今回のWorldwide Developers Conferenceには、3つの目玉があった。1つがMac OS X“Leopard”の10の新機能、2つめがWindows版Safari、そして3つめがiPhone向けアプリケーション開発の発表だ。このうちLeopardについては、前回の詳報記事で取り上げた。
ここでは後半の2つに触れながらその意味を考えていこう。Leopardの紹介が終わった後、「One more thing」として発表されたWindows版Safariと、会場の「え、これだけ?」という雰囲気に応えるように「One last thing……」として発表されたiPhone向け開発の話は、どちらも1つのキーワードでくくられている。「Safari」というキーワードだ。
ジョブズ氏によれば現在、Safariの利用者は1860万人だという。ブラウザ市場全体でのマーケットシェアは、Internet Explorerが最大の78%、Firefoxは15%、Safariが5%、それ以外が2%だ。
「我々の夢はSafariがブラウザ市場でのシェアを大幅に伸ばすことだ」――ジョブズ氏はそう語ると、Internet Explorer以外のブラウザシェアをすべてSafariが奪うかのようなグラフを表示した。
「Macのシェアは伸びている。それはそれでいいことだが、我々はSafariにはもっとシェアを伸ばしてほしい。それを実現するためには、Windows版のSafariをつくる必要がある」(ここで聴衆から喝采)。
「我々は現在、Leopard上で動くSafari 3を用意しているところだが、それと同時にWindows XPとVistaで動くバージョンも用意している」
それにしても、ただ新しいブラウザを出しただけで、本当にWindowsユーザーがSafariに乗り換えるのだろうか。「Safariは最高のWebブラウザ」と自信を見せるジョブズ氏が強調したのは、特に処理スピードの速さだった。
ジョブズ氏はiBenchというWebブラウザ用のベンチマークテストを用いた結果を示し、HTML展開のテストでInternet Explorerが4.6秒かかるところを、Firefoxが3.7秒、そしてSafariは半分以下の2.2秒と説明。さらにJavaScriptの実行では、Internet Explorerが2.4秒、Firefoxが1.7秒のところをSafariは1秒以下(0.88秒)と公表した(なお、これらのデータはSafariの公式ページでも公開されている)。そして以下のようなスライドが表示された。
ジョブズ氏はその後、タブの内容を新規ウィンドウとして開き直す様子など、Safari 3の新機能をWindows XP上でデモし、ベンチマークテストも実際にやってみせた。
「それにしても我々はどうやってこのソフトを配布したらいいのか。我々はWindowsユーザーとはあまり語り合ってこなかったし、Firefoxは1日に50万本もダウンロードされているという」と続けるジョブズ氏。
「でも、我々は気が付いたんだ、我々のiTunesは毎日100万本ダウンロードされている。そしてすでに5億本以上のiTunesがWindows上で使われている。実は我々は、Windowsユーザーにどう接触していけばいいのかをすでに身につけているようだ。どうなるかは分からないが、とにかくやってみようと思う」ジョブズ氏がそう語ると、場内の聴衆は暖かい喝采でこれを迎えた。
しかし、その時はまさか次の発表もSafariに関するものだとは思っていなかったはずだ。
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