9月11日に行われた国内向け新製品発表会では、AMDの上級副社長 兼 最高技術責任者のフィル・ヘスター氏が、“Barcelona”ことクアッドコアOpteronの特徴を説明した。その内容はこちらの記事で紹介したものの繰り返しであったが、AMDの次世代CPUロードマップの説明において、長らくシングルコアとシングルGPUというシンプルな構成で進化してきたPCが、マルチコアによる性能進化の時代を迎え、これからはプラットフォームやシリコンレベルでパフォーマンスを向上させていく時代になると述べたヘスター氏は、「新しいアプリケーションがリッチなデータを扱うことで、すべてのアプリケーションが性能の高いGPUを求めるようになるだろう。そこで、より効率的でパフォーマンスが高い“Fusion”が必要になる」と、現在AMDが開発を進めている「グラフィックスコア統合型CPU」であるFusionの必要性にも言及した。
発表会では、Barcelonaの省電力性能を示すデモと、「Rapied Virtualization Indexing」(RVI)の導入によって改善された仮想マシンの性能を紹介するデモが行われた。省電力デモでは、メモリ16Gバイト、HDD1台を搭載した2組のシステムに、それぞれ、クアッドコアOpteron 2350(動作クロック2.0GHz)×2と、Xeon 5345(動作クロック2.33GHz)×2を搭載したマシンの消費電力を「Power Analyzer」で表示、クアッドコアOpteronマシンが、Xeon 5345マシンより消費電力で70ワット程度少ないことが示された。
仮想マシンにおける性能評価では、発表会の会場からVPNを介して接続している日本AMDの本社に設置された2台のサーバで仮想マシンを稼動させ、RVTをオンとオフにしてコンパイル処理を行わせた。このテストでは、RVTをオンにした仮想マシンがコンパイルを100%終了した時点で、RVTをオフにした仮想マシンは84%までしか処理が進んでいなかった。
発表会の会場では、HPやIBM、デルなどのパートナー企業がこれから出荷する予定の“Barcelona”Opteron搭載システムを展示していた。その多くが、1Uのブレードサーバや4Uの4wayシステムを丸々1台展示するなか、ASUSは、Barcelona対応マザーボードとして、「L1A64 WS」と「L1N64-SLI WS/B」を展示していた。
L1N64-SLI WS/Bは、2006年に登場した「Quad FX」に対応するnForce 680a SLIチップセット搭載マザーだ。型番末尾に“/B”とあるが、ハードウェア構成は従来出荷されてきたL1N64-SLI WSとまったく同じで、関係者に確認したところ、従来モデルでも、BIOSのアップデートで“Barcelona”クアッドコアOpteronに対応できるとの回答を得た。現時点でコンシューマーユーザーが“Barcelona”クアッドコアOpteronを導入するのに、最もハードルが低いマザーボードといえるかもしれない。
なお、L1N64-SLI WS/Bはサーバ向けマザーボードという扱いになるため、一般的なパーツショップには流通しない予定であるが、ハイエンドサーバマザーを扱うショップで入手できる可能性があるかもしれない。また、現時点で価格は決まっていない。
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