicsで、NT9500Proでは3014が出ているのに、こっちは1692。どうも今のBoot Campに付属するドライバはまだ性能を十分に発揮させるものにはなっていないらしい。
さて、同じマシンを使ってMac OS XとWindows XPの処理性能比較をするというチャンスがついにやってきた。これは実験しないではいられない。
ところが、いざやろうとするとなかなかいいツールが見つからない。Mac OS Xで(Intel CPUネイティブな)Universal対応しており、かつWindows版と両方が存在するというアプリケーションはそれほど多くないのだ。
SETI at homeなどで有名な分散処理システムのBOINCクライアントは、その性質上多くのプラットフォームで動くようになっている。そしてUniversal対応版もβ版ながらすでに登場している(*1)。さらに、このソフトには「Run Benchmarks」というメニューがある。ドキュメントを見ると中身は「Whetstone」と「Dhrystone」なのだそうだ。これを使ってみよう。クライアントのバージョンはβ版の5.3.31。Windows版はβ版にする必要はないのだけど、条件をそろえるために同じバージョンにした。やってみて分かったが「Run Benchmarks」中は本来のBOINCの作業はちゃんと停止されていた。
Mac OS X 10.4.6 | Windows XP Professional(SP2) | |
Number of CPUs | 2 | 2 |
Floating point MIPS (Whetstone) per CPU | 1464 | 1664 |
Integer MIPS (Dhrystone) per CPU | 2180 | 2580 |
わたしを含むMacintoshユーザーにとってはショックなことなのだけれど、結果を見るとWindows XPの方がWhetstoneで14%、Dhrystoneで18%も速い。
次はQuick Time。Mac OS X Universal版とWindows版の両方が存在するソフトウェアと言うとどうしてもこうなってしまう。こういう比較のときに一方のOSメーカー(Apple)が作ったアプリケーションを使うのはちょっと心苦しいのだけれど、しょうがないのだ。Mac OS Xの旗色が悪いからホームで勝負を、というわけではない。
測定方法は以前のレビュー(“「2倍速い」Intel CPU搭載の新しいiMacをイジってみた”“iMac IntelはMac OS X 10.4.5で速くなったのか?”)で行った作業をまたやってみることにする。iMovieによって取り込んだ1.9Gバイト(9分28秒)のDVファイルを、QuickTime Playerで開き「ムービーからiPod(320×24)」で保存。その処理時間をストップウオッチで手計測した3回の平均を小数点以下四捨五入している。
Mac OS X 10.4.6 | Windows XP Professional(SP2) |
8分38秒 | 7分46秒 |
結果は……Windows XPの方が11%ほど速い。
何が原因だろう? 各OSでアプリケーションのCPU占有率が違うのではないだろうかと思い、Mac OS XのアクティビティモニタとWindows XPのタスクマネージャーをチェックしてみた。どちらもぶれはあるのだが、使用率はだいたい7割程度でほぼ同じだ(*2)。
Mac OS Xは実はUNIXなので、niceでタスクの優先度を変えることができる。試しに最大のnice -20にしてみたけれど、結果は変わらなかった(*3)。
念願の夢の対決はWindows XPに軍配が上がった。もちろん、これはただの速度比較(それも一部のアプリケーションによる)であって、そのままOSの優劣を決めてしまえるような内容では全然ないのだけれど、それでもやっぱりショックなのだ。
*1BOINC(Berkeley Open Infrastructure for Network Computing)のダウンロードサーバーに置かれている。
*2アクティビティモニタはDual Core CPUの場合200%が最大になるので、表示される値は140%程度ということになる。
*3変わるのはタスクの優先度であってCPUの占有率ではないのだから、あたりまえなのだが。
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