10月4日に行われたインテル定例記者会見における米Intel主席副社長兼最高セールス&マーケティング責任者のショーン・マローニ氏による講演は、先月行われたIDF 2007の内容をまとめたもので、まず冒頭では、現在の主力CPUで採用している65ナノメートルプロセスルールから、45ナノプロセスルールへの移行が可能になった技術的ブレークスルーについて紹介された。
マローニ氏は「すでに、65ナノプロセス世代でゲートの厚さが原子3〜4個程度になっていたため、増大するリーク電流の問題などから“進化の限界”と考えられていたが、High-Kメタルゲートの導入でリーク電流を解決し、45ナノプロセスルールが実現した」と説明し、「これはインテルにとって大きなブレークスルーである」と、High-Kメタルゲートの開発が、インテルの高い技術によって可能になったとアピールした。
マローニ氏は、High-Kメタルゲートは、CPUがより進化することが可能となる「トランジスタ史上最大の変革」と述べるとともに、45ナノプロセスルールによって、さらにパフォーマンスが高い「Larabee」や、小型でローコスト、消費電力も少ない「Silverthorne」というように、同じアーキテクチャで多彩なCPUを可能にすると説明した。
マローニ氏の講演で時間をかけていたのが、全世界で成長著しいノートPC関連の話題だ。“Santa Rosa”の次に登場するモバイルプラットフォーム技術「Montevina」で実現する仕様として「WiMAX」「HDグラフィックス」「25ワットの消費電力」を挙げていたが、その中で、とくに「WiMAX」について、マローニ氏はとくに時間をかけて説明を行った。
「イーサネットやWiFiと同じぐらいの重要性を持つ。導入コストは安く、パフォーマンスは高い」とマローニ氏が評価するWiMAXであるが、その実用化の時期についても「2008年には主流になっている」と強気の見方を示している。
また、マローニ氏は、「ユーザーはページロードの高速化を望んでいる。Webのページロードに5秒も待てない」という調査結果と「大多数のWebサイトはモバイル機器で適切に利用できない」というE-Commerce Timesの記事を引用しながら、「日本の若い世代のユーザーは携帯電話などのモバイル機器でインターネットにアクセスしているが、携帯電話では多くのWebサイトが満足に利用できない」という現状と「PCでは移動時間にインターネットにアクセスできない。ユーザーはWebサービスを利用する機会を失っている」という問題を提起した。
この問題の解決のために、モバイル機器の事情に合わせてすべてのWebサイトを作り変えるのは「すでに規模が大きすぎて不可能」とマローニ氏は述べ、Webサイトの現状に合わせてモバイル機器に十分なパフォーマンスを持たせなければならず、それを可能にするのが45ナノプロセスルールを採用する「Menlow」プラットフォームであることをアピールした。さらに、マローニ氏はMenlowに続くモバイルプラットフォームとして予定されているMoorestownを紹介、Moorestownが実用化される2009年から2010年には、アイドル時消費電力を2008年に登場するプラットフォームの10分の1に削減するというロードマップを示した。
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