退化する音楽性に終止符を!――HDオーディオPC「HDC-1.0」発表“のだめ”効果で音楽配信も好調?

» 2007年02月02日 01時55分 公開
[前橋豪,ITmedia]

デジタルオーディオの進化と音楽性は逆行している

HDC-1.0のアンプ付属モデル、APX-1(S)。液晶ディスプレイとスピーカー(D-D1E)は別売だ

 オンキヨーは2月1日、HDオーディオPCと称する小型デスクトップPC「HDC-1.0」を発表した。横幅205ミリのハイコンポシリーズ「INTEC 205」とデザインを共通化し、同社製スピーカーやアンプなどと組み合わせることを想定したPCだ。ラインアップは、本体単体モデルの「HDC-1.0(S)」、デジタルアンプ内蔵ステレオスピーカーとのセット「SPX-1(S)」、デジタルアンプとのセット「APX-1(S)」が用意されている。製品概要は既報の通り。ここでは、発表会の模様をお伝えする。

 最初に登壇した同社取締役 常務執行役員の廻戸正昭氏は、ユーザーの音楽利用形態が変わりつつあることについて、「デジタルオーディオの進化により、音楽は退化している」と指摘。具体的には、音楽CD(16ビット/44.1kHz)の時点で原音を再現できていないのに、昨今はデータ量のより小さい圧縮音楽ファイルを用いる携帯音楽プレーヤーや携帯電話が普及したことで、音楽の品質はますます退化しているとした。

 こうした現状に対して、同社は2006年8月に音楽配信サービス「e-onkyo music」を開始。原音に近い高音質をユーザーにアピールするため、音楽CDを大きく上回る24ビット/96kHz(WMA 9 Pro Lossless)の楽曲データを配信した。現状でe-onkyo musicは、クラシックやジャズを中心に3万5000曲以上の楽曲を揃えている(高音質の楽曲は約600曲)。

 また同社は2006年5月、圧縮音楽の普及によりPCでの楽曲データ管理が一般化したことに着目し、Viiv対応のデスクトップPC「HDC-7」を投入。今回発表する「HDC-1.0」は、音質を重視したオリジナルPCの第2弾になる。同社は“We are HD Sound”のキャッチフレーズを掲げ、今後も高音質の楽曲を「HDオーディオ」として推進していくという。

取締役 常務執行役員の廻戸正昭氏(写真=左)。デジタルオーディオ技術の進化によって原音の情報量が失われている(写真=中央)

 次にゲストとして、インテル マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏が紹介された。同氏は、HDC-1.0が小型の本体を実現するためにCore 2 Duoを採用した点、熱対策をする一方で騒音レベルを25デジベル以下に抑えるためにインテルの「筑波デスクトップ・ラボ」が協力した点をアピール。HDC-1.0でロスレスの楽曲を再生した際の音質について、「音楽は単に聴くものではなく、感じるものだと分かった」と賛辞を送った。

インテル マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏(写真=左)。HDC-1.0の静音性を高めるために筑波デスクトップ・ラボの音響チャンバーで検証を繰り返したという(写真=右)

HDC-1.0はPCアーキテクチャを生かした本格オーディオ製品

 製品開発の経緯や製品の特徴に関しては、オンキヨー商品開発部 部長の神谷速夫氏が説明。デジタルオーディオプレーヤーの普及によってPCを中心としたリスニングスタイルが定着している中、HDC-1.0によって「オーディオがPCとケンカすることなく、広く普及しているPCのアーキテクチャを生かしたうえで原音のよさを伝えていきたい」と語った。開発のポイントは、「原音質を再生する本格オーディオ仕様」「リモコンによる簡単操作」「CDを超える高音質な楽曲配信」の3点という。

商品開発部 部長の神谷速夫氏(写真=左)。HDC-1.0の開発における3つのポイント(写真=右)

 原音質を再生する本格オーディオ仕様としては、INTEC 205シリーズとサイズを合わせた横幅205ミリのコンパクトボディをはじめ、パルス性ノイズを除去するVLSC回路搭載の独自サウンドカード、音質に悪影響を与えるHDDやファン振動の排除、CPUのファンノイズを低減した静音・放熱設計を特徴として挙げた。これらの工夫により、一般的なノートPCのアーキテクチャを使用しながら、本格的なオーディオが味わえるという。なお、同製品にディスプレイは付属しておらず、本体のディスプレイ出力端子はデジタル/アナログ共用のDVI-I(HDCP対応)を搭載している。

オーディオ仕様でこだわった点(写真=左)。ボディ内部には、Mini-ITX仕様のマザーボードを搭載し、CPUとチップセットを大型のダクトで囲んでエアフローの効率と静音性を高めつつ、DVDスーパーマルチドライブに防振用のシートを貼り付けるなどの工夫をした。電源は内蔵しておらず、ACアダプタを使用する(写真=中央)。APX-1(S)に付属するアンプの内部には、巨大なコンデンサやプレートが並ぶ(写真=右)

 リモコンによる簡単操作を実現するのが、独自の音楽再生・管理・編集ソフト「CarryOn Music 10」だ。e-onkyo musicで購入した24ビット/96kHzの高音質楽曲データを再生できるのはもちろん、WAVE、WMA、MP3、AAC、ATRAC、Ogg Vorbisの音楽再生(WMA DRM対応)、音楽CDのリッピング、アナログ音声の録音(Music IDによる楽曲情報取得に対応)と書き出しが行える。付属のリモコンは2.4GHzデジタル無線方式を採用し、PCとの双方向通信が可能。

※記事初出時にOpen MG対応と記載しましたが、Open MGのDRMには対応しておらず、将来的な対応は検討中とのことです。DRMはWMAのみ対応しています。お詫びして訂正させていただきます。

 付属のリモコンには4行表示のモノクロ液晶モニタが搭載されており、液晶モニタの表示を見ながらCarryOn Music 10の楽曲ライブラリを検索して再生できる。リモコンは、PCの起動やアンプの操作にも対応するため、PCに接続したディスプレイの電源がオフでも、楽曲の再生が可能だ。

CarryOn Music 10は、左のタブで機能を切り替えながら利用する。ポッドキャスティングやアルバムアートの表示機能もある(写真=左)。付属の双方向リモコンはUSBのレシーバーを本体背面のUSBポートに装着して使う仕様で、日本語表示に対応したモノクロ液晶モニタを備える(写真=中央、右)

 音楽CDを超える高音質な楽曲配信とは、前述のe-onkyo musicで取り扱う24ビット/96kHzの楽曲データのことだが、製品にはあらかじめ40曲の楽曲がプリインストールされており、その中には24ビット/96kHzの楽曲も含まれる。e-onkyo musicのユーザー数やダウンロード数は非公開だが、昨年後半はフジテレビ系列のドラマ「のだめカンタービレ」などの影響でクラシックのダウンロード数が増加し、若年層の購入者も増えたという。

24ビット/96kHzの楽曲をダウンロードできるe-onkyo music。製品には、24ビット/96kHzの楽曲を含む40曲がプリインストールされている(写真=左)。INTEC 205シリーズのMDデッキ、カセットデッキ、フォノイコライザーとの組み合わせを推奨(写真=中央)。SPX-1(S)付属のスピーカーは、3センチ径のリングツイーター、10センチ径のA-OMFモノコックコーンウーファー、最大出力80ワットのデジタルアンプを備える(写真=右)

 高級志向の製品ながら、OSにWindows VistaのHome PremiumではなくHome Basicを採用した理由については、「CarryOn Music 10を中心としたオーディオ機能に特化した製品なので、Windows Media CenterのAV機能は不要」としている。HDC-1.0はWindows Media Centerを搭載しないことから、Viivにも適合していない。また、CarryOn Music 10の単体販売やViiv対応PCの後継機投入は、現在検討中という。

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