「ユーザーに負担をかけないクアッドコア」──“Barcelona”Opteronに実装された機能

» 2007年09月11日 13時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 今回登場した“Barcelona”(開発コード名)は、Opteronとしては第2世代、そして、その第2世代のさらに“第2フェース”に相当するモデルとなる。その特徴はIBMと共同で開発した65ナノメートルプロセスルールを採用したクアッドコアCPUということになるが、2008年には、その45ナノプロセスバージョンとなる“Shanghai”が控えている。

 “Barcelona”は、従来のOpteronが使っていたRev.Fプラットフォームをそのまま継承できる。AMDが「競合はクアッドコアCPUの導入でプラットフォームの入れ替えが必要になるが、AMDのクアッドコアOpteronは2006年に導入されたプラットフォームのままスケールアップできる。“Barcelona”の導入はユーザーに負担をかけない」とアピールする理由がここにある。

今回登場するBarcelonaはAMDのサーバ向けCPUの第2世代第2フェースに相当する。クアッドコアになって性能は増したが消費電力は同じであることをAMDは力を入れてアピールする

 すでに、リリース記事でも紹介しているように、Barcelonaでは省電力機能が強化されたことで、AMDが「従来と同じ消費電力で5割増しのパフォーマンス」と自慢するワットパフォーマンスを実現している。導入された新しい省電力機能のうち、「CoolCore Technology」はCPU内部を機能ごとにブロックに分け、それぞれの状態に合わせて電力供給を動的に切り替える。「ブロック」とは、整数演算器や浮動小数点演算器(それぞれ休止状態になったら電力供給カット)、メモリコントローラの読み込みユニットと書き出しユニット(読み出し処理では書き出しユニットの電力供給をカット、書き出し処理ではその逆)というように、かなり細かく分けられている。

 「Independent Dynamic Core Technology」は、従来の省電力機能「PowerNow!」の機能拡張版で、Barcelonaに組み込まれた4つのコアを別個に制御できるようになっている。また、「Dual Dynamic Power Management」では、これまでコアに1系統用意されていた電力供給系が、CPUコアとメモリコントローラの2系統に独立し、システムの負荷にあわせてそれぞれ独立して駆動電圧と動作クロックを設定できるようになった。

4つのコアの動作クロックを別個にコントロールできる「Independent Dynamic Core Technology」とコア内部の電力供給を細かく制御できる「CoolCore Technology」、コアとメモリコントローラで独立した電力供給を行える「Dual Dynamic Power Management」がBarcelonaの省電力機能の要となる

 Barcelonaで導入された新しい電力消費性能の指標となる「ACP」(Average CPU Power)は、データセンタの設計者に、より現実の運用に近い消費電力のデータを与えるために、現実的な処理シナリオを設定して、そのシナリオに基づいて使われたときの消費電力を示しているとAMDは説明している。AMDが示したデータによると、TDPが、68ワット、95ワット、120ワットというCPUにおいて、そのACPはそれぞれ55ワット、75ワット、105ワットになるとされている。

 クアッドコアになり、また、それぞれのコアに独立したL2キャッシュ(512Kバイト)と、4つのコアで共有するL3キャッシュ(2Mバイト)を組み込んだBarcelonaにおいて、最も気になるのは、処理性能がどれだけ向上しているのかということだろう。AMDの説明では、浮動小数点演算における処理性能が従来の2倍になったことを特に強調しているが、2wayシステムから4wayシステムにおける性能向上比が、Barcelonaでは競合のシステムより高い(競合は30%増に対して、Barcelonaは50%)というデータもAMDは示している。(記事掲載時、L2キャッシュの容量を512Mバイトとしていましたが、正しくは512Kバイトです。お詫びして訂正いたします)

新しい消費電力の指標としてAMDが提案したACPとTDPの関係。ACPで想定されているシナリオはホワイトペーパーで公開される
AMDが示した、2wayから4wayへの性能向上の比較と、2wayシステムにおけるXeon 5355とOpteron 2350のベンチマークテスト結果の比較

 サーバシステムで重要となる仮想マシンにおけるパフォーマンスにおいてもBarcelonaは改善された。Opteronでは従来より「AMD Virtualization technology」(AMD-V technology)と呼ばれる仮想化技術が導入されているが、Barcelonaでは、これまでソフトウェアでおこなってきた仮想化処理を専用のハードウェアエンジンが行う「Rapid Virtualization」が新たに導入されたことで、例えば、VMwareの仮想マシン上において性能が79%向上したとAMDは説明している(ただし、この比較は動作クロック3GHzのデュアルコアOpteronと動作クロック2GHzのクアッドコアOpteronの比較)。

 AMDは、“Barcelona”コアを採用したクアッドコアOpteronにおいて、従来と同じように「HE Energy Efficient」「Standard Performance」「SE High Performance」という3つのラインアップを用意する。このうち、最初に投入されたのが、「両方で市場需要の94%はカバーできる」とAMDが見ている、ノーマルの“Standard”と省電力タイプの“HE”で、ハイパフォーマンス志向の“SE”は2007年の第4四半期に登場する予定だ。AMDの資料には「2.3GHz、そしてそれ以上」という動作クロックに関する記述が見られる。

 また、内蔵されているメモリコントローラは現時点でDDR2-667MHzにのみ対応しているが、DDR2-800MHzに対応したバージョンを2008年前半に投入する予定。さらに、2007年第4四半期にはSocket AM2とUnbuffered DDR2-800MHzに対応し、HyperTransport 3.0を1本(もしくはHyperTransport 1.0を1本)実装した「Budapest」(開発コード名)が登場、そして、2008年の45ナノプロセスクアッドコアOpteron「Shanghai」では、6MバイトのL3キャッシュが導入される予定だ。

AMDが示したBarcelonaからBudapest、Shanghaiにいたるロードマップ。同時にAMDは2009年に投入予定の45ナノプロセス8コアCPUについてもそのスペックを紹介した

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