冒頭に書いたように、「一太郎&花子スペシャルパック」から「JUST Suite 2007」になって、パッケージの中における花子の地位は、相対的に低下したと見ることができるかもしれない。しかし、実は、今回のバージョンアップで、最も価値ある機能強化を遂げたのが花子なのだ。パッケージの中の地位はどうであれ、ツールとしての花子の価値は大きく高まったと言ってよいだろう。
その重要な追加機能――それが、「文字入力ウインドウ」だ。
図19の画面を見てほしい。編集画面の左側部分を占めているのが、文字入力ウインドウだ。簡単に言えば、花子図面上の文字枠の内容を一覧で表示するウインドウだが、右側の花子図面と100%連動しているので、編集作業の観点では非常に価値が高い。
枠の作成は、文字入力ウインドウ上で新しい文字列を追加すれば、即座に図面に反映される。あとは図面上で文字枠の体裁や位置を整えればよい。これまで面倒だった操作、例えば1つの文字枠を分割したり結合したりする処理が左側の文字入力ウインドウで簡単にできる。この機能によって、花子は文字通り「言葉から作図する」という画期的なコンセプトを実現したと言えるだろう。
花子に関するそれ以外の改善点をまとめておこう。
まず、画像の貼り付けが、サイズ指定でできるようになっている。これまでは、写真を貼り付けたら画面いっぱいになってしまった、ということが起こっていた。新バージョンでは、画像貼り付け時に、図20のようなダイアログボックスが表示され、貼り付けサイズをその場で指定することが可能だ。さらに、部品が1174点追加されて、なんと総数は13625点にものぼる。クリックテンプレート(クリックしてイラストなどを交換できる目的別テンプレート)は10点追加され総数は570点、イメージも10点追加されて総数1124点となった。
去る1月30日に店頭でWindows Vistaが発売されて、その10日後にVista対応の製品群を発売した意義は大きい。インストーラーの不具合によって目玉のJUST Suite 2007は3月9日に発売延期となってしまったが、そのユーザー重視の姿勢は、これまでのジャストシステム製品のユーザーだけでなく、幅広いの支持を得る原動力となるだろう。新しいオフィススイートの広がりに期待したい。
なお、ここで取り上げたMicrosoft Officeとの互換性に関する情報は、Microsoft Office 2003を対象としたもので、2007 Office systemとの互換性ではない(現状では2007 Office systemで作成したXML形式のファイルには非対応など)ので注意してほしい。
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