これはスペシャルパックではない。オフィススイートだ――「JUST Suite 2007」後編(1/2 ページ)

» 2007年02月22日 11時00分 公開
[松井幹彦,ITmedia]

実直なバージョンアップが行われた「三四郎2007」

JUST Suite 2007のパッケージ

 一太郎2007のレビューに続いて、表計算ソフト「三四郎2007」を見ていこう。

 三四郎は2年ぶりのバージョンアップだ。オフィススイートとしては、2007 Office systemにおけるExcelの位置づけとなるが、残念ながら機能的にはExcelには遠く及ばない。すでに機能競争からは降りていて、それが2年ぶりというバージョンアップ頻度に表れている、と見ることができるだろう。

 もっとも、だからといってJUST Suiteの中で三四郎の価値が低いということにはならない。というのは、Excelほどの高機能を求めない人にとっては、とても使いやすい表計算ソフトだからだ。実際のところ、ほとんどの人は、Excelほどの高機能/多機能は必要ないだろう。きちんと計算ができて、きれいな集計表が作成でき、見やすいグラフが作成できれば十分だという人が多いのではないだろうか。そういう人にとっては、三四郎は、まさにぴったりの表計算ソフトなのだ。

 三四郎の今回のバージョンアップも、そのような観点から行われた。機能強化ではなくて、誰もが使いやすい表計算ソフトを目指して改善されている。例えば、選択範囲のデータの合計などをステータスバーに表示する「オートカルク」機能(図10)、計算元のセル範囲を色枠線で表示する機能、そして循環参照の内容をステータスバーに表示する機能などだ。いずれも、使い易さを向上させるための機能追加である。

 そのほか、グラフのカラーデザインに中間色を使用したり(図11)、表書式(オートフォーマット)に新たに12デザインを追加したりと、より美しいアウトプットを得るための改善がなされた(図12)。

 日本語ドキュメントとして作成する機能が充実しているし、一太郎ワークシートへ三四郎データを追加できるので、一太郎の付属機能のように連携して使うことも可能だ。繰り返しになるが、高機能・多機能でないけれども、価値ある表計算ソフトであるのは間違いない。

 なお、三四郎はExcelファイルとの互換性も持っている。Excelファイルの読み込みと保存が可能だ。Excelデータを三四郎で編集して、その結果をふたたびExcelファイルとして書き戻すことができる。

図10 三四郎2007は2年ぶりのバージョンアップだ。より使いやすくするための補助機能が強化された。「オートカルク」機能によって、選択範囲の合計がステータスバーに表示されている
図11 グラフのカラーデザインが一新された。デフォルト設定で描画すると、このような色づかいのグラフとなる。中間色を使った、上品な印象のグラフを作成することが可能だ
図12 表書式(表のオートフォーマット)は、12スタイルから24スタイルに倍増した。美しいデザインの表を簡単に作成できる

期待のニューフェイス「Agree 2007」

図13 Agreeは、Microsoft OfficeのPowerPointと互換性の高いプレゼンテーションソフトだ。画面構成も操作性も非常によく似ている

 今回新しく加わったAgree 2007は、韓国のHaansoftのプレゼンテーションソフト「Haansoft Slide 2007」を日本語化した製品だ。ただし、単純に日本語仕様に置き換えたというのではなく、日本のビジネスシーンにあわせたスライドデザインやイラストを搭載し、ユーザーインタフェースもほかのジャストシステム製品にあわせて変更している。

 HaansoftのHaansoft Slide 2007は、ハングルワープロ「Haansoft Hangul 2007」、Excel互換の表計算ソフト「Haansoft Nexel 2007 」と組み合わせて、「Haansoft Office 2007」として販売され、韓国では高い評価を受けている。低価格のMicrosoft Office互換ソフトとして日本でも知られている「ThinkFree Office 」も同社の製品だ。

 これらの情報からも分かると思うが、Haansoft Slideは、PowerPoint互換ソフトとして非常に高い能力を持つ。図13がAgreeの画面だ。この画面から分かるように、画面構成はもちろん、ユーザーインタフェースもほとんど同じだ。実際にさわってみた操作性も、PowerPointとほとんど変わらない。さらに、Agree 2007として日本で販売するにあたって、ジャストシステムは、日本向きに、そして一太郎ユーザー向きにチューニングを行っている。具体的には、図14のような日本語フォント13書体が加えられている。

 また、日本地図や記号など日本国内での使用を想定した部品を多数備える(全980種)。スライド用のデザインテンプレートも、日本の伝統色などを使った和風の色彩のものが追加されていて使いやすい(図15)。

図14(画面=左)Agree 2007には、日本語フォント13書体が追加されている。ジャストシステム製品全体に搭載されているフォント5書体とあわせて、18書体を利用可能だ。図15(画面=右)日本のビジネスシーンにあわせて、デザインテンプレートも工夫されている。日本の伝統色などを活かした和風のスライドデザインも選べる

ATOK Lab.の研究成果を受けた最新エンジンを採用「ATOK 2007」

 今回のバージョンアップでは、ATOKがVista対応になったということも重要だ。ATOKは、JUST Suiteの中だけでなく、あらゆるアプリケーションと組み合わせて利用する可能性があるのだから、新しい環境でも安心して利用できるという保証が得られたということには大きな意味がある。

 Vista搭載フォントである「メイリオ」は、経済産業省が規定する「JIS X 0213:2004」(俗に言う新JIS漢字、JIS2004)に対応している。そのため、これまでの環境(JIS90)で使用できなかった文字を使うことが可能になった。ATOKも本バージョンからJIS2004文字コードの漢字を使うことができるが、これらの文字については「環境依存文字」として注意をうながすようになっている。なお、マイクロソフトからは従来OSのWindows XPやWindows Server 2003(JIS90)向けの「JIS2004対応MSゴシック&MS明朝フォント」と、Vista向けの「JIS90互換MSゴシック・明朝フォント」の各パッケージを配布中だ。

ATOK 2007は、従来のバージョン表記に直すと「20」という節目を迎えた。単体パッケージは2つ用意される(写真=左)。ATOKの開発とは独立した自然言語処理研究チーム「ATOK Lab.」の概要(写真=中央)。ATOK Lab.の研究成果を反映した新変換エンジン「ATOK ハイブリッドコア」を本バージョンから導入した(写真=右)

 もちろん、ATOKの変換精度自体も向上している。ジャストシステムでは、これまでのATOK開発チームとは別に「ATOK Lab.」と呼ぶ自然言語処理研究チームが活動をしており、その成果を取り入れて、「ATOK ハイブリッドコア」と名付けた最新の変換エンジンを導入した。その結果、これまで以上の変換精度を得ることができているという。

 そのほか、変換候補を前後の文節との関連を見て動的に入れ替える機能や(図16)、同音異義語の注意喚起メッセージの表示機能などが加わっている。また、前バージョンで追加された日付入力支援機能も進化し、日付変換のキーワードが増え、「曜日」から日付に変換ができるようになった(図17)。「日付パレット」を表示して、カレンダー形式で確かめながら日付データを入力することも可能だ(図18)。

図16 ATOKには、前後の文節にあわせて、辞書の順番を動的に入れ替える機能が搭載された。「田中」と入力したあとで「しゅうじ」を変換すると名前が上位候補として表示される(左)。単純に「しゅうじ」を変換すれば、「習字」「修辞」が上位候補になる(右)
図17 キーワードから日付に変換する機能は、「おととし」「きょねん」「らいげつ」「さらいげつ」などのキーワードや曜日からの変換が追加された。画面は、木曜の時点で「すいようび」と「きんようび」を変換した例だ(第4候補以下が、来週になるか、先週になるか、の違いがあることに注目)
図18 まず、ATOKツールバーのボタンをクリックして「日付入力パレット」を呼び出すと(1)、「日付入力パレット」が現れる(2)。日付をダブルクリックすると本文中に入力でき、このドロップダウンリストで、日付の形式を選べる(3)。さらに、曜日を挿入するかどうか、数字を半角にするか全角にするかなどを指定できる(4)

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