今回は、エプソン、キヤノン、日本HPの最新小型フォトプリンタ6モデルを集め、同一環境で印刷速度の検証を行った。取り上げたモデルは以下の通りだ。各モデルの製品概要とインプレッションは第2回、各モデルの機能比較は第3回を参照してほしい。
本特集で検証する小型フォトプリンタ | ||
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最新技術と多くの機能を備えた上位モデル | ||
Colorio me E-700 | エプソン | 3万2000円前後 |
PIXUS mini 260 | キヤノン | 2万円前後 |
HP Photosmart A716 | 日本HP | 2万5000円前後 |
小型フォトに徹したシンプルな下位モデル | ||
Colorio me E-300 | エプソン | 1万8000円前後 |
PIXUS mini 220 | キヤノン | 1万6000円前後 |
HP Photosmart A616 | 日本HP | 1万9950円 |
単純にインクのノズル数で比較した場合、小型フォトプリンタは複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタと比べて半分程度のノズル数しかないため、印刷速度の低下が予想されるが、果たして実際の印刷速度はどのような傾向にあるのかをチェックしてみよう。
なお、各印刷テストでは、プリンタドライバおよびダイレクト印刷の色調補正に関する項目をすべてデフォルトに設定している。そのほかの計測時の条件については、各項目を参照してほしい。
PCのテスト環境 | |
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CPU | Athlon 64 3200+(2.0GHz) |
メモリ | DDR2 SDRAM 512Mバイト |
HDD | Seagate ST3160021A(7200rpm) |
OS | Windows XP Professional(SP2) |
まずは各プリンタとPCをUSBケーブルで接続し、同一の画像ファイルをAdobe Photoshop Elements 5.0 for Windows経由でL判サイズに印刷した。印刷した画像は、容量約1.8Mバイト/約600万画素のJPEGファイルだ。計測した時間はいずれも給紙の瞬間から排紙の瞬間までで、PC側の処理時間は含めていない。
印刷メディアはすべてメーカー純正の写真用紙を使用した。エプソンのE-700とE-300は最高品位の「写真用紙クリスピア」と高品位の「写真用紙(光沢)」、キヤノンのmini 260とmini 220は最高品位の「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのA716とA616は「アドバンスフォト用紙」および「プレミアムプラスフォト用紙」を用いている。A716とA616は耐水性と速乾性があるアドバンスフォト用紙が推奨メディアだが、プレミアムプラスフォト用紙は色再現域と耐光性に優れるため、参考までにテストした。また、他機種との比較にはならないが、A716とA616は2L判までの用紙サイズに対応しているため、2L判での印刷速度も計測してみた。
プリンタドライバの画質設定は、最高品質、最高品質の1つ下、最高品質の2つ下という3種類を選んだ。以下の表では、左から、最高品質の2つ下、最高品質の1つ下、最高品質の順に結果を並べている。また、4辺フチなしと4辺フチありの2パターンでも印刷速度を計測した。
PCからL判写真を印刷(フチなし) | ||||
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用紙 | 標準 | きれい | きれい(双方向オフ) | |
E-700 | 写真用紙クリスピア | 47秒05 | 1分29秒49 | 1分30秒00 |
E-700 | 写真用紙(光沢) | 48秒36 | 1分30秒60 | 1分36秒26 |
E-300 | 写真用紙クリスピア | 56秒86 | 1分32秒85 | 1分38秒03 |
E-300 | 写真用紙(光沢) | 56秒18 | 1分32秒95 | 1分37秒50 |
用紙 | 標準 | きれい | 品位1 | |
mini 260 | プロフェッショナルフォトペーパー | 51秒98 | 1分8秒1 | 2分38秒66 |
mini 220 | プロフェッショナルフォトペーパー | 1分15秒74 | 2分11秒44 | 2分50秒24 |
用紙 | きれい | 高画質 | 最大dpi | |
A716 | アドバンスフォト用紙 | 52秒85 | 1分29秒88 | 1分46秒63 |
A716 | プレミアムプラスフォト用紙 | 55秒84 | 1分30秒31 | 1分47秒90 |
A616 | アドバンスフォト用紙 | 52秒66 | 1分29秒12 | 1分46秒06 |
A616 | プレミアムプラスフォト用紙 | 55秒98 | 1分30秒92 | 1分48秒24 |
PCからL判写真を印刷(フチあり) | ||||
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用紙 | 標準 | きれい | きれい(双方向オフ) | |
E-700 | 写真用紙クリスピア | 43秒05 | 1分22秒90 | 1分23秒00 |
E-700 | 写真用紙(光沢) | 43秒24 | 1分22秒60 | 1分25秒12 |
E-300 | 写真用紙クリスピア | 56秒86 | 1分23秒52 | 1分26秒06 |
E-300 | 写真用紙(光沢) | 57秒32 | 1分23秒94 | 1分26秒50 |
用紙 | 標準 | きれい | 品位1 | |
mini 260 | プロフェッショナルフォトペーパー | 44秒60 | 59秒56 | 2分13秒00 |
mini 220 | プロフェッショナルフォトペーパー | 1分01秒51 | 2分7秒63 | 2分20秒46 |
用紙 | きれい | 高画質 | 最大dpi | |
A716 | アドバンスフォト用紙 | 45秒64 | 1分17秒24 | 1分29秒89 |
A716 | プレミアムプラスフォト用紙 | 49秒56 | 1分19秒39 | 1分31秒49 |
A616 | アドバンスフォト用紙 | 45秒76 | 1分16秒98 | 1分30秒02 |
A616 | プレミアムプラスフォト用紙 | 49秒45 | 1分20秒03 | 1分31秒20 |
PCから2L判写真を印刷(フチなし) | ||||
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用紙 | きれい | 高画質 | 最大dpi | |
A716 | アドバンスフォト用紙 | 1分21秒56 | 2分22秒22 | 2分59秒19 |
A616 | アドバンスフォト用紙 | 1分21秒66 | 2分22秒82 | 2分59秒96 |
当初の予想通り、ノズル数が少ない小型フォトプリンタは、複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタに比べて、印刷速度がやや控えめだ。標準品質ではE-700が最速だが、品質を1つ上げるとmini 260が首位になり、最高品質ではE-700が再び最速の座を奪取した。mini 260の最高品質設定(品位1)は非常に高精細な出力が可能だが、1つ下の品質(きれい)でも遜色ないクオリティを出せるため、常用するなら「きれい」の設定になるだろう。エプソンの2モデルは、双方向印刷をオフにしても速度の低下は数秒程度で画質も見た目には変わらない。そのため、「きれい」が実質的な最高品質と言える。そう考えると、1分強で高品位なフチなし出力が得られるmini 260は魅力的だ。
A716とA616は最速の座こそ逃したが、E-700とmini 260に次いで速く、高画質の設定ではE-700とほぼ横並びの速度を確保しているため、不満はない。A716とA616の速度が変わらないのは、プリントエンジンが同一なためだ。また、複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタの場合と異なり、プレミアムプラスフォト用紙とアドバンスフォト用紙の速度差がほとんどない点にも注目したい(SPTプリントエンジン搭載の複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタでは、アドバンスフォト用紙のほうが明らかに高速になる)。A716やA616では、鮮やかな発色が得られるプレミアムプラスフォト用紙を積極的に使うのもアリだろう。
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