“Merom”搭載でパフォーマンスが大幅アップ──ソニー「VAIO type S VGN-SZ92PS」(2/3 ページ)

» 2006年09月21日 10時00分 公開
[富永ジュン,ITmedia]

 プレミアムバージョンが搭載する液晶ディスプレイは蛍光管とインバータを内蔵した一般的な構造ではなく、バックライトに白色LEDを採用することでパネル部の厚みを従来モデルの9ミリから約4.5ミリにまで薄くしている。ほかにも、消費電力が低減したことでバッテリー駆動時間をほかのモデルの6時間から7時間と長くなった。

 天板の素材にはマルチレイヤーカーボンファイバーが採用され、「プレミアムカーボン」と「ブラック(カーボン)」の2色がカラーバリエーションとして用意された。評価機はプレミアムカーボンだったが、天板は同じ方向に敷き詰められたカーボンファイバー1本1本の繊維が分かるツヤ感を抑えた鈍色であるが、そこに細かい青のラメが散らされているために見る角度によって風合いが変わるその様は、上品で、かつ落ち着いた美しさがある。

13.3インチワイド液晶ディスプレイは最大解像度1280×800ドット。プレミアムバージョンではバックライトに白色LEDを採用してディスプレイの薄型化を図っている
店頭モデルの天板は「ブラック」のみ。VAIOオーナーメードモデルでは「ブラック(カーボン」「プレミアムカーボン」が用意されている。プレミアムカーボンではこのようにファイバーが見えるような質感になっている

 このカーボンファイバー素材は見た目や質感だけでなく、本体の軽量化と強度の向上にも貢献している。ほかのモデルが採用しているマグネシウム合金を採用したと仮定した場合と比べ、重さは約30%軽くなるのに強度は約2倍となる。パームレストはアルミニウムを厚さ0.7ミリに押し出し成形したものにヘアライン加工が施された。これも高級感を保ちながらもさらなる軽量・薄型化を追求するためである。なお、パームレストのカラーは他モデルではシルバーだが、プレミアムバージョンのみ天板カラーとそろえたメタリックグレーが使われている。

「パフォーマンス切り替えスイッチ」を切り替えると、このようなメッセージウィンドウが表示されて再起動を促される。再起動後にグラフィックスチップの切り替えが完了する

 VAIO type Sの特徴ともいえる「ハイブリッドグラフィックシステム」は秋モデルでも継承されている。これは、キーボードの上部のパフォーマンス切り替えスイッチを使って、利用するGPUをGeForce Go 7400 with TurboCache、またはチップセット内蔵のIntel GMA 950に切り替える機能だ。GeForce Go 7400を利用する「SPEEDモード」ではゲームなどの3Dグラフィックス処理能力が必要なアプリケーションもスムーズに実行できるが、「STAMINAモード」ではIntel GMA 950が使われ、さらにはCPUの最大動作クロックが下がるためにバッテリー駆動時間が約1.5時間延びる。

 ACアダプタが利用できる環境ではSPEEDモードを選択して高い処理能力を生かしたデスクノート的な使い方をし、バッテリー駆動時はSTAMINAモードに切り替えて長時間駆動を目指すという1つの筐体に性格の異なる2台のノートPCを組み込んだような特性を示す。ただし、OS起動中の切り替えは対応していないため、特性を切り替えるには再起動が必要となる。このあたりがやや使うのを面倒に感じさせてしまう嫌いがある。

VAIOオーナーメードモデルではこのようにASCII配列の英語キーボードを選択できる。色もシルバーとブラックが用意されている

 VAIO type Sのキーボードは、店頭販売モデルはブラックカラーの88キー日本語キーボードに限定されているが、VAIOオーナーメードモデルでは86キー英語キーボードと88キー日本語キーボードのいずれかを選択できるほか、それぞれシルバーとブラックの2つのカラーが用意されている。キーボードのキーピッチは19ミリ、キーストロークは3ミリだ。試用機にはブラックカラーの英語キーボードが搭載されていた。左下、右下の特殊キーなど不自然に幅が狭いものもなく、余裕を持った配列となっている。ただ、Enterキーの右側に「Home」「PageUp」「PageDown」「End」キーが並んでいるのは、ユーザーによって評価が分かれるだろう。カーソルキーも筐体にこれだけのスペースがあるのに一段下がった独立レイアウトになっていない。

 また、3ミリものキーストロークを確保していながらキータッチは底つき感に乏しい。文字入力を中心とした用途を考えているユーザーは一度実際に触ってみてから購入を検討するのがよいだろう。

スタートメニューから「スクリーンセーバーロック2」を起動すると設定画面が表示される。FeliCa対応カードや携帯電話を登録するとFeliCaポートにカードと携帯電話をかざすことでスクリーンセーバーロックを解除できる。パスワードを併用することも可能だ

 キーボード上部、パフォーマンス切り替えスイッチの左側には、プログラマブルな「Sボタン」が2個用意されている。「消音」「スタンバイ」「休止状態」といったスタンダードな機能から「CPU冷却ファン動作音低減」「アプリケーション起動」といったユニークな機能までが用意されていて、設定次第ではかなり強力なツールとなるはずだ。

 ポインティングデバイスは、インテリジェントタッチパッドで端をなぞることでスクロールする機能を備えている。マウスボタンの間には指紋センサーが配置され、指紋認証によるWindowsログオンやパスワード入力のほか、「ScrollLock」キーを押すことで指紋センサーを使った画面スクロールが可能となる「指紋スクロール」が利用できる。

 さらに、TMPセキュリティチップを搭載し、パスワードを暗号化して保存できるなど強固なセキュリティ機能を実現している。FeliCaポート搭載モデルでは、FeliCaの残高確認や入金、オンライン決済といった用途のほかに、FeliCa対応カードや携帯電話をスクリーンロックの解除キーとして利用するセキュリティ機能「FeliCaスクリーンセーバーロック」が提供されている。

 そのほかにも、VAIO type Sに用意された機能として、液晶ディスプレイ上部中央に取り付けられた33万画素の内蔵カメラ「MOTION EYE」やBluetooth Ver.2.0などが利用可能だ。BluetoothとFeliCaポートの両方を選択した場合は、BTOオプションとしてBluetoothヘッドセットが選択できるようになる。これはイヤーハンガータイプのヘッドフォンとマイクが一体になったソニーエリクソン製のワイヤレスヘッドセットで、オンライン通話ソフト「Skype」でのボイスチャットなどに利用できる。

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