最後に、店頭向けモデルVGN-TZ50BとVAIOオーナーメードモデルVGN-TZ90Sの計2台でベンチマークテストを行った。主なスペックは下記の通りだが、CPUにCore 2 Duoを搭載した直販モデルが良好な結果を残す中、Celeron Mを採用した店頭モデルは少々苦しいスコアを記録しているのが分かる。前ページでも触れたが、店頭モデルはワンセグチューナーや指紋認証ユニット/セキュリティチップ、FeliCaポートの内蔵と多機能な半面、価格アップを抑えるためにCPUパワーが犠牲になっている。予算が許す限り、Core 2 Duoを選んだほうが使い勝手が快適なのは間違いなさそうだ。
| ベンチマークテストに使用したモデルの主なスペック | ||
|---|---|---|
| モデル名 | VGN-TZ90S | VGN-TZ50B |
| CPU | Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | ULV Celeron M 443(1.2GHz) |
| メモリ | 2Gバイト(PC2-4200) | 1Gバイト(PC2-5300) |
| フラッシュメモリ | 32Gバイト | − |
| HDD | 160Gバイト(2.5インチ) | 80Gバイト(1.8インチ) |
| 光学ドライブ | − | DVDスーパーマルチ |
| グラフィックス | チップセット内蔵(945GMS) | チップセット内蔵(945GMS) |
試しに店頭モデルで、WinDVD for VAIOを使ってDVD-Videoの連続再生(タイトルは上野洋子“YK20”20周年につき初ソロ[visual])を行ったところ、バッテリーパックSで約94分、バッテリーパックLで約190分、バッテリーパックLLで約306分でアプリケーションが終了(バッテリー残量はいずれも15%)した。
なお、本機から新開発の冷却システムとファン制御方式を導入しているが、システムの負荷が高まるとファンがそれなりに回転するものの、生活騒音内ではほとんど気にならなかった。一方の発熱面は、負荷をかけ続けるとキーボード左半分がほんのりと暖かくなる程度で不快に感じるほどではない。ただし、CPUやメモリが位置する底面中央から左半分がかなり発熱するため(店頭向けモデルでDVD-Videoの連続再生をしたところ約46度まで上昇)、吸気口が底面にあることを考え合わせても、膝の上に乗せての長時間作業は避けたほうが無難だ。
VAIO登場10周年を記念したNew VAIO type Tは、目を引くギミックや“世界初”“最軽量”といったうたい文句こそ持たないが、所有欲をくすぐるこだわりのデザインと、携帯性を重視しながらも性能や使い勝手にこだわったカスタマイズオプションを併せ持つ魅力的なモバイルPCに仕上がっている。初代505以降の流れを着実に受け継ぎながら、ここ10年の到達点を指し示す集大成的なモデルにも見える。仕事やプライベートの両面において普段から身につけておくものだからこそ、よいものを持ちたいというニーズに応える「嗜好品としてのPC」として贅沢な気分を味わわせてくれることだろう。
実売価格は、店頭モデルが24万円前後と割高に感じられるが、VAIOオーナーメードモデルは最小構成時で16万5000円前後と手が届きやすい。まずは店頭で実機を確認して、VAIOオーナーメードモデルを検討するのがかしこい購入方法と言えそうだ。
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