Vistaに最適なディスプレイ環境をねっとりと検証するワイド時代の幕開け(4/5 ページ)

» 2006年11月24日 19時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

Windows Vistaでワイド画面を試す

 Windows VistaのUIにはワイド液晶が最適だと言われている。その理由の1つは右端に表示されるサイドバーだ。サイドバーはいわゆる常駐ソフトのためのスペースで、ガジェットと呼ばれるミニアプリケーションを置くことができる。ただし、それなりにメモリやCPUパワーを消費するので、ここには「常に実行・表示させる」ことに意味があるものを登録することになるだろう。そうなるとほかのウィンドウに隠されたりせず、常に前面に表示させておくほうが望ましい。つまり、横長のワイドに利があると言える。

Vistaのエクスプローラは情報量、メニューとも増えている。Windows XPよりも広い面積を必要とするのだ(画面=左)。タスクバーを右端に配置してみた。タスクバーの面積としては増えてしまうが、元々が横長画面なのでそれほど占有している感じはない。IEとテキストエディタ、サイドバーを並べても十分実用的だ(画面=右)

縦長の画面で使ってみる

NVIDIAの設定画面。システムトレイから簡単にアクセスできる

 液晶モニタはほとんどが75ミリもしくは100ミリのVESA規格に対応しており、市販のモニタアームに簡単に取り付けることができる。モニタアームはマルチモニタ以外ではあまり利用価値がないと思われがちだが、実際に使ってみると便利さがよく分かる。そのメリットの1つがモニタを回転させるピボット機能だ。

 以前はモニタ自身にピボットの機能がなければ利用できなかったが、現在の一般的なグラフィックスカードは回転表示に対応しており、システムトレイから簡単に設定を変更できるようになった。

 実際に縦表示にしてみると、横幅が900ピクセルなので窮屈な感じは否めない。だが、アプリケーションによってはこのうえなく便利な場合もある。先ほどの「A4の紙を縦に使用する」場合がその一例だ。

iTunesの画面。アプリケーションによっては視認性が一気にアップする(画面=左)。Sleipnirでは、全画面表示でも広告が切れてしまった。横幅はSVGA(800×600)以上XGA(1024×768)未満だから仕方ないかも(画面=右)。WordならA4サイズのドキュメントが完全に読める状態で表示できる。右下の倍率が等倍以上の105%になっていることに注目(画面=右)

 ただし、縦表示にするときにはディスプレイにとっての左右が利用環境での上下にあたる、ということは気をつけておいてもらいたい。具体的には次の3つの点が挙げられる。

ClearType Tunerを使ってもサブピクセルの並びを縦方向に調整することはできない

 まず1つは、スピーカー内蔵型のディスプレイの場合だ。言うまでもないが、前面左右についているステレオスピーカが上下に位置することになるため、ステレオではなくなってしまう。もっとも、もともとモニタ内蔵のスピーカでは音の広がり感などの再現性は高くないため、それほど影響しないかもしれない。

 2つめは視野角。通常、液晶ディスプレイは垂直よりも水平の視野角が重視される。今回試用したPTFBHF-19Wの場合、水平/垂直とも160度となってはいるが、実際に色合いがオリジナルから大きく変化せずに見ることができる角度は、水平のほうが圧倒的に広い。

 つまり、縦表示にすると水平のほうが狭くなってしまう。複数人が同時に画面を覗き込む場合には不向きだ。逆に一人で見る場合には姿勢の崩れによって下から見上げるような格好になってもそれほど色合いが変化しないというメリットがある。

 3つめは、細かいところだがClearTypeにも影響がある。ClearTypeは液晶のサブピクセルを利用して、フォントの縁にアンチエリアシングのような効果を与える高画質化技術だ。この技術は、1ピクセルが左からRGBの順序で並んだ3つのサブピクセルで構成されていることを前提としているため、サブピクセルが上下に並ぶ縦表示では効果が出ないのだ。

横表示でのClearTypeのオフ/オンのイメージ。ClearTypeを有効にするとサブピクセル単位でなめらかに表示される
ディスプレイを90度回転させてClearTypeを有効にするとかなり縁が乱れてしまうのが分かる

 ちなみに、マイクロソフトが提供しているPowerToys for Windows XPに含まれるClearType Tunerを使えば細かい調整を行うこともできるが、サブピクセルの並びに関しては左からRGBか、BGRかのどちらかからしか選ぶことができない。

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