これはバランスのいい“ハイエンド”GPU──「Radeon HD 3870」ゲームベンチレビューイマドキのイタモノ(1/4 ページ)

» 2007年11月15日 14時01分 公開
[長浜和也,ITmedia]

絶対性能ではなく「費用対効果」「パワー性能」を狙うRadeon HD 3870

 AMD(ATI Technologies)は、11月15日に、新しいGPUシリーズ「Radeon HD 3870」「Radeon HD 3850」を発表した。これまで「RV670」の開発コード名で知られていたこれらのGPUは、従来のハイエンドモデル「Radeon HD 2900」シリーズの後継といわれてきたが、AMDが示す資料によると、Radeon HD 2000シリーズのラインアップ構成で、最上位モデルのRadeon HD 2900シリーズとミドルレンジモデルのRadeon HD 2600シリーズの間に抜けていた、「150ドルから250ドルの価格帯」を埋めるものとして位置付けられている。

 動作クロックにおいてRadeon HD 2900 XTを上回る「3800」シリーズであるが、AMDの資料によると、Radeon HD 2900 XTの後継となるのは2008年第1四半期に登場する予定のRadeon HD 3870 X2であるとされている。今回登場したRadeon HD 3800シリーズは、「エントリーハイエンド」という、NVIDIAのラインアップでいうところの、GeForce 8800 GTS、もしくはGeForce 8800 GTに相当するモデルという位置付けだ。

 なお、Radeon HD 3870 X2は、新しいGPUモデルということではなく、1枚のグラフィックスカードにRadeon HD 3870を2個搭載する「デュアルGPU」タイプとなる予定だ。

Radeon HD 3800シリーズは、従来のRadeonで抜けていた価格帯を補完する「エントリーハイエンド」という位置付けになる
Radeon HD 3800シリーズから新しい命名規則が採用された。これまでの末尾のアルファベットがなくなり、下2桁の数値でクラスを表す

構成はRadeon HD 2000シリーズに準じるが多彩な新機能を導入

 Radeon HD 3870、Radeon HD 3850、そして、従来モデルのRadeon HD 2900 XTの主要スペックを以下に並べてみる。

Radeon HD 3870 Radeon HD 3850 Radeon HD 2900 XT
コアクロック 775MHz 670MHz 740MHz
メモリクロック 1125MHz 830MHz 825MHz
統合型シェーダユニット数 320ユニット 320ユニット 320ユニット
メモリバス幅 256ビット 256ビット 512ビット
メモリ容量 512Mバイト 256Mバイト 1Gバイト

評価に用いたRadeon HD 3870搭載リファレンスカード
搭載するグラフィックスメモリはGDDR4が512Mバイト。裏面にはメモリを実装しておらず、Radeon HD 2900 XTのような金属製ヒートプレートは持たない

クーラーユニットは2スロット厚のタイプを採用。回転数は低く抑えられており、ベンチマーク中でも風切り音は気にならなかった。外部電源は6ピンが1つだけ
クーラーユニットの内部には放熱用の銅製のヒートプレートが用意されている

 AMDはRadeon HD 3800シリーズの特徴として、「DirectX 10.1とPCI Express 2.0といった新世代規格への対応」「55ナノメートルプロセスルールと省電力機能“PowerPlay”の導入による消費電力の削減」「新しいマルチGPU技術の“CrossFireX”と、マルチGPUでオーバークロックを設定できる“ATI OverDrive”の導入」を掲げている。

 2007年に登場したチップセットからサポートされるようになったPCI Express 2.0への対応は、先にリリースされたNVIDIAのGeForce 8800 GTでも導入されているが、DirectX 10.1のサポートは、NVIDIAに先駆けての採用となる。DirectX 10.1は、2008年の前半期に公開される見込みのWindows Vista SP1に実装される予定で、AMDの説明では、ライティング処理のパフォーマンス向上などが期待されるとしている。DirectX 10.1に対応したゲームタイトルが登場する時期や、実際のゲームにおいてどの程度のエフェクトが期待できるのかについては、今のところ明確ではないが、「サポートされる機能の違いが気になる」ユーザーには、NVIDIAのGeForce 8シリーズとの大きな差別点として評価されるだろう。

AMDが示した、DirectX 10.1で追加される新しい機能
同じく、AMDが示したPCI Express 1.1とPCI Express 2.0とでRadeon HD 3850を組み込んだシステムがどの程度パフォーマンスが向上するかを「仮想的」に検証したデータ

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