「One more thing」の発表の後、スクリーンに「One last thing」(最後にもう1つ)と発表されると、場内は今度こそ新型ハードウェアの登場かとどよめいた。そしてスクリーンにiPhoneの写真が映し出されると「なんだ、iPhoneか。まあ、それはそれでおもしろそうだ」と再びどよめいた。
「iPhoneの発売は6月29日。いまからたった18日後だ。おそらく夜6時ごろから発売が始まる」とジョブズ氏。ここで聴衆に対し「開発者に対してはどうしたらいいだろう?」と質問を投げかけると、会場からは喝采や歓声があがる。
参加者の頭の中には「iPhone用アプリケーション開発のために、もしかしてWWDC参加者にiPhoneを配るのかな?」という考えがよぎったのかもしれない。このときこそ今回の基調講演で最も盛り上がった瞬間だろう。
「我々は開発者たちにiPhoneの機能を拡張してもらうような手だてを提供すると同時に、iPhoneそのものの安全性も確保しなければならない。いったい、どうすればいいのか」とジョブズ氏。「そこで我々は1つの“甘い”ソリューションを見つけ出した。このソリューションはiPhoneが完全なSafariを内蔵していることと関係している」。
しかしその“甘い”ソリューションというのは、Web 2.0の技術を使って、アプリケーションをWebアプリケーションとして提供するというものだった。「きれいなグラフィックスを表示することもできれば、電話をかけさせることもできれば、Google Mapsを使うことだってできる」――ジョブズ氏がそう説明している間、会場は冷や水を浴びせられたように静まり返っていた。
ジョブズ氏はその後、iPhone Software担当の副社長、Scott Forstall(スコット・フォースタル)氏を壇上に招き、ソリューションの例を実演させた。
1つは会社の電話番号データベースにアクセスするソリューションの開発で、1人月で開発したという。フォースタル氏は、Webでつくったアプリケーションでも、ネイティブ・アプリケーションと同様のLook&Feelを実現できると、ネイティブ版の住所録と比較をしてみせ、ちゃんと電話のダイアル機能や電子メール機能、Google Maps機能との連携などができることを披露した。
デモが終わると、ジョブズ氏はSalesForce.comやGoogleといった会社もこれと同じ方法で最新鋭のアプリケーションを提供していると語り、すでにあるMac版Safari、そして今回発表したWindows版Safariを使ってiPhone用のアプリケーション開発をスタートできる、と締めくくった。
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