“45ナノ時代”のハイエンドデスクトップ――「Endeavor Pro4300」の実力を検証2007年PC秋冬モデル連続レビュー(1/2 ページ)

» 2007年11月16日 17時40分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

最新プラットフォームでFSB 1333MHzに対応、BTOもより魅力的に

 Endeavor Pro4300は、Pro4000の後継モデルとなるエプソンダイレクトのハイエンドデスクトップPCだ。約1年ぶりのフルモデルチェンジで、ケースデザインなどに変更はないものの、その中身はフラッグシップの名にふさわしい最新のコンポーネントに刷新された。

 旧モデルからの大きな変更は、Pro3500の登場からおおよそ1年半、2世代に渡って使用されてきたIntel 975X Expressチップセットから、Intel P35 Expressチップセットベースに移行した点だ。なぜこのタイミングでIntel X38 Expressではないのかという疑問も残るが、X38のメリットを生かすには高速なDDR3メモリの搭載が必要で、現時点でのDDR2とDDR3メモリの価格差を考慮すると、コストパフォーマンス面でメリットが少ないといったところだろうか。またP35 Expressチップセットは市場投入からすでに4カ月以上を経ており、信頼性という点から選択したのかもしれない。

 Pro4300の発表時には、BTOで選択できる最高性能のCPUが「Intel Core 2 Extreme QX6850」だったが、インテルの正式発表にあわせて45ナノプロセスで製造される「Intel Core 2 Extreme QX9650」にリプレースされた。3GHzの動作クロックやFSB 1333MHzなどに変更はないが、SSE4命令が追加され、2次キャッシュが4Mバイト+4Mバイトから6Mバイト+6Mバイトと1.5倍に増加している。前者に関してはアプリケーション側の対応が必要になるものの、後者はおおむね無条件にパフォーマンスアップに寄与することになるはずだ。

 BTOメニューに関しても、旧モデルでは価格改定時に選択幅が若干狭くなったグラフィックスカードの選択肢が、本機ではDirectX 10対応製品が7製品、OpenGL対応のCAD/CG用途向けが3製品の計10製品とさらに広がった。CrossFire対応がミドルレンジのATI RadeonHD 2600XT搭載製品のみなのは少しさびしいが、ファンレス製品も並べるなどローエンドからハイエンドまで幅広い選択肢を用意している。

Intel P35 Expressチップセットを搭載したマザーボードを採用。拡張スロットはPCI Express x16×2、PCI Express x1×2、PCI×3(写真=左)。最新クアッドコアCPU「Core 2 Extreme QX9650」もBTOに追加された。新たにヒートパイプ付きヒートシンクを搭載したCPUファンも目を引く(写真=中央)。評価機はnVIDIA GeForce 8800GTS採用のグラフィックスカードを搭載していた(写真=右)

 CPUはPentium Dual-CoreからCore 2 Duo、Core 2 Quad、すでに触れたCore 2 Extremeまで7製品を用意。HDDは80Gバイト〜1Tバイトが選択可能で、RAID0構成ではBTOで2Tバイトまで搭載できる。光学ドライブもCD-ROMからDVDスーパーマルチまで4製品が用意されている。メモリは32ビットOSの上限にあわせる形で、最大3Gバイトをデュアルチャネルで搭載可能だ。BTOの組合せに制限はほとんどなく、本機の位置付けはハイエンドだが、「処理性能よりも拡張性の高い製品が欲しい」といった需要にも対応できる点は従来通りだ。

新型CPUクーラーでエアフローを改善

6本のヒートパイプがフィンをつらぬくCPUクーラーを採用。CPUファンの向きが本体前方から吸気する形になり、そのまま直線的にケース背面の12センチファンで排熱されるエアフローに変わった

 ケースデザインは拡張性、メンテナンス性、内部のエアフローまでトータルで評価の高かった旧モデルのそれをほぼ継承しつつ、本機では内部構造の改善が進んだ。発熱の大きかったPentium 4時代に提唱されたCPUダクトを廃止、さらにCPUクーラーを変更し、エアーフローを前面から後方へ直線的な流れに整理することで、より効率的な冷却を実現している。5インチベイ付近の熱を電源部のファン、そのほかの部分を背面の12センチファンで排気する分離された冷却構造も健在だ。

 もちろん、評判の高かったメンテナンス性も踏襲している。ツールフリー構造の徹底は旧モデル通りで、側面カバーから拡張カード、光学ドライブ、メンテナンス時の背面ファンの着脱まで、いっさいネジを付け外しする必要はない。前面からアクセスできる特徴的なHDDベイも、HDDへのサイドレールの固定にネジが使われているだけで、HDDの換装自体はやはりツールフリーだ。

本体背面/左側面/前面

 本機のケースはスチールで構成されており、側面パネルを採用した構造ながらしっかりとした剛性を持つ。ただし、かなりの重量級だ。そこで本体の移動などを容易にするために上部にハンドルもあるのだが、このハンドルも曲線を使った形状に改良され、さらに扱いやすくなっている。

従来通り、拡張ベイや拡張カードはツールフリーで着脱が可能(写真=左/中央)。ケース上部のハンドルが角を落とした丸みのあるものに変わった(写真=右)

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