第7回 Windows Vistaの最新βをチェックする元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(1/2 ページ)

» 2006年08月18日 06時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

11月の企業向けリリースに向けて厳しいスケジュールが続くVista

Windows Vistaのロードマップ

 5月にリリースされたβ2リリース(ビルド5384)は、一般のユーザーを含む広範なユーザーに配布された。次に同じように広く配布されるプレリリースは、いよいよRC1(リリース候補1)ということになるわけだが、今のところその正確なリリース日は公表されていない。ただ、これまでMicrosoftが述べてきたように、11月中に企業向けのリリースを行うというのであれば、11月上旬には完成している必要があるだろう。企業向けのリリースに、DVDのプレスなどの製造過程が要らないとしても、そのくらいの余裕がないと、社内のサポート体制の確認、サーバの準備とテストなどに支障が出る恐れがある。

 11月上旬にプログラムコードを完成させるには、どんなに遅くても10月上旬にはRC1のフィードバックが必要だろう。RC1に寄せられたバグリポートを集め、分析・検討し、それをフィックスするには、最低でも1カ月程度はかかると思われるからだ。テスターがRC1を使いそれに基づいてリポートを書くのに2週間程度は必要だとすると、RC1のリリースは遅くても9月の半ば、ということになってくる。

 過去のMicrosoftのOSリリース時は、β2ともなるとかなり完成度が高く、β2からRC1への改修は、目に見えない細かなものが大半だった。したがって、RC1ならそのまま実際に利用できるのでは、と思えるクオリティになっていることが少なくなかったのだが、残念ながらVistaの場合、そこまでの完成度がβ2にない。Vistaのβ2にはコードのバグを論じる以前に、仕様に問題がある部分も残っており、β2からRC1への変更点は少なくないと思われる。言い換えれば、RC1に対するバグフィックスも相当量残る可能性がある、ということだ。正直言って、このスケジュールは相当厳しいと思うが、何とか頑張って欲しいと思う。

より分かりやすくなったシステム性能評価ツールだが……

 このβ2からRC1への作業の途中経過として、デベロッパー向けにリリースされたのがビルド5472だ。July CTP(Community Technology Preview)とも呼ばれるこのビルドだが、RC1へ向けてかなり手が入っている。画面1がβ2として公開されたもの(ビルド5384)、画面2がJuly CTP(ビルド5472)である。それぞれ壁紙はインストール時のデフォルト(いくつか選べる中の左端)で、後者が新しいものに変わっていることがうかがえる(β2の壁紙はインストール作業が終了した後ならば選択可能)。

 Windows Vistaをインストールし、起動してまず目にするのがWelcome Centerと呼ばれるツールだ。ここでシステムの詳細を見ると、利用しているシステムの性能指標が表示される。ここに示されているのは、Performance Rating and Tools(β2での表記)というシステム性能評価ツールにより算出されたもの。どれくらいWindows Vistaを快適に利用できるかを数値化して示すツールだが、β2のものは、それぞれのカテゴリ(CPU/メモリ/グラフィックスといったコンポーネント単位になっている)ごとに、そのコンポーネントの概要とスコア、そしてトータルをOverall Ratingという形で示していた

 このOverall Ratingは、そのマシントータルで、どれくらいのWindows体験ができるかの指標とされており、ISV(Independent Software Vendor)がソフトウェアを販売する際の指標ともなるとMicrosoftは述べている。例えば、ISVがアプリケーションソフトウェアのパッケージにこのレーティングを示すことで、ユーザーは自分のシステムでそのソフトウェアが快適に利用できるかどうかの判断が下せるようになる。具体的には、レーティング3と記されているアプリケーションを快適に利用するには、Overall Ratingが3以上のシステムが必要、といった具合だ。

画面1:β2として一般に公開されたビルド5384のデスクトップ(画面=左)。よく見るとCPUの動作周波数が6.0GHzと誤認識されている(画面=右)
画面2:こちらはJuly CTPことビルド5472のデスクトップ(画面=左)。プロセッサの動作周波数は、本来の3.46GHzになっている(画面=右)

 ただ、このようなアイデアにすべてのISVやIHV(Independent Hardware Vendor)が賛同しているわけではない。Overall Ratingは、システムで最も能力の低いコンポーネント(つまりはボトルネック)のスコアによって決定されるが、すべてのアプリケーションがシステムのコンポーネントをまんべんなく利用するとは限らない。例えば、3Dグラフィックス機能が弱いせいで、Gaming Graphicsのスコアが低いシステムであろうと、オフィスアプリケーションなどでは非常に高速であるということはあり得る。トータルでの性能と、特定アプリケーションでの性能は必ずしも一致しないからだ。

 しかし、MicrosoftはOverall Ratingをボトルネックになっている数値で提示する、という方針を変えるつもりはないらしい。July CTPでは、名称がわずかに変わりPerformance Information and Toolsになったものの、最終スコアをもっとも低いコンポーネントのスコアから算出する方針を貫いている。システムのボトルネックを提示するという考え方は、システムのアップグレードを考える上では役に立つものだが、アプリケーションの適合性を見るという目的にはそぐわないのではないかと思う。

 表記面では、Overall Ratingという呼称をやめ(全体の性能ではなく、ボトルネックの性能を表記するのだから、「Overall」というのは適切でない、ということなのかもしれない)、Base scoreに変更されている。最終的に提示されるのが、Ratingからscoreになったことが、Performance Information and Toolsに名称が変わった理由でもあるのだろう。

 ほかによくなった部分としては、何を計測して得られたスコアであるか、明示されるようになったこと(What is rated)、どこのスコアがBase scoreの根拠となっているのか、表示が分かりやすくなったことが挙げられる。β2では、それぞれのコンポーネントごとのサブスコアがどんな基準で算出されているのか、画面からうかがうことができなかったが、July CTPではデータ転送速度や1秒あたりの計算速度といった表記に改められた。Base scoreの根拠となったサブスコアは、色で識別可能になり、Best scoreそのものがサブスコア同様に、小数点1ケタを含んだものにそろえられたことも、分かりやすくなったと思う。

β2(ビルド5384)のPerformance Rating and Tools(画面=左)と、July CTP(ビルド5472)のPerformance Information and Tools(画面=右)
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