ファンの回転数は1300から2400rpmまで無段階で調節できる。試しに最高回転にするとかなりの風切り音が発生し、近くで扇風機を回しているかのような騒音になった。静音性を考えるとこの状態では使えない、というのが正直な印象。しかし、中速(2000rpm前後)から最低速1300rpmにかけては、逆にほとんど音が聞こえなくなる。ポンプの音も耳につかず、ほかにファンを回しているならSilent Waterを導入したことに気づかないほどだ。
さて、動作を確認したあと、Silent Waterの冷却性能をCPUの温度を測って調べてみた。最高回転時と最低回転、ファンなしの状態で「スーパーπ」の3355万桁計算直後の温度を計測。測定に使ったマシンのシステム構成と結果は以下のとおり。ちなみに、Silent Water導入前のCPUにはリテールのクーラーを装着していた。また測定時の室内温度は24.8度だった。
システム構成 | |
CPU | Athlon 64 3000+ |
マザーボード | ASUS「A8S-X」(チップセット「SiS 756」+「SiS 965L」) |
グラフィックス | 玄人志向「RDX700PRO-E256HL」(RADEON X700 PRO搭載) |
メモリ | PC3200 256Mバイト×4(デュアルチャンネルDDR) |
HDD1 | Seagate「Barracuda7200.9 ST3120814A」(120Gバイト/IDE) |
HDD2 | Maxtor「DiamondMax 10 6V160E0」(160Gバイト/Serial ATA) |
測定結果(CPUの温度) | 測定前 | スーパーπ後 |
リテール環境 | 25.4度 | 33.8度 |
Silent Water環境(ファン停止) | 25.4度 | 42.8度 |
Silent Water環境(LOW) | 25.3度 | 28.5度 |
Silent Water環境(HIGH) | 25.4度 | 26.2度 |
最高回転時は温度の上昇が1度以下に収まり、抜群の冷却性能を発揮した。最低回転でも約3度の上昇に抑えており、リテールクーラーよりも高い冷却効果を持つことが分かる。ただ、ファンを停止するとさすがに高温になった。ケースファンなどでマシンに十分な風が送られている環境でなければ危険だろう。
組み込み式の水冷キットは外付けタイプのものに比べると、ラジエーターとタンクのサイズに制約があるため、静音性と冷却性が低くなる。しかし、計測結果を見る限りは、Silent Waterに外付型と同じだけのポテンシャルを期待してもよさそうだ。特に最低回転でファンを回したさいは、静音性と冷却性を両立するバランスのとれた水冷キットといえる。これで背面に12センチファンの取り付け穴を持たない古いケースにも取り付けられれば最高なのだが……。
これから迎える夏を前に、真夜中でも静かなSilent Waterの導入を考えてみてはいかがだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.