AMD(ATI Technologies)は、11月15日に、新しいGPUシリーズ「Radeon HD 3870」「Radeon HD 3850」を発表した。これまで「RV670」の開発コード名で知られていたこれらのGPUは、従来のハイエンドモデル「Radeon HD 2900」シリーズの後継といわれてきたが、AMDが示す資料によると、Radeon HD 2000シリーズのラインアップ構成で、最上位モデルのRadeon HD 2900シリーズとミドルレンジモデルのRadeon HD 2600シリーズの間に抜けていた、「150ドルから250ドルの価格帯」を埋めるものとして位置付けられている。
動作クロックにおいてRadeon HD 2900 XTを上回る「3800」シリーズであるが、AMDの資料によると、Radeon HD 2900 XTの後継となるのは2008年第1四半期に登場する予定のRadeon HD 3870 X2であるとされている。今回登場したRadeon HD 3800シリーズは、「エントリーハイエンド」という、NVIDIAのラインアップでいうところの、GeForce 8800 GTS、もしくはGeForce 8800 GTに相当するモデルという位置付けだ。
なお、Radeon HD 3870 X2は、新しいGPUモデルということではなく、1枚のグラフィックスカードにRadeon HD 3870を2個搭載する「デュアルGPU」タイプとなる予定だ。
Radeon HD 3870、Radeon HD 3850、そして、従来モデルのRadeon HD 2900 XTの主要スペックを以下に並べてみる。
Radeon HD 3870 | Radeon HD 3850 | Radeon HD 2900 XT | |
---|---|---|---|
コアクロック | 775MHz | 670MHz | 740MHz |
メモリクロック | 1125MHz | 830MHz | 825MHz |
統合型シェーダユニット数 | 320ユニット | 320ユニット | 320ユニット |
メモリバス幅 | 256ビット | 256ビット | 512ビット |
メモリ容量 | 512Mバイト | 256Mバイト | 1Gバイト |
AMDはRadeon HD 3800シリーズの特徴として、「DirectX 10.1とPCI Express 2.0といった新世代規格への対応」「55ナノメートルプロセスルールと省電力機能“PowerPlay”の導入による消費電力の削減」「新しいマルチGPU技術の“CrossFireX”と、マルチGPUでオーバークロックを設定できる“ATI OverDrive”の導入」を掲げている。
2007年に登場したチップセットからサポートされるようになったPCI Express 2.0への対応は、先にリリースされたNVIDIAのGeForce 8800 GTでも導入されているが、DirectX 10.1のサポートは、NVIDIAに先駆けての採用となる。DirectX 10.1は、2008年の前半期に公開される見込みのWindows Vista SP1に実装される予定で、AMDの説明では、ライティング処理のパフォーマンス向上などが期待されるとしている。DirectX 10.1に対応したゲームタイトルが登場する時期や、実際のゲームにおいてどの程度のエフェクトが期待できるのかについては、今のところ明確ではないが、「サポートされる機能の違いが気になる」ユーザーには、NVIDIAのGeForce 8シリーズとの大きな差別点として評価されるだろう。
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