iMacと新アプリケーションはMac移行の促進剤になるか!?アップル新製品説明会(1/3 ページ)

» 2007年08月09日 12時02分 公開
[林信行,ITmedia]

アップルが自信を持って放つ新製品群

 アップル日本法人が国内でMacの製品説明会を実施したのは今回で2回め。ただし、1回めはマイナーアップデートだったMacBookの変更点を簡単にスライドで紹介した地味なイベントだった。それに比べると久々のフルモデルチェンジを含む今回の発表会は、アップルもかなり力を入れており、製品への自信も抱いている様子だ。

 冒頭の挨拶をしたPRマネージャーの鈴木正善氏も「今回の製品は本当によい製品で自信を持っている」と語り、さらにこれまでMac本体に付属するだけだったiWorkのデモ版を、今回はWeb上でダウンロード公開している。これは初の試みだ。

焦点はiMacと2つのアプリケーションスイート

 ここで改めて、今回発表された新製品群を紹介しよう。まずは新型iMac。20インチ2モデルと24インチ1モデル(これに加えて、CPUのCore 2 Extremeを含む多彩なオプション構成を用意)がラインアップされ、価格は15万9800円、19万9800円、23万9800円(Core 2 Extremeを搭載した標準的構成はオンライン版Apple Storeで29万9800円)。

 そしてiMacに付属する新しいApple Keyboard(6400円)と、ひざの上において使える小型軽量の新Apple Wireless Keyboard(1万200円/8月下旬出荷予定)の2種類のキーボード。

 これに加えて、すべての付属アプリケーションが新しくなった「iLife '08」(9800円)と新たに表計算アプリケーションの「Numbers」が加わった「iWork '08」(9800円)の2種類のソフト、ストレージ容量を大幅に増強した「.Mac」サービス、そしてGarageBand用の新しいJAM Packで「Vocals」(1万800円)も発表されている。


 そのほか、CPUがIntel Core 2 DouになったMac miniや、ネットワークポートがギガビットイーサネット仕様に変わった新しいAir Mac Extremeベースステーションも発売を開始しているが、これらについてはプレスリリースでの発表もなければ、新製品説明会での紹介も行われていない。

 アップルは、「スリムでパワフル。写真もムービーも得意なオールインワン。」というコンセプトで開発したという新iMacと、「iLife '08」および「iWork '08」の2つのアプリケーションスイートに発表の焦点を絞ったようだ。

素材にこだわった新型iMac

 新しいiMacは、美しい梨子地仕上げのアルミとガラスという2つの「素材」、これまでより40%ほど薄くなったという液晶部分、そしてクリアワイドパネルの採用が大きな特徴だ。

 外観的には「BRAVIA」などの薄型TVを彷彿とさせるところもあるが、この中に高性能な64ビットPCの機能も集約されているのだというから驚かされる。アップルジャパン プロダクトマーケティングディレクターの服部浩氏は、この薄さは素材変更のほか、基板デザインや内部コンポーネントの再配置といった内部設計の変更によって実現していると語る。

これがiMacただ1つの外観から見えるネジ。メモリ交換スロットのフタを固定しているネジだ

 実際、新iMacの放熱設計はよくできており、これまでのiMacと比べても熱さを感じないという。また、仮に熱くなったとしても、アルミやガラスといった素材の特性上、変形などが起こりにくい。継ぎ目のない美しさにこだわるアップルの工業デザインは、今回のiMacでさらにネジの数を減らし、外観で確認できるのは本体底面のメモリ交換スロットにあるネジただ1つだけになった。

 iMacを正面から見ると液晶画面を囲む黒いフレームのようなエリアが外観上の特徴になっているが、服部氏はこれを「視認性を高めるためのデザイン」だと語る。米国で発売中の人気製品、iPhoneを連想させるこのデザインだが、縦横比の違う動画を再生した際に、映像の周囲に生じる黒い帯とうまく親和して、映像そのものに集中できる、といった狙いもあるのだろう。

 液晶画面は、光沢ガラスで覆われたクリアワイドパネルになったおかげで発色がよくなり、黒も引き締まるようになったが、20インチモデルでは少し視野角が狭くなっている(従来モデルは上下/左右170度、新iMacは160度)。これについて服部氏は、「20インチ大のモデルでは、ユーザーが製品の正面に座って作業をすることが多い。コストとのトレードオフも考えて、正面に座った際の視認性の高さを重視することにした」と語っている。一方、背面は光沢のある黒いポリカーボネート素材になっており、中央のアップルマークだけ、よりつややかな素材が使われている。

美しい梨子地仕上げのアルミとガラスの組み合わせが、高級薄型TVを思わせる新iMac。この素材の組み合わせは実はiPhoneとも共通している。もともとはコンシューマ向け製品として登場したiMacだが、プロが仕事で使っていても十分かっこいい製品に仕上がっている。背面は黒いポリカーボネート素材を採用。ロゴ部分だけほかとは違う光沢を放っている。20インチ、24インチともに背面パネルを取り外して内部機構にアクセスできるのは従来のiMac通りだが、VESAマウントが用意されるのは24インチモデルのみ

 素材へのこだわりは、新iMacの大きな特徴だ。服部氏は、アルミ素材には「プロフェッショナル」「堅牢性」「環境へのやすしさ」、ガラス素材には「エレガントさ」「傷への強さ」「環境へのやさしさ」といった思いが込められている語る。もっとも、アップルが今後の環境への取り組みとして採用を開始したLEDバックライトは今回は使われていない。現在、LEDバックライトで商用化できるのは15インチ程度までのもので、それより大きくなるとコスト的にもなかなか採用できないという。

 新製品のCPUは2.0GHz、または2.4GHzのIntel Core 2 Duoで、BTOでは2.8GHzのCore 2 Extremeも用意している。このCore 2 Extremeと、これまでの2.33Ghz版Intel Core 2 Duoを搭載したiMacの比較では、Logic Pro、Final Cut Pro、iMovie、QuickTime Pro、Apertureといったアプリケーションの実行速度で最大29%ほどパフォーマンスが向上している(同社公称値)。

 また、CPU性能の向上に加え、「専用のグラフィックプロセッサ、ATI RADEON HD 2400 XTと同2600 Proを採用し、他社製品の追随を許さないパフォーマンスを発揮している点もiMacのスペック上の大きな魅力」だと服部氏はいう。128Mバイト/256MバイトのGDDR3メモリを搭載し、ユニファイドシェーダモデルに対応し、128ビットの広いダイナミックレンジを持ち、テクスチャフィルレートは最大93億回/秒となる。


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