日本で行われたDAVEテクノロジーの説明会には、米Seagate本社からロブ・ペイト氏(グローバルコンシューマーエレクトロニクスマーケティングディレクター)が来日し、DAVEテクノロジーを採用したデバイスのサンプルとして手のひらサイズの外付けHDDユニットなどを紹介しながら、DAVEの具体的な説明や質疑に対応した。
DAVEテクノロジーは、外付けのHDDをワイヤレスで本体デバイスと接続して利用する技術だ。DAVEではワイヤレス接続の規格としてBluetooth 2.0とIEEE 802.11 b/gに対応する。シーゲイトはDAVEテクノロジーを小型HDDを搭載した小型軽量の外付けHDDデバイスに採用することで、携帯電話やポータブルDVRなどのモバイスデバイスとワイヤレスで接続して簡単にコンテンツデータを利用できることを想定している。
さらに、ペイト氏は「ビジネスデータの紛失が問題となっている。モバイルデバイスはつい忘れてしまう可能性があるが、DAVEテクノロジーなら、重要なデータを外付けのDAVEストレージに保存すればいい。DAVEストレージをバックに入れておけばなくなる心配もないし、もし、なくしてしまってもデバイスにセキュリティがかかっているので大丈夫」と、ビジネスシーンでもDAVEテクノロジーが有用であることをアピールした。
DAVEテクノロジーではパフォーマンスと省電力性能を向上させるために、Seagateが開発したSMM(Storage Management Module)を実装している。SMMはシーゲイト製HDDと携帯デバイス向けプラットフォームとセットで構成される技術で、プラットフォームに実装されたチップセットの不揮発性フラッシュメモリ領域でHDD制御コードを動作させることでHDDとデバイス間のデータ転送効率を向上させ、同時に消費電力を削減させるとしている。ペイト氏の説明によると、SMMを使えば消費電力を85%削減できるとされている。
シーゲイトは外付けHDDユニットのブランドとしてMaxtorの「OneTouch」と有しているが、DAVEテクノロジーを採用した自社ブランドの製品は「将来的にはあるかもしれないが、当面は考えていない」(ペイト氏)と、他社への供給にとどまるとの姿勢を示している。説明会では、現在の提携先として欧州でビジネス向けモバイルサービスを提供している「Orange」や携帯電話メーカーの「ノキア」、携帯機器向けOSメーカーの「symbiam」などの名前が紹介された。
製品説明会ではペイト氏がHDDの市場動向について紹介した。ペイト氏は「エンターテイメントコンテンツにおけるデジタル化の影響」から説明を始め、「デジタル化したコンテンツを表示するスクリーンにはTV、ポータブルなパーソナルプレーヤー、PC、携帯電話、車載スクリーンの5種類がある。このうち4種類はモバイルスクリーンになる」と、コンテンツの利用がモバイルデバイスに波及することでコンテンツのオンデマンド環境が進むと述べた上で、この動きがHDDメーカーに大きく影響して「この状況でコンテンツを生成して管理し、そして利用する環境において中核となるのがHDDストレージである」と、HDDの存在がますます重要になると語った。
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