孤高の存在か、革命的な先駆者か――ロジクール「MX Air」高級エアマウス、日本上陸(1/3 ページ)

» 2007年08月09日 17時45分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

マウス技術の最先端

1万8800円の価格は文句なしに高級品。その実力やいかに

 ロジクールは先進技術のあくなき追求、妥協なき設計と品質の高さから、ハイエンドマウスメーカーとして高い評価を得ている。マウスの技術革新はほとんどマイクロソフトとロジクールによるものだと言っても過言ではない。

 現在、ロジクールのフラッグシップモデルは実売1万1000円前後の「MX Revolution」。レーザーセンサと2.4GHzデジタル無線の採用に加え、“革命的な”MicroGearプレシジョンスクロールホイールが特徴だ(ホイールに加速をつけて高速スクロールができるフリースクロールモードと、クリック感のあるクリック・トゥ・クリックモードの切り替えが可能)。

 一方、このたび国内市場に投入される「MX Air」の価格は、同社直販サイトで1万8800円。机上ではレーザーセンサを搭載したマウスとして、空中では操作者のフィーリングをそのまま伝えるエアマウスとして使用できるという機能面での違いはあるが、そもそも価格だけを見てもMX Revolutionと“使い分ける”というレベルではない。

 今回は、空中での操作をメインにMX Airの購入を考えている人だけでなく、ロジクールのハイエンドマウスを購入したいが、「せっかくだからMX RevolutionではなくMX Airにしたほうがいいかな」と考えている人の視点からもMX Airを見ていくことにしよう。はたしてMX Airはフォロワーのない孤高の逸品なのか、それとも今後のハイエンドスタンダードを先取りした製品なのだろうか。

高級感のある光沢素材

エントリーモデルのブリスターパックとは異なり、高級感のある大きめのパッケージだ

 同社のマウスには左右非対称のエルゴノミクスデザインを採用した多ボタンのものが多いが、MX Airは細長い左右対称の流線型デザインになっている。高さが低く、幅も狭いため、ずいぶんと細面な印象だ。これは空中で操作する際のホールド性を重視してのことだろうが、机上で使う場合でも日本人の手のサイズにしっくりとなじむ。重量はMX Revolutionの148グラムに対して93グラムと、ほぼ3分の2に抑えられている。モバイル用途ではないマウスとしてはコンパクトだ。

 外観は全体的に高級志向が見てとれるデザインだ。光沢塗装を施した上面を覆うプラスチック部と、尾部から底面にかけて金属部のツートンというのは例を見ない。上面は特に指紋がつきやすく、ポリッシュクロスが同梱されている。底面に“土踏まず”があるのもユニークで、横から見た感じはパンプスに似ていると言えなくもない。もっとも、実際に接地するソールは前後に2カ所ずつ、中央寄りに配置されている。各ソールの間隔が狭く、軽量であることもあいまって非常に軽く、滑らかに動く。

本体前面/左側面/右側面。“土踏まず”があるめずらしい形だ。後方に力をかけると前方が浮き上がり、やや不安定

本体上面/底面/背面。空中で利用するため、一般のマウスよりも底面の見栄えにこだわっているようだ

 ただし、この本体の形状は、安定性とのトレードオフでもある。最も高さのある部分がかなり後方に位置しており、底面後方がヒールのように細くなっているため、同社のほかのマウスのようにすっぽりと包みこむように持つと前方が浮き上がってしまう。マウス本体には指先だけを乗せるような使い方になるだろうが、その場合は左右ボタンはともかく、ホイール代わりのスクロールパネルがちょっと遠く感じる。

自然な操作感を演出するスクロールパネル

スクロールパネルは一見ただのプラスチックだが、指を滑らせると「カリカリ」という音がする。ホイールの加速度に音が追従するため、タッチセンサでありながら、自然な感覚で利用できる

 スクロールパネルはタッチセンサ式になっており、指で前後に擦るようにして操作する。同様のギミックは2005年1月に同社が発売した「V500 Cordless Notebook Mouse」(以下、V500)にも搭載されていたが、MX Airでは似て非なるものに進化している。V500では上下に加え左右のスライドも認識する4方向スクロールパネルだったのに対し、MX Airでは左右のスクロールは廃止され、前後のみのスクロール、つまりチルトホイールではない、通常のホイールに機能が制限された。

 しかし、操作感ははるかに向上している。V500が常に固定速度での移動だったのに対して、MX Airは加速度までもサポートしており、プレシジョンスクロールホイールの操作感に近い。スクロールパネル上で指をスライドさせるとV500、MX Airともに「カリカリ」という小さな音がするが、この音もMX Airでは加速度を反映しており、勢いよくスライドさせれば最初は速く、そして次第にゆっくりになって停止する。

充電スタンドはガイドの高さがあるため、MX Revolutionよりも立てやすい。付属品には充電式スタンドのほか、ポリッシュクロスも同梱されている

 もちろん、途中でホイールを止めるときのようにそっとタッチセンサに指を触れれば音も止まる。V500ではいまひとつ馴染めなかったスクロールパネルが、加速度検出と音によるフィードバックを追加したことでまったく違和感がなくなったことは新鮮な驚きだ。なお、この加速度は設定ユーティリティ「SetPoint」で無効にすることもできる。

 なお、内蔵電池は取り出し不可能なリチウムイオンバッテリーを採用しており、充電スタンドが付属する。このあたりはMX Revolutionと同様だ。

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