今回登場した新しいiMacでは、製品発表前からインターネットに画像が流出していたキーボードも大きな特徴だ。新iMacに付属するApple Keyboardは、非常に薄型でキートップの外観がMacBookに似ており、実際のキータッチもMacBookと同じキータッチをめざしているという。
ただし、キー配列やキーボードの刻印にはちょっとした変化が表れている。従来「CAPS LOCK」キーがあった左下の位置にoptionキーを配置し、代わりに「CAPS LOCKキー」は右下に用意された。これは賛否両論を呼びそうだ。
刻印の変化では、最上段に並ぶファンクションキーの左側にダッシュボードやエクスポゼなどのMac OS Xの機能を呼び出すものが、そして右側には再生/一時停止の切り替えや巻き戻し/早送り、音量調整などを操作できるメディア制御キーがまとめられてる。このほか、これまでリンゴマークが描かれていたコマンドキーからはリンゴマークが消え、代わりに初めて「command」の文字が刻印された。
同説明会で最も多くの時間が割かれたのはiLife '08だった。質疑応答を除いておよそ50分ほどのセッションだったが、iMacの説明は約6分間、iWork '08の説明は約1分、それ以外の残りはすべてiLife '08の紹介とデモに費やされた。服部氏は、「iLife '08は完全に新しくなったiMovieを含み、デジタルコンテンツを簡単に作成しとりまとめるアプリケーションスイート」で、「過去最高のアップグレード」だという。
すべてのアプリケーションが新しくなったというが、iLife '08全体を通してのキーワードは「コンテンツの共有」だ。このコンテンツ共有を、よりスマートに実現するために、iLifeの各アプリケーションはアップルのサーバーサービス「.Mac」との連携を強めており、「.Mac」の側にもiLife '08のコンテンツを掲載する「.Mac ウェブギャラリー」という機能が新たに用意されている。
このウェブギャラリーで最も目を引くのは、.MacユーザーがiLifeのアプリケーションで慣れ親しんでいる心地よい操作を、Webブラウザ上で実現した点だ。例えば、掲載されている写真をiPhotoのようにスライダーを使って自由自在に大きさを変えたり、iTunesに似たカバーフロー表示で写真をめくる機能が用意されていたり(日本語正式名称は「回転トレイ」、英語は「Carousel」)、選択した写真を拡大表示するときにズームされていく様子がアニメーション表示されたりと、MacのUIをプラットフォームに関係なく再現する。
「サーバーベースのサービスのため、ローカル(HDD)で動かすほど快適にはいかないが、これまでMacユーザーだけのものだった心地よい操作を、Webブラウザ経由でWindowsユーザーも体験できる」わけだ。これによって「Macユーザーというのは、普段からこういうリッチな体験をしているのかと分かってもらえれば」とアップルは考えているようだ。
ちなみに、写真の公開機能に関しては、ただ写真を見るだけではなく、投稿をすることもできる。例えばパーティーや飲み会の後、.Macのウェブギャラリーを使えば、全員が撮った写真を一カ所に集めることが可能だ。そのうえプライベートの写真を知らない人に覗かれないように共有パスワードなどで保護することも簡単にできるのだ。なお、説明会では、一般向けに公開されているサンプルを使って説明を行った。
新しくなったiPhoto '08には、この.Macとの連携以外にも多くの特徴がある。大きいのは、イベントという形態で写真を整理できることだ。イベントとは、関連のある写真を束ねたもののことで、基本的には日付ごとに整理される。イベント表示モードでも、サムネイル画像が表示されるが、これは写真1枚のサムネイルではなく、同じ日に撮られた写真全体の集合のサムネイルだ。
このサムネイルの上でマウスを左右に動かすと、表示がそのイベント内のほかの写真のものに切り替わる(.Mac ウェブギャラリーでは、この機能も再現している)。こうしてイベントを開くことなく、中の写真を確認できるのだ。
また、サムネイルをダブルクリックすると、そのイベント内の写真の一覧が現れる。もし1日にセミナーと飲み会といった複数の場所で写真を撮ってきた場合には、イベントを分割することもできるし、逆に数日間にわたる合宿や旅行にいった場合は、1つのイベントとして束ねることもできる。
これ以外にも写真をダブルクリックした場合、これまでのように編集状態になるのではなく、拡大表示になるなど、よりユーザーの直感にあわせる形で操作方法の変更も行っている。また、撮り貯めた写真から紙のアルバムをつくるフォトアルバムも、より上質なハードカバーに、その上に重ねる紙のカバーが用意され、折り返しにまで文字を印刷できたり、カレンダーが70%ほど大きくなったりと付随サービスも進化している。
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