11.1インチワイドのクリアブラック液晶は、1366×768ドット表示の解像度をそのままにNTSC比で72%(従来のTXシリーズは50%)と色再現性を向上させたのがポイントだ。より明るいLEDバックライトや新開発の導光板/シート類の採用によって、色ムラや明度ロスを抑えて消費電力を2割削減しながらも表示品質を向上させたという。発色は、原色系がややのっぺりとした印象があるもののTXシリーズに比べ赤みが強くて彩度が高く、明暗のグラデーションが細やかに表現できている。モバイルPCとしては輝度が高めで、明るさも8段階に調節可能だ。視野角も広めだが、光沢パネルゆえ最大輝度にしてもある程度の映り込みが発生してしまうのは避けられない。
厚さ約4.8ミリ(実測値)の液晶ディスプレイ上部に、有効31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」を内蔵した点が目新しい。これはセンサを基板に実装することで実現したもので、最大640×480ドットの静止画や320×160ドットの動画(MPEG1形式)撮影が行え、ビデオチャットなどにも活用できる。
ユニークな形状のキーボードにも注目したい。キーボードユニットをパームレストと新開発のキーボードパネルで挟み込むことにより、強度の向上とキー入力時のぐらつきを抑えつつ、タイピング時に発生するカチャカチャという音の軽減を図っているのが見どころだ。
これまでのTXシリーズは、比較的固い「プチプチ」といった感触のキータッチだったが、本機ではキートップに微妙なへこみを設けて指のフィット感を向上させ、ソフトなタッチながらもしっかりとした底付き感がある安定した入力環境を実現している。キーピッチは約17ミリ(キー自体の横幅は13ミリ)、キーストロークは約1.7ミリを確保し、VAIOオーナーメードモデルでは日本語87キーと英語82キーから選択が可能だ(店頭モデルは前者のみ)。ただ、見ために優れる光沢仕様のキーボードパネルだが、ほこりや指紋がどうしても目立ってしまうので、こちらはつや消しのほうがよかったと思う。
中央部分に指紋認証ユニットを備えた2ボタン式のインテリジェントタッチパッドは、シンプルながらALPS製の多機能ドライバが導入ずみで、機能に不足はない。パッド面がパームレストよりもわずかに下がっており、パッドの端をなぞってのスクロールがスムーズに行える。マウスボタンも幅広で押しやすいのだが、キーボードパネルと同様に光沢処理が施されているのでどうしても指紋が気になる。
細かいところでは、タッチパッドとキーボードの間にキーのロック状態を示すLEDランプが3つ(Caps Lock/Num Lock/Scroll Lock)配置されていて、知らず知らずのうちにCaps LockやNum Lockがオンになりパスワードの入力に失敗するというミスを回避しやすいのが好印象だった。
type Tらしく、ボディ前面右端にはAVモードボタンやAV操作ボタン、プログラマブルな「Sボタン」が用意されている。OS起動時にAVモードボタンを押すと帯状の「VAIO AVモードランチャー」が画面上部に現れる。ここにマルチメディアに限らず好みのアプリケーションを登録すれば、アプリケーションランチャとして利用可能だ。電源オフ時にAVモードボタンを押すと、Windowsを起動せずにマルチメディアファイルの再生が行えるのは従来機と同様だ(ワンセグ視聴は不可)。
拡張性の面では、左側面に2基のUSB 2.0と4ピンのIEEE1394、ExpressCard/34、ギガビット対応の有線LANとFAXモデム、前面にSDメモリカード/MMCとメモリースティックの各スロット、ヘッドフォンとマイク、右側面奥にアナログRGB出力の端子が並ぶ。モバイルPCとしては過不足のない構成だが、実際に使ってみるとUSBポートの位置が気になった。店頭モデルおよびVAIOオーナーメードモデルでDVDスーパーマルチドライブを選択した場合は、2つあるUSBポートがいずれも左側面手前に配置されるので、USBマウス利用時(右利きの場合)にケーブルの取り回しがどうしても面倒になってしまう。ちなみに、VAIOオーナーメードモデルで2.5インチHDDを選択した場合は、右側面にUSBポートが1基増えるため、この問題は解消される。
バッテリーのバリエーションが3種類に増えた点も特筆できる。店頭モデルは標準でバッテリーパックLが付属し、オプションで軽量タイプのバッテリーパックSと大容量タイプのバッテリーパックLLが用意されている。バッテリーの駆動時間はCore 2 Duo搭載時で最長18/12/6時間、Celeron M搭載モデルで最長12/8/4時間(いずれもバッテリーパックLL/L/S搭載時)となり、バッテリーパック単体の重量は実測値で470/316/182グラム(バッテリーパックLL/L/S)だ。
なお、VAIOオーナーメードで32Gバイトのフラッシュメモリ+DVDスーパーマルチドライブにバッテリーパックSを選んだ最軽量モデル(ワンセグチューナーなし)の重量は約1.025キロ、1.8インチHDDとDVDスーパーマルチドライブにバッテリーパックLLという最重量モデル(ワンセグチューナーあり)でも約1.375キロ、店頭モデルで約1.22キロと総じて軽量だ。また、オプション製品には3種類のバッテリーいずれを装着した状態でも取り付け可能なドッキングステーションがラインアップされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.