さて、β2でとても気になったことの1つは、NVIDIAのグラフィックスチップで性能が出ず、Desktop Compositionを無効にするかと頻繁に聞かれることだった。が、このJuly CTPのディスプレイドライバでは問題は解消し、少なくともデスクトップの操作において、十分に実用的な性能が得られるものに改善されている。
また、β2ではキーボードドライバの扱いがちょっと変で、例えばインストール時のキーボード選択が、MS-IME、US、JPからの選択になっていた。要するにハードウェアとしてのキーボードレイアウトと、システムで扱う(キーボードから入力する)言語の選択がごちゃまぜになっていたのだが、この問題もJuly CTPでは改善されている。
気になるのは、このようなアップデートが古いビルドに適用されないことだ。上記のキーボードの問題はインストーラにもかかわる問題であり、過去のビルドに適用するのが困難なのかもしれないが、NVIDIAチップのグラフィックス性能の問題は、ドライバのアップデートで解消するものではないかと思われる。ならば、β2のシステムに対してWindows Updateによるドライバの配布を行うべきではないだろうか。
言うまでもなくβ2は、カスタマープレビュープログラムをはじめ、広範な配布を行ったビルドである。それに対してJuly CTPは配布先が限られている。言い換えれば今もβ2を利用しているユーザーは多いはずであり、更新されたドライバを配布する意味はあるはずだ。だが、β2に対してはWindows Defenderの定義ファイルアップデートをはじめとする、セキュリティ関連のアップデート(重要なアップデート)は行われるものの、それ以外のアップデート(オプション扱いのアップデート)が提供されないのは残念だ。
実はJuly CTPで加わった機能の1つは、このオプション扱いのアップデートだったりする。July CTPが標準でサポートするデバイス(July CTPに標準で含まれるデバイスドライバ)は、β2に対してそれほど増えているとは思わない。ところが、インストール完了後、最初のWindows Updateによって、ほとんどのデバイスのドライバがオプションとして提供される。ノートPC用のグラフィックスチップ、サウンドドライバなど、これまではWindows XP用のものを流用しなければならないデバイスが少なくなかったが、July CTPではその必要がほとんどなくなっている。大きな進歩を遂げた部分の1つだ。
フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。
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